ボケの相方
異世界ではステータス つまり自身の能力がすべての評価に繋がる。 それゆえ
どの大学を出たか。
部活動での成功秘話。
休日の過ごし方。
どうしてその仕事に就きたいか。
そんなことは全く重要視されていない。
能力が目に見えて 数字で分かるからだ。
突然 王に会いに行けと言われた田中は、それらを全く理解していない為、馬男に対して
田中「王にそんな簡単に会えるわけないやろ。 エムワンとって、本も売れて、そんでようやく 桜を見る会呼ばれる くらいやぞ? 実力ないもんが会えるわけないやん」
馬男が こいつなにいってるんだ? と眉間にシワを寄せていたその時
??「あ、田中さん?ここいるよね?」
田中「おまえなにしてんねん!!」
目の前にはヒラヒラのマント、恐らく純金製の冠、杖を持った相方の飯田がいた。
飯田「あ、やっぱいた! ね?これたでしょ異世界に。」
田中は飯田をみて一瞬涙ぐんだ。 知り合いがいた喜び、飯田に刺されたことに対する苛立ち 様々な感情が入り交じった涙だった。
田中「なにぬかしとんねんボケ 人を刺す奴いるか? そんでなんやその格好」
馬男「飯田?だれだそれ。 ?!?! こ、こ、国王様!」
なにいってんだこの馬面が。と シケた顔で飯田を見つめる田中。
たしかにそもそもアタマは馬だから、 脳みそも馬並みなのかな と田中は心の自問自答を終えた頃
飯田「いやぁね、田中さん。僕2時間前から国王になったの。
飯田は自分のステータスをひらいた
飯田
攻撃 0
守備 0
魔法 0
運 9999999999999999
特殊能力
常識外れ 敵のステータス無効
ステータスを見ると
田中「飯田。お前にピッタリの能力だな。」
田中は呆れながら どこか納得した表情。
田中と飯田はファイターズ というコンビを組んでいたが、全くもって売れなかった。
だか、飯田は
落書きのような自作LINEスタンプが爆売れしたり、
道で拾った宝くじが当たったり、
気絶している外国人を交番に連れていったら国際指名手配の懸賞金付きのお尋ねモノだったり、
運 の塊である。
それでいて、国民的大スター タモツ、赤司八さしみ、バードひろし、ダウンタック等の番組に呼ばれた際、
あの最高峰の芸人たちとの掛け合いで 滑らせるというありえない能力を発揮していた。彼らのお笑いスキルを完全に封じ込めていた。
彼がどうしてたった2時間で国王になったのか
〜〜2時間前〜〜
飯田「んー田中さん死んだのかな。刺しちゃったけど体は消えてるなぁ。俺も行こうかな異世界」
グサッ
目を覚ました飯田の目の前には。。
???「なんだ貴様」
???「魔王様!こいつぶち殺しちゃまいますか?」
???「よい。 おい貴様」
飯田「なんだお前。気持ちわりいな。」
飯田の前には真っ黒なフードを被る 身長5mくらいの化け物がいた。
目の前に居たのは 魔王族の四天王の1人 ハデス。
飯田はそんなこと全く知らない。
ハデス「ふっ。。。はっはっはっはっ!おもしろいぞ!貴様!おもしろいぞ!貴様にはその面白さに免じて我の最高の魔法でトドメをさしてやろうぞ!かくごし」
飯田「長っ 話長いなあ。やれよはやく。」
ハデスとその手下はうろたえる。
ハデス「。。我にそのような態度をとったニンゲンははじめてだ。ますます気に入ったぞ!ニンゲン!」
飯田「おなかへったなぁ。」
ハデス「究極魔法!デスナイトホーリー! ¥$¥$¥$”$¥"”$#’&’¥¥_(:=]"+!+(+[]!;・・・」
手下「なんてことだ。。ホントにあの詠唱がはじまった。。」
ハデス「←#’ゞ:¥:¥:‼\#¥」
真っ暗闇だったはずの暗黒の草原に紫色の光が照り尽くす
手下「へっ 人間!貴様はもうおわりだ!へへっ泣きづら見せてもらおう!。。え? 光ってる。。貴様!!!」
飯田は今日の朝、たまたまプラモデル制作に使用した蛍光塗料をこぼし、全身浴びていた。
本人は 「実際ブラックライト当てないと見えないから洗わなくていっか」 と、そのままにしていた。
手下「ハデス様!ハデス様!ニンゲンが!ニンゲンが!」
ハデス「?!?! なんだ貴様!なぜだ!俺の詠唱中になぜそれほどの発光を! まさか貴様っっ!」
飯田「ん?なんかパーティみたいだな。明るくて」
手下「ひいぃ 」
ハデス「貴様、、私の最高の魔法を目にして まるでパーティ お遊びと申すのか。。」
飯田「魔法?? あ、俺もできるよ。手品みせよっか。 ほら。」
飯田はコイントスした100円玉を消すマジックを皆の前で見せた。
ハデス「な、なぜだ。。なぜ消えた。貴様、なんでも消せるのか?。。 そのような魔法を詠唱無しで?。。。」
飯田「? 詠唱?なにそれ 次の手品どーする? ねぇそこのおっきい人こっちきて! なんの手品みたい?」
ハデスは自信が消される。。こいつには敵わない。
サーチ能力をつかっても 攻撃系ステータスは0
恐らく常識外れが故の表記だと
無駄な深読みをしていた
ハデスとその手下達は 地にひれ伏せ、飯田に命乞いを始めた。
ハデス「詠唱なしで魔法を使うとは、、お見逸れしました。。。どうか。。どうか。。この街は襲わないので、、命だけは。。お助け下さい。。。」
飯田「命だけ?それ以外はくれるの??なぁ」
ハデス「ひいぃ」
飯田「なぁ 命以外 なにくれんの?」
飯田は貧乏性なので、人からなにか貰えるとなると、とても喜ぶ。
田中がコンビニ出もらったおしぼりをあげた時ですら、飯田は大はしゃぎするような男だ。
ニコニコ、にやにやしてハデスに1歩、また1歩と近く。
飯田「ねえ! ps4もってる?VRもほしい!」
ハデス「?!?!?!?。。なんてことだ。。。
ハデスは余りの恐怖でその場に倒れた。
そして心臓もとまっていた。
ショック死したのである。
飯田「えぇ このタイミングで寿命きたの?」
飯田は文字通り 指一本触れずに 直接攻撃せずに
あの四天王 ハデスを撃退したのだ。
ざっくり言うと そんなこんなで運の積み重ねで
結局たった2時間で国王にまで上り詰めたのである。
馬男「国王様! この田中という人間は勇者になるに相応しい資質をもっております!どうか王の御加護を与え、勇者の武具をお渡しください! 」
馬男「。。彼ならばかならず魔王を。。」
飯田「魔王? さっきそう名乗ってたやつなら死んだよ。」