ギレル・アンダーテイカー
その男は、今日の獲物を探していた。
男の名前は、ギレル・アンダーテイカー。
金髪を短く切りそろえ、人好きのしそうな顔立ちの好青年だ。彼は、今獲物を探している。
獲物とは、サポーターだ。
気が弱そうで、貧弱そうなフリーのサポーター。
分け前は、誤魔化せるなら誤魔化せるだけしたい。そうすれば、自分たちの分け前が増えるから。
それには、やはり前述の条件が必要となってくる。
ギレルのパーティは4人組。前衛職で騎士のギレル、前衛職で盗賊のエンム、後衛職で闇魔法使いのカローナ、後衛職で大神官のガーダンである。
この4人はギルドに登録されているパーティではなく、ギルド非登録冒険者、通称レイブンといわれる者達だ。
彼らは、ギルド所属中に罪を犯した、もしくは登録審査時にギルド側から「難あり」とされ、登録されなかった者たちである。
ギレルのパーティは、ダンジョン攻略中、他パーティの獲得したお宝を強奪、さらには罠に嵌め、パーティ
を潰滅させている。よって、ギルドから放逐されたのだ。
そんな彼らが、今日の獲物に選んだのは冒険者ギルド内の、窓際の席に座っている、如何にも弱そうな、肌の色の白い、浅黄色に変色したローブを着ている男の子だ
「こいつは良いカモだ。条件もばっちりクリア。」
エンムという男が、指でわっかを作り、そこからローブの男の子を見て言う。
エンムの後ろ、大きな錫杖を杖のように立て、ガーダンが鼻で笑う。
「ふん。」
エンムの右隣、やや露出度高めの、足の部分にスリットが入った真っ黒なローブを着たカローナが、長い紫色の艶やか髪をかき上げながら、
「あの子にするのかい?ギレル」
そう、カローナの前で、獲物に狙いを定めるような目つきの彼らのリーダーに問い掛ける。
「ああ。あれにしよう。」
舌なめずりをしながら、近付くギレルに、クロノは気付かなかった。
読んで下さり、ありがとうございます。投稿は、なるべく定期的にしようとは思っているのですが、難しいこともあるので、もし遅くなってしまっても、生暖かい目で見ていただけるとありがたいです。また、ご意見等ございましたら、お聞かせいただけると幸いです。よろしくお願いします