暖かい光
クロノは、強く願った。
すると、目の前に眩い閃光が、一瞬走る。クロノは眩しさに、目を細め、手で光を遮る。
目が慣れて、光を遮るために出した手を下した時、クロノはそこに、ある人物を見た。クロノの御祖父さん、ランドルの姿だ。
「御祖父ちゃん・・・?」
クロノはランドルに近付こうと、前へ踏み出す。しかしそこには、見えない壁でもあるようにつっかえてしまい、前へ進むことができない。
「御祖父ちゃん・・・!」
なおも前へ踏み出ようとするクロノ。そこへ
「クロノや・・・クロノ・・・。おぉ・・・。こんなに大きくなって。元気そうじゃな。」
御祖父ちゃんの声だ。御祖父ちゃんが話してくれている。声を聴いた途端まだ涙の跡も乾かない頬に、新しい滴が伝う。
「クロノ。お前が心配で来てみれば、また泣いておるのか。良いかい?クロノや。仇なんぞ、取らんで良い。そんなことは望んでおらん。だが、もしお前に、それでも冒険者として歩んでいく意思があるのなら・・・。」
そう言うと、ランドルは、クロノに光り輝く何かを渡した。
「これが、お前を強くしてくれるだろう。わしの可愛い孫や。決して、お前は一人ではない。この言葉、忘れるんじゃぁないぞ?」
そう、ランドルが言い終わると、ランドルの輪郭は次第に薄れて行き、終には消えてしまった。
後に残ったのは御祖父ちゃんから貰った、光り輝く玉。
その光は、なんだかホッとする、温かみのある光を放っていた。
クロノは、その玉を大事そうに、両手で包みながら、家路に着くのだった。
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