第2話 詩音とダンジョンコア
詩音が初めての使役召喚発動。
これが詩音の超運の始まり。
俺は結局全ページを読み終わってから眠りに付き、何時間寝たか分からないが目を覚ました
「時間が分からないな……」
もしかすると、この世界では時間の概念は無いかも知れない。
陽が上がれば朝
陽が下がれば夜と言う感じだと思う。
ダンジョンコアにも日にちしか書かれていないかったからな
時分秒の感覚が無いのは慣れるしかない。
俺はダンジョンコアに触れ、【ステータス】の項目をタッチした
しかし現れた場面では【???】しか出て来なかった
仕方ないのでそれをタッチした
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ダンジョンコア LV.1
名前 無名 LV.1
種族 人間
性別 男
【能力値】
HP:100/100
MP:100/100
STR(筋力):10+5
VIT(耐久):10+5
INT(知力):10+28
MIN(精神):10+5
DEX(器用):10+20
AGI(敏捷):10+5
LUK(幸運):10+100
称号
Now【ダンジョンマスター】
Now【読書制覇】
Now【速読】
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【ダンジョンマスター】
ダンジョンコアに選ばれた者に与えられる称号、全てのステータスに+5の追加
【読書制覇】
初期に現れた分厚い本を、誰もが挫折するような物なのに
それを読み終えた者に与えられる称号、INTに+1.5倍の追加
【速読者】
普通の人が出来ないであろう
スピードで読んだ人に与えられる称号、DEXに+20の追加
-ボーナスが追加されました。本を読破されたので
LVが足りなかったが特別に
中級までのモンスターを
無料召喚が可能
LUK+100の追加-
「昔の俺は読書家だったのかな?だけどいきなり中級モンスターの無料召喚は大きいアドバンテージだな、普通なら下級モンスターしか召喚出来ないからな」
俺はさっそくダンジョンコアと本を見比べながら調べた
「座天使ソロネか、確かスローンズだったかな。
天使階級は上級第三位。
別名としてオファニムやガルガリンとも呼ばれているはずだ。
「神の玉座を運ぶ尊厳と正義の天使」または「意思の支配者」とされていて、
座天使は巨大な車輪そのものか、無数の瞳をもつ者として描かれたような……」
「……俺は何故こんなにも詳しいんだ?」
原因を調べて見たかったが全く思い出せなかった
「ちっ……自分の事なのに何も分からないなんて」
俺は頭を切り替え次に集中した
「しかし何故、位の高い座天使が中級なんだ?……そうか、知力や知識が高いけど攻撃系が皆無だからか、ダンジョンでは知識系は確かに大事なものだけど力が無いから中級の上位なのか」
俺は次を調べ始めた
「あれ?ページが増えている
……え?ユピテル!?なんでこんな伝説的な主神が!?」
確かユピテルは
別名ラティヌスと呼ばれ
全能神ゼウスと同等並みの主神であり
またラテン人の王だったはず
さらには、ラティヌスに導かれたラテン人は肥沃なラティウムと言う土地で大いに栄えたという。
何故そんな最上級にも値する人物が中級なんかに……
しかし逆にこれはチャンスだ。
これを召喚したら駆け出し冒険者にはまず負けないはず
そして他のダンジョンマスターにも差をつけられると思う
俺は迷いながらもその項目をタッチした
-ラテン王ラティヌスを0マナで召喚します。場所はマスター室と断定し、召喚しますか?
Yes/No-
「……Yes」
すると俺の目の前の空間に光の粒子が集まり始めた
段々、人の形となり姿が露わになった
「……………………何故?」
俺は頭を抱えたくなった
確かに俺はラティヌスを選択し3度確認をしてからYesを押した
俺は確信していた
ラテン王は立派な
長身の男であり
威厳のある姿をしている筈だと
それがまさか……
「幼女だとは……」
身長は130cm位だろうか
俺は大体170cm位なので40cmも低い計算だ。
だがこの瞬間までは良かった
俺はラティヌスが姿を形成された途端に身体から悪寒が走った
俺は思った、この威圧感は誰から放たれて居るのか
答えは一つだけだった
目の前の背の低い小さな女の子からだった
俺は見誤っていた。
小さな女の子だと言う事だけで主神ラティヌス自体だと言う事を……
「アナタが私を呼んだのですか?」
その声は小さく、だけど全体に響くものだった。
しかしどこか人を安心させる声でありながら周りによく届く様な声だった
「すみませんでした……」
俺は威圧感に押されながらも静かに、しかしゆっくりと頭を下げた
「何故謝るのですか?」
ラテン王ラティヌスは静かに問う
俺は嘘を付かずはっきりと答えた
「俺はあなたを見誤っていました、さらには小さい女の子でありこれなら自分のほうが強いのでは無いのかと……」
「……」
「しかし間違っていた、あなたからの威圧感は本物であり、確かな物だと言う事も分かりました」
そして俺は最後にこう言った
「あなたの事を蔑んでしまい
すみませんでした。」
俺は更に頭を下げた
「……ふふ、素直な人ですね」
ラティヌスは少し笑い、言葉を発したと同等に周りからの威圧感も消えた
「確かに私はあなたから蔑まれて居たことに気づきましたが、まさか本当の事を言うとは思いませんでした。」
更に続けた
「私はただ、あなたを試したかったが為に威圧感を出しあなたを苦しめました。本当は威圧感に耐えられれば合格なのですがあなたは素直に謝り、更には私に勝てない事を悟って居ました」
確かに俺は力でも、知識でも、そして人生の価値観も勝てないと思っていたがそこまで見られてはいたとは……
「普通のダンジョンマスターであれば謝ると言うのは有り得ない事なのですよ?」
「??」
何で?
「えっ?本当に気付いて無いのですか?」
俺はコクコクと頷いた
「私たちモンスターは召喚された主君には攻撃する事も、反論する事さえ出来ないのですよ?」
はぁ?えっ?
と言う事は……
「俺はただ単に忘れていただけ……と?」
うわっ!メッチャ恥ずかしい
「ふふふ、本当に面白い主君ですね」
「……ほっとけ」
俺は恥ずかし過ぎてまともに相手を見る事が出来なかった
「しかし本当に不思議な主君ですね」
「何が?」
ラティヌスはコテンと頭を傾けていた
「普通ならモンスターが逆らえないと知ったら、態度に何らかの違いが現れると思って居ましたが主君は最初の態度と変わらずに私と接して居ます」
何故だ?それが普通じゃないのか?
「ダンジョンマスターはモンスターを自分のダンジョンで完全に使役出来るのです、言わば魔王です。それなのにあなたは、変わらず私と接して居ます、何故ですか?」
「だってもし完全に使役出来たとしても、一緒に戦っていく仲間と言う事でもあるんだろ?」
「そうですね、確かにそう言う事でもありますね」
「俺は仲間が危なくなったら、助けたいとも思っているがこれも変な考えかな?」
ラティヌスはしばし考えこう答えた
「確かに変な考えですね、ダンジョンマスターはダンジョンに限らず、外界でも死んでしまえば私みたいなモンスターもダンジョンとともに死んでしまいます。ダンジョンコアも取られたり壊されたりすればダンジョンマスターは死亡し、私たちも死亡してダンジョンは崩れます。」
「でも……」
「あなたの考えは立派ですが、それは無謀と言う物です。」
「……ごめん」
「……ですが」
俺は下げ掛けた頭をラティヌスに向けた
「あなたの言葉が本心から来ているなら、自分自身が強くなればいい、それなら実現出来るでしょう?道は長いですよ?」
「……上等!ダンジョンマスターの意地を見せてやる」
「ふふ、頑張って下さい」
こうして俺はラテン王ラティヌスを使役する事に成功した
「(そう言う考え、私は好きですよ?)」
「ん?何か言ったか?」
「い、言え何でも無いですよ///」
ラティヌスの顔が少し赤い気がするが、何でも無いなら心配するのもお節介だろう
「あっ、そうだ」
俺はダンジョンコアに触れた
「何をするのです?」
俺はある項目にタッチした
「よし、これで良いはずだ。触って見てくれ」
「?はい」
-『ダンジョン関係者登録』を確認しました。以後『コア使用許可』を認識します-
「これは!」
俺は微笑みしっかりと言葉を綴った
「宜しく"相棒"」