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第一通:無題

心地よい春風に頬を撫でられ目が覚める…薄く開けた目に映るのは、美しく舞う純白のカーテン…

窓から入る光は室内を明るく染め上げて行く。

“あれ?この部屋こんなの綺麗だったかな?”

いつもと違った雰囲気の部屋に戸惑いを覚えながらも、その美しさに心が高鳴った。

“何か良いことあるかなぁ…”

そんな事を考えると眠気も消え、頬が緩む。

そして……

「ヨシッ!」

掛け声と共に布団を飛ばし、力いっぱいカーテンを開ける!

心地よい春風に髪を預け、朝の空気を体に入れる…

「ん〜!!気持ち良い……」

目の前に広がる景色は、自分が世界で一番好きな物。

丘の上にある一軒家から見えるのは、自分の住む町と広大な海…

眼下に見える景色と、潮の香りがする春風を力いっぱい吸い込みエネルギー充填完了!

「さぁ!行きますか!」

ベットから降り、ん〜っ!と、伸びをする…ふと、ベット脇に置いておいた携帯に目を向けると…

「あれ?メールきてる…」

夜中に来たのか?そんな疑問を持ちながら、携帯を手に取り開いた……

差出人は携帯に登録されておらず、タイトルは…無題。

「イタズラかなぁ…?」

それとも、何かの勧誘メールか?とも思ったが、一応開いてみる。そこには……

【まず、このメールを開いてくれたことに感謝します。ありがとう

このメールはイタズラでも、勧誘でもありません。私からのお願いの手紙です。

私は今、とある理由から1人で生活してます。風の音も緑の香りも、蒼い空も海も見ることの出来ない世界に居ます。どうか、私にあなたの世界を教えて下さい。私を閉じられた世界から救って下さい…どうか、お願いします。

追伸:私は1日に1度しか外部と連絡がとれません。どうか、お願いします】

という、内容が綴られていた…

「………これって…」

どういう事か分からなかった…しかし、この文面から差出人の気持ちが痛いほど伝わってきた…

“この人は、本当に淋しいんだ…”

そう、思うと自然と指が動いた。

[メール拝見しました。あなたの気持ち、あなたの淋しさが伝わって来ました。私で良ければ、あなたのお話し相手をさせて頂きます。

宜しくお願いします。

春風の丘に住む者より]

普通ならためらう所だが、この時だけは違った…今の自分の気持ちを書き……送信!


「ヨシッ!」後は返事を待つだけだ!


本当に大丈夫かとも少しは思う…

しかし、不安以上に今は楽しかった。

何故だか、心が跳ねた。

“きっとこれから楽しくなる…そして、最高の何かを見つけられる…”そう、思わずにはいられなかった……

期待と少しの不安を持ち携帯を閉じる…そぅ、自分の物語を、始める為に!

他に2作品連載してるのに新たな所に手を伸ばした愚か者です。

今回は携帯を通じた不思議な物語です。楽しんでみて下さい。

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