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ユースフル!  作者: サツマイモ
第一章
14/38

子歌’s 002 「あなたって、王宮の出身かしら」

「へえ、そんなことが。容量の小さい脳の中でも、それくらいの想像はできるのですね」


「やっぱり、そうでしたか」


彼女の悪口も軽く受け流し、私は思考し始めます。

彼女風に言うならば、愚考なのでしょうが。


「でも、だったらどうしてこんな夢を、見たのでしょうか」

「知らないですよ。まったく。私の時間を奪わないでくださる?」


そう言うと、彼女はまたも画面の前に着席し、先ほどの作業を再開しました。


その流れは、一乃さんとまではいかないまでも、一流の使い手と呼べるにふさわしいほどの、無駄のない綺麗なものでした。


「いやいや。これくらいのことで、褒めないでくださいますか?」


深いため息をつき、彼女はうなだれました。


「すみません」


外の天気は未だに晴れることはありません。

机の上のブドウは、静かにこちらを見つめているようで、少しだけ私は緊張をしてしまいます。


会話の無くなった二人だけの空間に、機械の駆動音だけが響きます。


「……あ、あの」

「何ですか?」


イライラする気持ちを前面に押し出した声で、彼女は尋ねます。


「先ほどから、何をしていらっしゃるのですか?」

「……」


彼女は、何も応えませんでした。


画面を見ても何も分からない私は、直接本人に聞くしかないのです。しかし、その本人が答えてくれないことには、何も解明できません。


「私から、質問させていただいてもよろしいかしら?」


唐突に、彼女は尋ねます。

画面を見つめながら訪ねる彼女に、私は困惑しながら問い返します。


「何でしょうか?」


彼女は画面を見つめたままで、その表情―感情は、読めませんでした。



「あなたって、王宮の出身かしら」



……。

もうそんなことでおどける私ではありません。


「どどど、どどどど、どうして、そう思うのですか?」


ね、言いましたでしょう?


「いや、分かりやすすぎませんか? まあ、良いですけど」


ふうっと一息ついて、彼女は回転しました。


その仕草でようやく、私は「この椅子って、回転するんだ」ということに気が付きました。


発見、大事です。


「いえ、特に理由は無いのですが。まあ、今抱えている案件について、あなたが王宮の人であると色々解けることが多いので」


そう言うと、彼女の隣の巨大な機械が急に音を出して動き始めました。

すると、小さな隙間から紙状のものが出てきました。


「ここって、凄い機械が多いですよね」

「多分凄いのは、それくらいの知識で10余年生きられたあなたの人生だと思いますけどね」


出てきた紙を手に取り、そのまま私の目の前に差し出しました。


その紙には、びっしりと文字が書かれており、逆に隙間で文字が浮かび上がってきそうなほどでした。


これを見せつけて、彼女は何をしたいのでしょうか。


「王宮の人とわかったことですし、これから丁寧語を使うのは止めます。その方が、話がしやすいと思うので」


瞳が潤んでいるのを、確認できました。


やはり、ここにいる人たちはいろいろなものを抱えています。

王宮と対立しているのも理由があり、その理由を―目的を実行するためには、自らの犠牲さえいとわない。その姿勢を感じられます。


もちろん、王宮側にも理由はあるのでしょう。

何が元で、何が引き金で、何が原因で、何が発端で。

何が起きて、何が起こって、何が始まって、何が終わったのか。


唐突に、唐突な、唐突で、唐突の。

先ほどから唐突でしかない彼女の動きに戸惑いながらも、私は静かに頷きます。


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