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ユースフル!  作者: サツマイモ
第一章
12/38

百菜’s 008 「私の、友達(かのじょ)に、手を出さないでください!」

「美味しかったよ」


ドアを開け、外に出てきた二平御舟は、歯の隙間につまようじを挟んでいました。


「さあさあ、帰りましょうぞ、お嬢ちゃん」

「私は……帰りません」

「そうですか。なら、仕方ありませんね」


瞬間でした。一瞬でした。刹那よりも刹那で、瞬きすらも遅く感じるほど迅速でした。

「はぐっぁああ!」

突然、修はその場に倒れこみました。


「修⁈」


修を見ると、そこには両目につまようじが突き刺さっていました。


「だ、大丈夫?!」


明らかに大丈夫ではない状況なのに、私はこれ以上の語彙はありませんでした。


「……これくらいなら」


自らつまようじを抜いた修は、そのまま立ち上がりました。


「でも、それじゃ」

「……すみません、全く見えません」


二平御舟は、それだけで済むような人間ではありませんでした。

駆け寄った私の足につまようじを投げ込みました。


痛みで立ち上がれない彼は、私に近づくや否や、

「多少の怪我も、良しとしてくれるじゃろう。むしろ、お嬢ちゃんには死んでいただいた方が良いかもしれん。そうすれば、民意も味方に付けて、青春結社を今度こそ叩き潰せるじゃろうなぁ」

とつぶやきながら、首に何かを巻き付けます。


なにこれ?

なんですか、これ?

嫌です、嫌です。

まさか。


「爆弾……ですか?」

「大正解じゃ」


ニカッと笑い、彼は手元のスイッチを見せつけます。


「いつでも、押してもいいんじゃよ。帰ってくるというなら、外してやってもいい」

「……いい加減に、してください」

「ん?」


声の主は、百菜さんでした。

しかし、その表情、雰囲気から、百菜さんと推測するのはほぼほぼ不可能でした。


「……百菜さん?」

恐怖のあまり零れる涙を拭いて確認しても、やはり百菜さんでした。



「私の、友達(かのじょ)に、手を出さないでください!」



……彼女?

彼女って、その彼女ですか?


百菜さんの怒りは、そのまま地面へと伝い、やがて二平御舟の足元へとたどり着きました。


「地獄へ落ちろ‼」


彼の足元まで伝った怒りのエネルギーが、その地面を真っ二つに割かせ、そのまま彼を突き落しました。

そして、彼は何も言うことなく―何の感情も残さず、その穴へと落ちていきました。


「……はぁ、はぁ」


ようやく、彼女は打ち勝ったのでした。

奇跡的に穴に落ちなかったスイッチを手にした彼女は、私に向かって、


「……どのボタンなのでしょう」

と尋ねてきました。

「いや、分かりかねるんですけど……」


「貸してください」


修は、自らの能力で両目を治し終わったようでした。


「ありがとう」

無事、爆弾は外れました。


「……カッコ良かったです、百菜さん」

「いえ、好きな人には生きていて欲しいですし」


彼女の笑顔は、青空よりも清らかでした。


「好きだなんて」

「知ってましたか?」

彼女は、楽しそうに言います。


「何が無くても、気づいたら友達になっているように、何が無くても、好きになることもあるんですよ?」


何かに気づいたかのような笑顔で、そう言いました。


「ありがとうございます、千陽さん」

「……」


何もしていない私は、純粋で無垢な彼女の笑顔に、ただ笑顔を浮かべることしかできませんでした。


リーダーなら。

彼なら、何と言ってあげるのでしょうか。


「では、食事に戻りましょうか」


食事中、彼らから連絡が来ました。

「あ、修、百菜さん。解決したようですよ」

「そうですか」

「なら良かったです」


贈られた写真は、十音さんが勝手に取ったのでしょう、彼の昼寝姿でした。


「……さすがですね」


おまかせの味と昼寝姿に懐かしさを覚えつつ、私は食堂を後にしたのでした。


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