第137.5話「おねむレッド」
「レッド、聞きましたか?」
「はぁ?」
「今日は風邪ひきさんなので、大人しくするんです」
「むむ、あそびたし」
「寝るんですよ!」
さーて、今日のお仕事終わりました。
わたしはレッドの手を引いてお家に帰ります。
手を洗って、ミコちゃんの出してくれたお茶を飲んだら、なんだか気分がほわほわなの。
「ポンちゃん、どうだった?」
「学校で注射ごっごでした」
「注射ごっご?」
レッドとコンちゃんも手を洗い終わってリビングに。
コンちゃんはお茶をすすり、レッドはジュースをゴクゴク飲んでるの。
レッド、ニコニコ顔で注射の跡をミコちゃんに見せながら、
「いたいの、がまんしたゆえー!」
「ふふ、レッドちゃん偉いえらい!」
「がんばりましたー!」
って、わたしとコンちゃんは赤くなるの。
だってあの注射はニセモノだったんです。
それなのにそれなのに……
わたしとコンちゃん大泣きしちゃったもん。
『ねぇねぇ、なんでポンちゃんとコンちゃんは赤いの?』
『注射ごっこだったんです』
『?』
『保健の先生、注射器のおもちゃで注射したフリだったんです』
『そ、そうなんだ』
ミコちゃんちょっと考える顔で、
「それで治ってるの?」
「うん、今日大人しくしてれば大丈夫なんだって」
「ふうん」
ミコちゃん納得したのか、
「じゃあ、今日はレッドちゃんとまったりゆっくりしててね」
「はーい」
って、ミコちゃん、わたしにレッドを渡します。
「?」
「レッドちゃんが遊ばないように、寝かせて」
「むう」
レッドはわたしの膝の上でじっとこっちを見てます。
「レッド、聞きましたか?」
「はぁ?」
「今日は風邪ひきさんなので、大人しくするんです」
「むむ、あそびたし」
「寝るんですよ!」
わたし、レッドを抱いて背中をポンポン、なでなで。
おお、なんだかもう寝息たててますよ。
いつも寝かしつけてるから、わたしの特殊能力なのかも。
こっちもレッドの温もりに眠たくなってきました。
むむ、見たいテレビがあるのに、ここで寝るわけにいきません。
でも、レッド、ぬくぬくで眠くなっちゃいます。
「コンちゃんコンちゃん」
「なんじゃ」
「レッドをどうぞ、ぬくぬくですよ」
「ふむ……」
コンちゃん、わたしからレッドを受け取って抱っこ。
「めずらしいですね」
「何がじゃ?」
「コンちゃんがレッドの面倒見るなんて」
「ふふ、今、レッドを抱っこしておれば、夕飯の手伝いをせんでよい」
「いつもしてないよね」
「いいのじゃ、レッドは免罪符なのじゃ」
レッド、コンちゃんの膝の上でスヤスヤ。
でも、急にしっぽが揺れはじめると、目が覚めたみたいです。
「ふにゃ……」
「うむ、レッド、起きてしまったかの」
「コン姉~」
「ほれ、今日は寝て過ごすのじゃ、わらわも寝るゆえ」
「むー」
レッド、コンちゃんに抱きついて眠りに……
「むー」
なかなか落ちませんね。
って、わたしの方をにらんでますよ。
そしてコンちゃんの膝の上から、わたしの膝の上に戻って来ちゃいました。
わたしに抱きつくと、あっさり寝てしまいましたね。スピスピいってます。
コンちゃん、わたしに顔を寄せて、
「ふむ、レッドは寝てしもうたな」
「ですね」
「何故、ポンだと寝れるのじゃ?」
って、コンちゃんせっかく寝ちゃったレッドをゆすって起します。
「これ、レッド」
「ふにゃ……コン姉~」
「何故ポンだと眠れるのじゃ」
「ちょうどよいゆえ」
「?」
「どらやききゅー、ちょうどよいゆえ」
「!」
「コン姉のは、ふかふかすぎてねれませぬ」
って、レッド、わたしの胸に顔を埋めてスピスピ。
あっという間に急速潜航しちゃうの。
コンちゃんの肩は震えてます……笑ってますね。
「どらやききゅー……そうかの、そうかの」
「こ、コンちゃん笑ってますねっ!」
「それではわらわはかなわんのう~」
「わ、笑ってますねっ!」
レッド、今度一緒にお風呂したら頭からザブンなんだからモウっ!
わたしとコンちゃんがラーメン屋さんで働いていると、店長さんがやってきました。
「あ、店長さん!」
「ポンちゃん達が働いているからって……売上に協力に来たよ」
「うふふ、ラーメン屋さん、大繁盛です」
「うん……すごいね」