第136.5話「キノコ狩り・ポン吉編」
「ポン吉、シロちゃんがどこにいるか、わかるんですか?」
「オレ、タヌキだぜ、ニオイでばっちりだ!」
「何なに? ポン吉も変身しちゃったけど」
「あれでシロちゃんにプロポーズに行くんですよ」
「え? ポン吉はシロちゃん好きなの? あのミニスカポリス」
「アニキが大人に変身したぜ」
ポン吉、キノコを手に目が血走っています。
「ふふ、オレもキノコを食べて大人になるぜ!」
「ポン吉、キノコを食べて大人になるつもりですね?」
「ポン姉、わかってるじゃねーか!」
「そりゃ、まぁ、その……大人になってどうするつもりです?」
わたし、聞くまでもないけど、お約束で聞くの。
ポン吉、ポッと顔を赤らめて、
「シロ姉と結婚するぜ」
「いきなりすぎませんか?」
「ポン姉……どうすれば?」
「普通『おつきあい』からじゃないですか?」
ポン吉、真顔でわたしを見つめてます。
ポツリと、
「ポン姉だって店長に結婚結婚言ってるじゃねーか」
「む……そう言われるとそうですね」
「こーゆーのはいきなりなぐらいがいいんだぜ」
「っても、ポン吉がシロちゃんを好きなの、シロちゃん知ってるよ」
「でも、オレが大人になったらいきなりでびっくりじゃねーか?」
「むう……それはそうかもしれませんが」
さっき、ポン太がコンちゃんに告白に走りました。
大人ポン太が迫っても、コンちゃん軽くいなしてましたね。
ポン吉がシロちゃんに告白しても、うまくいくのかなぁ。
わたし、「絶対」「100%」うまくいかない気がします。
シロちゃんにその気がないですもんね。
うーん、ここはお姉さんとして、止めるべきでしょうか?
それとも、静観して、振られて落ち込むのを見守るべきでしょうか?
でもでも、よく考えたら、ポン吉止めて止まるようなキャラじゃないです。
ああ、わたしの見てる前でキノコ食べちゃってますよ。
「ドカン」と爆発して「青年ポン吉」になりました。
ポン太は変身した時ちょっと戸惑ってましたけど、ポン吉は確信犯だから迷いなし。
「よーし、これで結婚だーっ!」
「ポン吉、シロちゃんがどこにいるか、わかるんですか?」
「オレ、タヌキだぜ、ニオイでばっちりだ!」
ダッシュを決めるポン吉、わたしも追っかけます。
花屋の娘さんも一緒に着いて来ますよ。
「何なに? ポン吉も変身しちゃったけど」
「あれでシロちゃんにプロポーズに行くんですよ」
「え? ポン吉はシロちゃん好きなの? あのミニスカポリス」
「そうですよ」
「面白い事になりそうね」
「花屋さん、そればっかですね」
「ポンちゃんはどうなると思うの?」
「そりゃ……シロちゃんはポン吉の事なんとも思ってませんから……」
「思ってないから? どうなるの?」
「ポン吉が振られるんじゃないんです?」
「あー!」
「なにが『あー!』なんですか!」
「ポン吉が告白に行くのってあのミニスカポリスだよね」
「ですよ」
「絶対面白い事になるって!」
花屋の娘さん、笑いを堪えるのに必死です。
どんな想像してるんでしょうね。
そうこうしてるうちにシロちゃん発見。
ポン吉もシロちゃんに一直線なの。
「シロ姉ーっ! 好きだーっ!」
おお! 直球! 漢らしい!
「結婚してくれーっ!」
本当にすぐにプロポーズしちゃうんですね。
って、シロちゃん腕組みして直立不動。
じっと「青年ポン吉」を見つめてるの。
「シロ姉、オレと結婚してっ!」
「誰でありますか?」
「オレだよオレ、ポン吉!」
「ポン吉?」
シロちゃん、目を細めて青年ポン吉をじっと見てるの。
それからちらっとわたしを見てテレパシー、
『ポンちゃん、どういう事でありますか?』
『ポン吉のプロポーズですね』
『ポン吉が何で大きくなってるかであります』
『キノコ食べたんだよ、大人になるキノコ』
『そうでありますか』
って、花屋の娘さん、目をランランとさせて、
『シロちゃん、どうするの、ねぇねぇ!』
テレパシーに割り込んで来ないでほしい。
でも、わたしもどうなるか、早く先が見たいです。
シロちゃん、腕組みしてポン吉を見ていましたが……
「タイホでありますっ!」
「チャッ」って感じで銃を抜きます。
「な、なんでオレをっ!」
「危険なキノコは犯罪でありますっ!」
ああ、シロちゃん、ポン吉を撃ちまくり!
ポン吉ダッシュで逃げてます。
って、ポン吉の変身も解除。
キノコの効果、切れちゃったみたい。
でもでもシロちゃん追っかけ&撃ちまくり。
「待つでありますっ! タイホでありますっ!」
「わーん!」
ああなったシロちゃんは止められませんね。
「ねぇねぇポンちゃん」
「なんです、花屋さん?」
「シロちゃんって……単に撃ちたがり?」
「ですね、タイホじゃなくて射殺ですね」
「一番危ないのはシロちゃんじゃない」
「ですね」
さーて、今日のお仕事終わりました。
わたしはレッドの手を引いてお家に帰ります。
手を洗って、ミコちゃんの出してくれたお茶を飲んだら、なんだか気分がほわほわなの。
「ポンちゃん、どうだった?」
「学校で注射ごっごでした」