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魔法解放少年  作者: 雅弥 華蓮
第6章 exam
60/121

5 それぞれの戦い

 亮夜たち1年10組が魔法試験に挑んでいた頃__。

 言うまでもないが、他の学年や組の生徒たちも魔法試験に挑んでいた。

 それは、クラス委員長だろうが、エレメンタルズだろうが、生徒会長だろうが、変わりはなかった。

 もちろん、それぞれの会場では、ある人物が栄光を掴み取り、ある人物が日陰者に甘んじるという事態が度々見られたのであった。




 例えば、1日目の午後の部__。

 1年1組による、個人の魔法試合。

 その中で、一人が突出して、もう一人がそれになんとか喰らいつく状況で追い上げようとしているという途中経過となっていた。

 頂点に立つのは、冷宮恭人。

 頂点を追うのは、次元楼次。

 二人の対決が、最上位を決める、頂上決戦となっていた。

 ここまで、恭人は圧倒的な力で、次々と連戦連勝を重ねた。パターンを変えつつ、先手必勝の瞬殺、カウンターの一撃で、あっという間の逆転勝利、酷くなると、恭人を前にして、即座の降参というような形で、誰一人恭人の前に立ちふさがれる者はいなかった。

 恭人からすれば、魔法師友好会で戦った、10組の彼の方が、余程歯ごたえがあった。

 直接的な戦闘能力ははるかに劣るものの、それを補うかの如く、豊富な知識から即座に紡ぎ出される最適な行動。「冷宮」という強者を相手にしても怯まなかった胆力。

 そのことを思い出すと、試合らしい試合があまりできずに、正直退屈さを覚えていた。

 とはいえ次の対戦相手は、少しは楽しめそうだ。

 事実上のナンバーツー、次元楼次であるから。

「少しは私を楽しませてくれ」

「不本意だが、全力でいくか・・・」

 恭人が静かに対抗意識を燃やしているのに対して、楼次は最初から腰が引けていた。それだけ、客観的な能力は、恭人が圧倒的に優れているのだった。

 無論、恭人に慢心というものなど、存在しない。あくまで、全力をもって、叩き潰す。

 試合の場は、平原。至ってシンプルな、実力がストレートに出る舞台であった。

 戦いが始まって、先手を取ったのは、恭人。

 上空に多くの氷を作り出し、楼次に向けて飛ばした。

 楼次は、接近することで回避する。

 それを、恭人は飛ばした氷の方向を調整して、再び狙いを定めた。

 恭人に接近戦を持ち込もうとする楼次だったが、飛んでくる氷の方が速い。

 恭人に手が届く少し前で、大きくサイドステップをとって回避した。

 あわよくば、自滅を誘ったのだが、恭人がその程度で崩されることはなかった。

 大きくジャンプをして、自分の放った氷を回避。

 続けて、魔法「フリーズ・ゾーン」を放つ。

 強烈な冷気を発生させて、空気を、地形を凍てつかせる。

 草原を氷に塗り替えて、足場を奪った。

 その隙に、楼次が炎の塊をぶつけるべく、「フレイム・ボム」を放とうとする。

 しかし、恭人の作った魔法障壁を破ることは出来ずに、炎が無散した。

 この力で、氷の一部が溶けて、足元の多くが水浸しとなった。

 再び、恭人が飛び上がる。

 魔導書から呼び出したのは、お得意の氷魔法ではなく、雷魔法。

 「雷侍」たち程ではないが、ある程度魔法に精通しているなら、基本属性以外にも、特殊属性の魔法も扱える。

 ここで選択したのは、空気に雷を走らせる魔法「サンダー・サイレント」。

 音もなく飛ばした雷は、水浸しとなった地面に走り、非常に広範囲の一撃となる。

 魔法が発動して、楼次はようやく恭人が何を狙っているかを悟った。

 だが、それではあまりに遅すぎた。

 飛び上がろうとした時には、身体に雷が走った。

 致命的なダメージを負った楼次の上には、恭人が巨大な氷のハンマーを持って振りかぶっていた。

 魔法で作り出したその一撃に、楼次は抵抗することも出来ずに、叩き倒された。




 ほとんど手を出させずに、恭人はついに全勝を掴み取った。

 さすがにここまで魔法を連発したこともあって、それなりに疲労を感じていた。

 だが、王者として、弱みを見せるようなことはしない。

 皆からの称賛を一身に受け止め、応えていた。

 一方、敗北した楼次は2位であった。

 密度は濃くなかったので、骨が折れるといった重症は避けられた__最も、現在の医療技術ならば、骨の修復自体は時間こそかかるが、難しいものではない__ものの、かなりの疲労は感じていた。

 そんな中、楼次は今の自分を恨めしく思う。

 昔から、楼次は何かと1位になることが出来なかった。

 勉強も、運動も、技術も、大体がよくて2位であった。

 彼自身が中途半端だったわけではない。

 いつも、「天才」といえる相手が、そこにいた。

 それは、魔法であっても例外ではなかった。

 家族の中でも、特別強い魔法の才能を持って、彼は生まれた。

 努力も重ねて、最上位格の1組として入学することが出来た。

 だが、ここでも1位にはなれなかった。

 「エレメンタルズ」という、才能に愛された天才。

 その人物には、どうやっても勝つことは出来なかった。

 そして、今も__。


 この時、次元楼次に決定的な邪心が芽生え始めていたのだった。




 3日目の午前の部__。

 3年1組は、団体戦の魔法試験だった。

 事前のくじ引きで決められた組み合わせで、他のチームに挑む。

 3VS3のチーム戦において、相手陣地の旗を持ち帰るか、全対戦相手を倒せば勝利となる。

 個人の力量が絶対的でないため、運よく雷侍宮正と同じチームになれたとしても、勝利確実とはならなかった。

 __だからといって、宮正が率いたチームが敗北することは一度もなかったが。

 宮正と一緒になったのは、火属性の魔法を得意とする遠宮蓮、魔法戦闘が得意な渡利凱の二人だ。

「面白いことになったな・・・」

 この手のチーム戦では、多属性のパターンでどのような敵にも対応できるという組み合わせよりも、得意分野が分かれて、攻守に専門家が揃っているというケースの方が成績を出しやすい。

 今回のチームは、全員が攻撃重視のメンバーであったため、最も実力の高い宮正が守りに回るのが最善と言えるのだが、宮正は敢えて特攻を選択した。

 3人がかりで一気に攻め込むという、良く言えば力尽く、悪く言えば脳筋な作戦を彼女は選んだ。

 宮正は言うまでもないが、凱も相当な手練れだ。この二人で先攻して、蓮が遠隔的に攻めるという、攻撃で全てを叩き伏せるには十分すぎる戦力であった。

 そして、その予想は、現実となった。

 宮正の猛烈な電撃が、尽く吹き飛ばし、上手く凌げても、蓮か凱にとどめを刺されるのが落ちだ。下手に攻め込んでも、宮正を中心とする、攻撃包囲網をくぐり抜けきれずに、倒される方が早い。持久戦をとろうとしても、3人の猛攻を凌ぎ切るのは不可能であった。

「我が雷の前に、立てる者なし」

 宮正の雷撃が、敵陣を撃ち滅ぼす。

「どうした、こんなもんか!」

 凱の近接戦で、敵を各個撃破する。

「私たちには敵わないわ」

 蓮の強烈な炎が、全ての敵を炙る。

 電撃、格闘、炎。3つの猛撃が敵に襲い掛かった時、立ち残ったチームは存在しなかった。

 3年1組の団体戦は、宮正、蓮、凱のチームが完勝した。




 5日目__。

 魔法団体戦が最後の1つ前の試練として待ち構えていた。

 基本ルールは、同学年同組のチーム戦と同じだが、組をミックスして、数も、一個人の実力差も広げた、より規模の大きくなった団体戦である。

 それぞれのチームは12人で、各組が一人ずつの他、バランスよく二人ずつ加わる。

 亮夜がチームを組んだ中に、見知った仲の人物が一人いた。

 3組の鏡月哀叉が、亮夜と共に組んだチームの一員であった。

「亮夜」

「まさか、また君と組むことになるなんてね。不思議な縁を感じる」

「そうですね」

 顔合わせをした二人は、和気あいあいと話していた。

「10組の中で当たりが引けるなんてよかったな!」

「どちらかというと、1組の方で当たりを引きたかったな」

「おい、佐倉。それはいっちゃいけねえことだろ」

「冷宮なんて、相手にするだけ無駄だろ」

「でも、舞式君がいるから、少しは勝ち目あるんじゃないかな?」

「だといいけど・・・」

 チームの編成について、トークを広げていくメンバーたち。

 単純な力量で言うならば、恭人を敵に回した時点で、ほぼ負けは決まったようなものだ。だが、亮夜は一矢報いる程度には戦えていた。それ以前に、この戦いは団体戦だ。いくら恭人を始めとするエース格が大活躍するにしても、連携などが回っていなければ、勝ち目はある。

 という理論はあるのだが__。

「よりによって、最初からかよ・・・」

「どうしよう・・・」

 実際に目の前にすると、困り果てるものだ。

 冷宮恭人を始めとする、優勝候補筆頭といっても過言ではないチームと、いきなり戦うことになった。

「確かに恭人さんは強い。下手に相手をしたら、全滅もありえる」

「だよな・・・」

「僕を中心に、囮で時間を稼ぐしかないか・・・」

 メンバーの中で唯一、恭人に善戦した亮夜が、恭人対策を消極的に立てて、残りで速攻をかけるという作戦となった。

 この作戦に対し、守りに難があるという異議があったが、戦力差からいって、まずじり貧に追い込まれる。そのため、恭人を食い止めている隙に、速攻で叩くしか、勝ち目は残されていなかった。

 最も、それは恭人が攻めてきた場合の話であって、守りに回られたら非常に厳しいことになる。

 対策自体は用意しているものの、この戦いそのものが賭けであることは、亮夜を含めた全員が一致するところであった。




 バトルフィールドは、チーム戦と同じように、様々な地形で戦う。

 今回は、密林であった。

 作戦は、2組の旭谷を残して、全員で突撃するというものだ。

 亮夜、哀叉、6組の和田海斗が恭人を引きつけ、残りはバランスよく挟撃をしかけるという作戦だ。

 一方の相手は、恭人が堂々と突撃を仕掛けてきて、残りは後衛で待ち構えている。恭人一人で全滅させると言わんばかりの強引な戦い方だ。

 とはいえ、恭人の能力を考えれば、間違いとはいえない。最強のジョーカーが突撃している一方で、残りのカードは全て本陣に置いている。つまり、守りは完全ということだ。

 定石をかなぐり捨てた相手の行動に、全員が多少なりとも動揺が見られた。

 しかし、安易に作戦を変えようとしても、行動に乱れが生じて押されるだけだ。

 結局、決めた通りの作戦で押し切ることにした。

 亮夜がフィールドの半分ほどを通ろうとした時、恭人と鉢合わせることとなった。

「散れ!」

 亮夜の掛け声に合わせて、3人は近くの木に身を隠す。

 その中で、亮夜はわざと隠れているふりをして、恭人を挑発した。

 魔法は、足元を凍らせる__。

 読み取った亮夜は、ステップをとることで回避した。

 だが、ここで誤算があった。

 あくまで、亮夜は魔法の力をほぼ使わずに対抗しようとしていた。

 一度手の内を見せた以上、恭人がそう手抜き__ここでは、力の温存という意味合いが強い__をするわけがなかった。

 移動を終える前に、魔法で捕らえられれば、意味がない。

 そう、亮夜は巨大な氷山を作り出す魔法「フリーズ・マウンテン」に足を奪われた。

「まずは一人」

 さすがの亮夜も、ここまで力尽くで来られるとは思っていなかった。

 そして、亮夜があっという間に敗北したことは、全員にとって致命的な動揺へとつながった。

「僕はいい!作戦通りに進めるんだ!」

「亮夜!どうすれば!」

「とにかく時間を稼げ!」

 幸い、上半身は使える。支給された通信機に、亮夜は現状維持を必死に叫んだ。哀叉も動揺して、直接亮夜の指示を仰いで、亮夜もそれに応えた。

 その頃、哀叉と海斗は、ゲリラ戦を仕掛けるかの如く、恭人に魔法を放っていた。

 ひっきりなしに撃たれる魔法だが、魔法障壁を張れば、哀叉はともかく、海斗ならば相手にならないはずだった。

 だが、哀叉の魔力が思った以上に強く、障壁が揺らぐ程度には押されていた。

 二人の攻撃の間に障壁を張り直さなければ、その内、直撃を受けることになる。

 しかし、その攻撃にただ耐える恭人ではなかった。

 障壁を張る中、裏で魔力をチャージしていた。

 攻防が4回程繰り返された頃には、強力な魔法を放つ余裕が出来ていた。

 再び放たれる一撃。

 氷の衝撃波「アイス・ショック」が一帯を襲う。

 木をなぎ倒す程の一撃は、哀叉も海斗も耐えられるものではなかった。

 もはや、守りに回るメンバーはいない。

 相手の守りも、質は互角、量は相手が一枚上手だ。

 恭人たちのウィニングランは、必然といえるものであった。




 初戦から敗退という、幸先よくない結果であったが、その後は確実に勝利を重ねていった。

 亮夜の指揮を中心に統率をとり、得意分野を活かして戦い抜いた。

 そして、最後の戦いは、4組のクラス委員長、黄道礼二が含まれていた。

 基本的には、亮夜は遊撃として、戦場のコントロールを行っていた。

 奇襲して、無力化する、上手く立ち回って、時間稼ぎなどをして、確実に役立っていた。

 もちろん、礼二との戦いも例外なく、挑発しつつ敵を誘導していた。

「くそ、ちょこまかと!」

 敵として弱いはずなのに、中々倒せない現状に、礼二は苛立っていた。

 亮夜の方としては、ほとんどが1対1の状況なので、戦力差が大きい中で抑えられているこの状況は、こちらが少し有利だ。

 だが、この状況ならば、いつ逆転されてもおかしくない。

 ここで、亮夜はわざと違う方向に誘導させて、本拠地へ向かった。

 その間も、礼二が攻撃を仕掛けてくるのだが、先読みを利用して、確実に回避を繰り返す。

 本拠地も、他のメンバーが戦闘を繰り返していたので、旗を奪うこと自体は難しくなかったが、さすがに奪い取れば、嫌でも目立つ。

 だが、敵からすれば陣が乱れるのは確実だ。

 浮足立った相手に、一気に哀叉たちが奇襲にかかった。

 礼二たちも亮夜を攻撃しようとするのだが、この乱闘状態で亮夜を狙うのは困難だ。

「くそ!」

「待て!」

「亮夜!」

「ああ!」

 その隙に、亮夜は離脱して、自分の本拠地に戻ることが出来た。

 そして、亮夜たちのチームは、勝利で終えた。

 2回敗北したものの、総合成績2位だったので、成果としては十分すぎる程であった。

「上手くいきましたね」

「皆のおかげだよ」

「一時はどうなるかと・・・」

「あれは運が悪かっただけだろ」

 既に勝利ムードに包まれていた亮夜たち。

 そこに、ある男の怒号が飛んだ。

「ふ、ざ、け、る、な~!!!」

 黄道礼二が、会場全体に響き渡る程の凄まじい声で叫んだ。

「てめえ、よくも俺をここまでコケにしてくれたな!!」

 亮夜たちからすれば、負け惜しみとしか思えない、無様な姿であった。だが、礼二はそのような醜態を気にせずに、わめいていた。

「弱虫のくせに!!生意気なんだよ!!」

「それがチーム戦というものでしょう」

 相変わらず、亮夜は冷静に対応している。

「だったら、個人戦でぶっ飛ばしてやるよ!!」

 論理が飛躍して、決闘の申し込みにきた。誰がどう見ても、憂さ晴らしの類としか思えない。

 それどころか、礼二のチームメイトが止めている事態にまで発展していた。

「やめろ、黄道!こんなことは、お前の不名誉に繋がるだけだ!」

「分かりますよ!!でも、今ここでアイツの鼻をへし折ってやらないと気が済まない!!」

 普段なら、上級生の言う事をこびへつらうかの如く、素直に聞く礼二だが、今は完全に私怨に囚われている。

 その姿を、亮夜は憐れんだ目で見ていた。

 だが、それを見下す目で見たと解釈した礼二は、さらにエスカレートして、さらに激しく罵りだした。

「どこまで生意気な奴だ!!お前の成果など、そこの女と上級生の力を借りただけの出来損ないだ!!「10」のガキがさも自分の成果のように見せるもんじゃねえよ!!出る杭は打たれるって言うんでな、俺が叩いてやるよ!!さあ、来い!!腐った根性叩き直して、二度と俺たちの前に姿を見せんじゃねえぞ!!まだ、そんな態度をとるか!!このガキぁ!!__」

 さりげなく、哀叉をわざわざ対象として出したことは少し気になったが、ここまで来ると、呆れ始めて、憐れむどころか、無を見るかのような目__周りには、ゴミを見る目に見えていた__で、礼二を見下し始めた。

 遂には先生たちが止めに入ろうとした時、亮夜が再び口を開いた。

「そんなに僕と戦いたいのか」

 先生たちに折檻させてやろうと少し思ったが、こういうのは引きずると色々面倒なことになると直感的に判断した。

「勘違いするなよ、てめえを叩きのめすんだよ!!」

「いいよ、そんなに言うなら相手になってやるよ」

 普段の穏やかな口調や態度ではなく、ある意味で格下を相手にするような態度で、亮夜は対応した。

「そうか、なら明日、個人戦で決着をつけてやるよ!!二度と、その生意気な態度を出せないようにしてな!!」

 ここまでの話の中で、どんどん小物化して、評価が下がっていったこともあって、周囲の好意はほぼ全てが亮夜に向いていた。

 それは、礼二が試合会場から一人去った後、チームメイトから心配と同情の声を掛けられたことからも伺えた。

「その・・・舞式、大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

「試合だよ。あれでも、黄道は4組だぞ?」

 確かに、亮夜は10組に対して、礼二は4組だ。多少の実力は、亮夜も目の当たりにしているが、それを知って挑む姿は、控えめに言っても無謀としかいいようがなかった。

「亮夜・・・」

「大丈夫だよ。あれくらいなら、勝ち目はある」

「ほう、それは?」

「一応、試合の楽しみにしておきましょう」

 哀叉から心配の声をかけられ、1組のチームメイトから、興味深い態度で質問を加えられたが、亮夜はだんまりを決め込んだ。

 あんなプレッシャーのかかる状況だったのにも関わらず、さして普段と変わらない態度を見せている亮夜だったが、多くのメンバーは強がりか、楽観視のどちらかに見られていた。

 ただ、一部の人物は、勝てる見込みがあって余裕のある態度を見せていると、判断していた。

 それは、側で数回共闘した、哀叉もその内の一人であった。

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