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化け物との恋愛生活物語   作者: 神月斗華
2/3

第2話「知らない男性」

雪乃「、、、う、、ん、、、」


目を覚ます。

目の前には天井。

何の変哲もない、ただの天井。


雪乃「、、、ここは、、、どこ?」


少し首を動かして辺りを見回す。

クローゼット、テーブル、イス、窓。

見えるのは家具だけ。

それと、夜空が見える窓。暗い。


雪乃「、、、部屋、、、かしら?」


私はそう呟いて、ゆっくり起き上がる。

ふかふかのベッド。

すごく心地いい柔らかさの毛布が自身に掛けられていた。


雪乃「、、、。」


でも、私はその毛布から出て、ベッドから立ち上がる。


何故か歩きたくなった。

どうしてか分からない。

きっと朝までここにいれば、誰か来るとは思うのだが、、、、。

歩きたい。

好奇心とかではなく、ただただそう思った。


私はその部屋のドアにゆっくり近づき、ドアノブに手をかける。


キィ、、、。


少し軋むような音を立ててドアが開く。

私は、部屋の外へ出て、ドアを閉めた。


雪乃「長い廊下、、、。」


右も左も同じくらい長い廊下。

これだけ見ると、かなり大きな家なのだろう。

私は、とにかく歩きたかったので、とりあえず右の廊下へと進んだ。


雪乃「、、、綺麗な絨毯(じゅうたん)、、、どこかのお城みたい。」


綺麗な刺繍(ししゅう)が施されている絨毯がどこまでも続く廊下を歩きながらそう呟く。


雪乃「あ、階段、、、。」


しばらく進むと、下へと続く階段が現れた。

ごく普通の階段。


雪乃「、、、。」


私は、手すりにゆっくりと触れる。

ひんやり冷たい木製の手すりだ。触り心地がすごくいい。


雪乃「、、、なんだか落ち着くな、、、。」


そう言って、手すりをつたって階段を下り始める。

そして、下りきると、また長い廊下。

しかし、私はその廊下を歩くことなく、その隣を見ていた。


今までと少し色が違うドア。

それは階段から数メートル先にあった。

私は何故かそのドアに惹かれるように近づいた。


雪乃「、、、。」


無意識に手がドアノブへと伸びる。

そして、そのドアノブに手をかけて、部屋のドアを開けた時のようにゆっくり開ける。


今度は音も立てずに静かに開いたドア。

私は部屋の中を伺う。


雪乃「、、、。」


中には誰もいない。

あるのはただの静寂。

そして、窓から射し込む月明かりだけ。


雪乃「、、、誰も、、、いない、、、」


部屋の中に足を踏み入れる。

そして、部屋の中央まで歩き着いたその瞬間。


ゴロゴロ、、、ドォン!


雪乃「きゃあっ!」


突然、外で雷が轟いた。

さっきまでは何にもなかったのに、それから何度も何度も雷が轟く。

私はその場にしゃがみこむ。

私は、雷が「超」が付くほど大嫌い。

だから、雷が轟く度に悲鳴を上げる。

小さい頃はよく、お母さんが側にいてくれたけど、今はいない。


ゴロゴロ、、、!


雪乃「(うぅ、、、怖い、、、怖いよ、、、)」


ピシャァン!ゴロゴロ、、、。


雪乃「いや、、、怖い、、、!お母さん、、、!」


そんな悲痛の叫びも雷の轟音によって掻き消される。

私はついに我慢できなくなって、、、。


雪乃「いやぁぁぁ!怖い怖い怖い!!誰か助けてぇ!!!」


と、大声で叫んでしまった。

しかし、次の瞬間、突然雷の轟音が消える。


雪乃「、、、え、、、?」


私は、目に涙を溜めたまま、顔を上げる。

窓の外は、綺麗な夜空が広がっていた。

さっきまで、雷が何度も光っていたのに、、、。


雪乃「、、、あれ、、、どうして、、、?」

??「ここにいたのか。」

雪乃「ひっ!?」


突然後ろから声が聞こえた。

私は、即座に後ろを振り返った。

そこには、一人の男性が立っていた。

短髪の黒髪で、目に少し前髪がかかっている。

その間から見える、暗い赤色の目。

そして、黒の服に身を包んでいた。


雪乃「、、、あ、貴方は、、、?誰?誰?誰?」

??「落ち着け。三回も言わなくてもいいだろ。」


少し呆れた様子でそう言う男性。

私は、雷のせいで、頭が混乱していた。

すると、男性は私に近づいてきた。

ビクリと体を震わす私。

怖い。何をされるの?

あまりの怖さに私は、、、。


雪乃「来ないで!」


と、叫んだ。

それでも男性は私に近づいてきて、、、。


ガシッ。


雪乃「きゃあ!?」


突然、男性は私の手を掴んで、グイッと顔を近づける。

目と目が合う。

私は、息を飲んだ。

驚くほど顔が整っている。

しかし、何故かその目は輝きを失っていた。



??「落ち着け。オレは別に何もしない。ただ、お前を探しに来ただけだ。」


そう言って、手を離す男性。

そして、立ち上がり、、、。


??「立て。お前の部屋はここじゃない。」


そして、ドアに向かって歩き出す男性。

私は、少し警戒しながらゆっくり立ち上がりその男性についていくのだった、、、、。



~最初の部屋~


あれから元の部屋に戻ってきた私たちは、喋ったりせず、イスに座って、ただただ過ごしていた。

、、、気まずい。

さっき、私を探しに来てくれていた人にあんな拒絶をしてしまった私。

いくら、雷のせいでパニックに陥っていたとは言え、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

、、、謝ろう。


雪乃「、、、あの、、、さっきはごめんなさい。あんなこと言ってしまって、、、」

??「、、、あんなこと?」

雪乃「「来ないで」なんて、、、言って、、、」

??「あぁ、あれか。もう言われ慣れてるから別に気にもしなかったな。」

雪乃「え?」


言われ慣れてる?

一体どういうことなのだろう。


??「まぁ、別に気にするな。誰でも初対面の人物に会えば警戒ぐらいするもんだろ。」

雪乃「ごめんなさい、、、」

??「で、少しは落ち着いたのか?」

雪乃「あ、はい。お陰さまで。このお茶美味しくて、、、。」

??「そうか。ならいい。」


男性はそう言うと、自身のお茶を口に運ぶ。


雪乃「、、、あ、そういえば貴方の名前を聞いてもいいですか?」

??「ん?あぁ、名乗ってなかったな。オレの名前は「レイ」だ。」

雪乃「私は雪乃と言います。すいません。名字が思い出せなくて、、、。」

レイ「思い出せない?自分の名前だろ?」

雪乃「はい、、、けど、今のところその名前しか思い出せなくて。」

レイ「雪乃、、、か。ま、名前があるだけいいか。というかお前なんでここに来たのかってことも思い出せないのか?」

雪乃「え?いえ、それは覚えていますよ。えーと、、、確か、、、」


それから私は今までの出来事をすべて話した。


レイ「あー、、、それ、多分知ってるぞ。」

雪乃「え?そうなんですか!?」

レイ「その黒いものってやつ、オレの知り合いが最近開発したらしい魔法でな。なんでもこの次元のモノと別次元のモノを入れ替える魔法らしい。」

雪乃「え?ま、魔法?そんなもの本当にあるんですか?」

レイ「あぁ、この世界じゃそれが普通だぞ。」

雪乃「なんかおとぎ話の世界みたい。、、、あれ?ということは、その時私と何かが入れ替わったってことですか?」

レイ「まぁ、あくまでオレの予想だがな。一応、連絡しておくが、、、。」

雪乃「そうですか。ありがとうございます。あ、それとレイさん。」

レイ「なんだ?」

雪乃「レイさんはどうして私が溺れているのを知ったんですか?」

レイ「あぁ、あれか。お前は覚えてないかも知れんがオレの目の前でいきなり現れて湖に落ちるんだからどうしても何もそんなところをリアルタイムで見たらなぁ、、、。」

雪乃「驚かせてごめんなさい。でも、助けてくれてありがとうございました。」

レイ「礼はいい。、、、もう夜遅い。今夜は寝ろ。さっきのこともあったし疲れてるだろ。」

雪乃「あ、はい。それではお言葉に甘えてベッドお借りしますね。」

レイ「あぁ、また明日な。」

雪乃「はい、おやすみなさい。レイさん。」


レイさんが部屋から出ていったあと、私はベッドに潜った。

そして、レイさんが言っていた通り、疲れていたのだろう。

瞼が落ちてきて、すぐに眠ってしまったのだった、、、。





レイ「、、、もしもし、「マナ」か?あぁ、悪い悪い。1つお前に聞きたいことがあってな、、、。」


~数分後~


レイ「、、、というわけだ。いつでもいいからなるべく早く来てくれないか?、、、何?早くても2ヶ月?、、、はぁ、わかったよ。なら雪乃には伝えておく。、、、あぁ、、、じゃあな。」


通話が切れる。

オレは手のひらに出していた魔法陣を消滅させて、一息つく。


レイ「2ヶ月か、、、雪乃はなんて言うんだろうか。」


まぁ、確実に驚くだろうな。

全く、アイツも何やっているんだか。

とりあえず、雪乃には明日伝えることにしよう。

そう決めてオレは自分のベッドに寝ころぶ。


レイ「、、、今日は疲れたな。まぁ、水に入ったもんなぁ、、、仕方ないか。」


そう言って、オレは眠りにつくのだった、、、。















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