建築完了と???
建築作業が始まってから、二か月が経過した。俺もさすがに鬼ではないので一週間に一度、職人たちを町に帰している。そして、ついに、
「これがあんたの家だ。」
「おぉ!」
家が完成した。
「ありがとう。報酬はギルドに振り込んでいるから安心していいぞ。」
「そうか。俺たちの世話までしてくれて助かった。こんなやりやすい仕事は一度もなかったぞ。」
「当たり前だ。俺がサポートしたんだぞ。」
「それもそうだな。じゃあ、俺たちを町に戻してくれ。」
「了解。またな。」
「あぁ、また会おう。」
「と、その前に、」
俺は職人たちに紙の束を渡していく。
「これは?」
「それは俺の店の広告だ。冒険者たちに渡してくれ。」
「わかった。」
「では、送るぞ。」
俺は転移魔法を発動し、職人たちを町に送った。
「さて、商品作りでも始めるか。」
家に入り、奥の工房に向かい、調合作業を始めることにする。
???side
「はぁ、はぁ、はぁ」
グルルルルル!
「お姉ちゃん。助けて。」
私は魔物に追いかけられている。今回は護衛でもある姉が別の依頼を受けているので不在だった。私一人でも大丈夫だと思い、道を荷馬車で進んでいると、魔物に襲われ、荷馬車はボロボロで馬も食べられ、残った私は逃げている。そんな時だった私は家を見つけた。
どうしてこんな場所に?
そう思うと、家の扉が開き、私の横を何かが通り、
ドスンッ!
後ろを振り向くと、魔物の首が切断され、死んでいた。そして、魔物の死体の隣には男の人がいた。
「あ、あの、あなたがこの魔物を?」
「なんだ?倒したらまずかったのか?」
「い、いえ!助けてくださりありがとうございました!」
私が頭を下げると、その男性は、
「頭を上げてくれ。それにしても、その恰好からして冒険者というわけではなさそうだが、一体何者だ?」
「私はセリア。駆けだし商人です。」
「駆け出し商人?称号か?それとも職業か?」
「職業です。あの、助けていただいて何ですが、私を町まで送ってもらえませんか?」
「報酬は?」
「銀貨十枚ほどなら出せます。」
男性は悩んだ様子を見せたが、
「嫌だ。一人で帰れ。」
「ど、どうしてですか!?」
「面倒だ。それに金もあるから別に受ける必要もない。」
私は焦っている。
どうやったらこの人に助けてもらえるか考えた結果、あることを思いついた。
「なら、私はあなたの家の前で叫び続けます。この家の人は変態です、と。」
男の人はそう言われると、少し驚いた顔をした後、
「はぁ~分かった。町まで送ればいいんだろ?」
「では、送ってもらえるのですね?」
「ほら、着いてこい。」
私はその男性に連れられ、森を抜けた。そのまま町に向かい、町につくと、その男の人と分かれた。
「…あの人はいったい何者?」
私はまた男の人に会いに行こうと思った。今度は護衛を連れて。