建築ギルドに依頼しました
「………良いことを思いついた。」
ギルドを出た俺は、これからどうしようかと悩んだ結果、
「薬師になろう。」
ということになりました。理由は?と、聴かれれば…ない。単なる気まぐれです。
「薬師になるとは言ったが、どこかに土地を買わないといけないし…そういえば、町の外にある森の中なら、だれも文句は言わないだろう。念のために王様に許可証も発行してもらおう。ついでに薬師の資格も。」
俺は、転移魔法を使い王様のいる場所にとんだ。どうやって王様のいる場所を見つけられたについては、簡単だ。頭の中で転移したい場所、または人物を思い浮かべれば、そこに転移できるというわけだ。なので、
「昨日ぶりだな。」
「うお!?え、英雄殿?どうしてここに?」
「いや、実は頼みたいことがあって。」
「頼みたいこととは?町の近くにある森の中央部の土地だけ俺に売ってくれないか?後、俺に薬師としての資格を認めてほしい。」
俺がそういうと、
「分かった。森の中央部の土地だけを売却し、薬師としての資格も認める。ただし、税金は払ってもらうぞ。」
「あぁ、もちろんだ。ちゃんと、森の中央部まで来いよ。」
「わかっている。ほれ、薬師としての資格証と土地の登記事項証明書だ。」
「どうして、登記事項証明書なんてあるんだ?ここは日本かよ。」
そう呟いたが、気にするのをやめ、森の中央部に転移する。転移した俺は、自分の土地だけ、木を伐採し、店兼家を作ることにした。が、
「作り方が分からない。周りを整地しても意味がなかった…」
と、このような事態に陥ってしまった。建築技術はさすがにない。ということで、
「建築ギルドに行こう。」
建築ギルド、それは、家や店など建物を建てるスペシャリストたちがそろったギルドのことだ。
俺は建築ギルドに急いで向かった。
建築ギルドに到着した俺は、早速依頼を出すことにした。依頼を出すと、受付嬢が今現在、仕事が入っていないギルドメンバーを招集してくれた。
「この方々が依頼を受けてくださる方々です。」
受付嬢がそういうと、建築ギルドの人たちは、
「おいおい、こんな餓鬼が家を作ってほしいと依頼したのかよ。」
「いやいや、ありえねぇだろ。」
俺を馬鹿にしてきたので、少しだけ殺気を出してみると、職人たちが全員おびえてしまっている。
ふむ、やりすぎたのか?というより、これではまるで脅迫だな。まぁいいか。
「おい、おっさんども、てめぇら、依頼を受けるのか受けねぇのか、どっちだ?」
そういうと、全員が、
「「「「「「受けます!」」」」」」
「よし、なら今すぐ、作業着に着替え、工具を持ち、俺のもとに集まれ。タイムリミットは三十分だ。よーい…ドン!」
集まったメンバーが、全員建物から出て行った。
三十分後
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「全員そろったな。じゃあ行くぞ。」
問答無用で職人全員を森の中央部に転移する。突然の転移に戸惑っている様子なので、転移魔法のことを教えると、全員が納得した。
「では、今から設計図を渡す。」
「あんたが設計図を作ったのか?」
「設計図なら作れる。それに、今回作ってもらう家は二階建ての一階は店兼薬の調合室、二階は住居だ。では、作業開始!」
俺がそういうと、職人たちが一斉に作業に入った。家ができるまで俺は、職人たちが寝泊まりできる場所を作ることにする。
まず、アイテムバッグから、巨大なテントを十張ほど取り出し、設営していく。テントがすべて完成すると、次はベットを職人の人数分用意し、テント内に置いていきます。それが終わると、巨大(縦十メートル、横三十メートル)の風呂を取り出し、設置し、口から無限に湯が湧き続けるライオンの像を置いた。ちなみにトイレのほうもちゃんと設置している。どうしてこんなアイテムを持っているのか気になったか?答えは簡単だ。ゲーム時代に風呂を作ってくれ、トイレを作ってくれ、テントを作ってくれなど、そういうクエストを受け続けた結果がこれだ。あ、キッチンはちゃんと作っているぞ。ついでに食堂も。
こうして、職人たちの住居を確保することができたのだった。
一日目の作業を終えた職人たちは、自分たちが泊まり込みで仕事をすることを知らなかったようだが、泊まり込みで仕事ができる環境も整えているのだ帰らせるわけにはいかない。ということで、仕事が終わるまで、森の中央部からは出られないように影で結界のようなものを張ります。これでもう、出られません。
職人たちは絶望したような顔をしていたが、これから生活する環境を見ると喜んでいた。
さて、家はいつになったらできるのでしょうか?俺は転移魔法で宿屋に戻り寝ることにした。
俺だけ宿で寝るとかずるいと思っている奴らよ………宿より職人たちの住居のほうが居心地がいいんだぞ!