王城に入りました
王城に連行されている俺は、質問攻めにあっている。
「貴方は三百年前の時代から来たのですか?」
「三百年前?そういえば、門番もそういってたような。」
「貴方は自らの命をかけて、神殺しの悪魔を倒した。違いますか?」
「あ、そこは違う。俺は手古摺ったが命を落としてはいない。」
「!?…それは、本当ですか?」
「あぁ、二時間近く戦ったが、ギリギリ倒したぞ。」
「…私が知っている歴史と違う。」
「うん?何か言ったか?」
「何でもありません。それより、王城に着きました。」
王城についた俺たちは騎士?に止められることもなく、普通に城の中に入ることができ、王様がいる玉座の間に案内された。ちなみにだが、俺の見た目は、ザ・暗殺者という恰好だ。
「よくぞ来られた。英雄殿よ。」
「どういうことだ?俺は英雄でも何でもない、ただの暗殺者だぞ。」
「貴様!陛下に向かって無礼であろう!」
貴族?のような奴らがうるさいので、
「『影縛り』。」
「な、なんだこれは!?」
俺は騒いでいた貴族の影を使い、その貴族の口を封じた。この能力は俺の固有スキル『影操者』を使っている。
「さて、王様、俺にいったい何の用だ?」
「いや、英雄殿がこの町に来ているという情報を掴んだので、どのような者か確かめたかっただけだが…少し頼みたいことがある?」
「なんだ?」
「顔を見せてはくれないか?」
「嫌だ。暗殺者だぞ。そう、簡単に顔を見せるわけがないだろう。」
「それもそうか。」
「頼み事はもう終わりか?」
「いや、まだある。」
「何だ?言ってみろ。」
「英雄殿が持っているゴールドを十枚ほど私にもらえないか?」
「両替という形ならいいぞ。俺は今の時代の硬貨を持っていないからな。」
「それで構わない。では、白金貨三十枚持ってきてくれ。」
侍女に取りに行かせ、少し経ち、
「これが、白金貨三十枚だ。」
「確認した。俺はこれから宿を探さなければならない。だから、もう帰っていいか?」
「あぁ、構わない。ただ、一つ忠告しておく、むやみに自分の名前を使うのはやめておいたほうが良いぞ。」
「なぜだ?」
「フェイズという名前はこの世界を探しても、貴殿殿しかいないからだ。」
俺はそう言われ、驚いて少し固まってしまったが、
「分かった。その忠告を肝に銘じておく。じゃあな。」
そう言って俺は、王城を後にした。
「何か忘れているような気が…あ、ギルドに素材を置いてきたの忘れてた。」
俺は急いでギルドに戻り、素材を換金してもらった。その後、宿を見つけ、泊まる場所を確保した。白金貨を出したときは宿の女将さんは驚いていたが泊めてもらうことができた。
俺は自分の部屋に入り、ベッドに横になり、そのまま寝てしまった。