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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
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第九話 嘘で駄目なら餌付け

是非ともお読みください。

 紳士にしてジェントルマン、小学生の時にちょっとませた女子から「透君って優しいよねー」と言われていたまでの俺は、相川をまず説得することにした。別に小学生の頃優しいと言われたのは俺が純粋に男女に分け隔てなく優しくしていたからであって、決してそれ以外に誉められる部分がなかったという訳ではない。話が逸れたが、俺はあまり力ずくという手段を好まない。だからこそ、説得などという手間のかかる手段を選ぶのだ。これがチャラチャラしていて見た目が馬鹿そうな男ならばヘラヘラ笑いながらそのまま部屋で喋るのだろうが、俺はそんなのお断りだ。あの幼馴染みが持ってくるのは大概面倒なことばかりだ。トラブルメイカーを辞書で調べたら相川の名前が載っていてもおかしくはない。だから、俺はなんとしてでもこの幼馴染みを追い出さなければならないのだ。


 説得とは言ったものの、俺には特に相川を追い出す策がある訳でもないため、ここは汎用性の高い伝家の宝刀を使うことにした。


「相川、ふざけるのはいい加減にしてさっさと出ていけ。俺はこの後用事があるんだよ」


「そうなの?じゃあついていっていい?」


 伝家の宝刀、敗れたり。まさかその回答をされるとは思わなかった。汎用性の高い嘘はそれゆえに信憑性も落ちているというのだろうか。それはさておき初手を思いっきり失敗した俺は、次の手を考えることにした。思いついたのは、相川に相応しいであろう素晴らしい作戦だ。


「ほら、本当に帰ってくれ。帰ってくれるんだったらお菓子やるから」


「ほはひっへはひほふへふほー?」


 気付いた時にはもう食べていた。相川早織、恐るべし。というか、他人の家にある菓子を勝手に漁って食べるって女性というか人としてどうなのだろうか。どうせ幼馴染みがいるならもっと淑やかで優しい人が良かった。それは単なる俺のエゴかもしれないが、こんな厳しい現実の前に下らない妄想すら吐き出せない世の中になっては息苦しい。いい加減相川には帰って欲しい。だが、今のところ俺は二回連続で失敗している。そこで、俺は他人に相談してみることにした。

読了、ありがとうございました。

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