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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
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第7話 類は友を呼ぶのにも限界はある

ぜひともお読みくださいませ。

 朝、目を覚ました俺は、珍しく動悸と息切れを起こしていた。どんな夢だったのかはさっぱり思い出せないが、悪夢を見ていたということだけは簡単に思い出せる。ただし、起床時間はいつも通りだ。起きた時にはもう母はおらず、机の上にはメモが残されていた。そのメモを見ると、冷蔵庫に材料があるから自分で作れということらしい。いつもなら冷蔵庫に入っているのは完成品だが、どうやら今日に限って時間がなかったようだ。面倒だが、自分で作るしかあるまい。俺は、ただ無職をやっているわけではなく、あくまでも普段養ってもらっている母親の家事を手伝うために必要な技能を必要以上に磨いている。だから、自炊など朝飯前なのだ。実際、朝飯を自分で作るからどんなに時間がかかっても朝飯前なんだが。そんな下らない事を考えていると、チャイムが軽やかに鳴った。いつもならすぐに出るところだが、そこも俺は学ぶところ、扉を開ける前に誰がチャイムを鳴らしたのか確認する。すると、そこいたのは黒い猫がトレードマークの宅配の人だった。警戒が無意味になったのはちょっと虚しいが、まあいいだろう。すぐさま扉を開ける。


「ありがとうございます。今はんこ持って来ますね」


 宅配の人に一声かけて、部屋に戻って引き出しからはんこを取りだし、持っていく。俺は荷物を頼んだ覚えがないから多分母親の荷物だろう。荷物を受け取り、差し出された書面に印鑑を押す。そのまま振り返り家に戻ろうとしたところで、聞き慣れた声がした。


「引き続きよろしいですかー?」


「よろしくない。帰れ」


 そう、相川だ。あまりの鬱陶しさに否定がほぼ脊髄反射になってしまっている。というか、その怪しい新興宗教の勧誘みたいな入り方はどうにかならないのか。もっといくらかましな方法がいくらでもあっただろう。だが、本人の性格を上手く反映していると言えるだろう。言葉巧みに人にあることないこと吹き込むというのは、相川の特徴を分かりやすく説明している。とにかく、面倒事に巻き込まれるのは御免だ。そうして断ろうとした時にはもう遅く、相川は我が家に上がり込んでいた。

お読みいただきありがとうございました。よろしければ感想をお願いします。

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