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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
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第6話 男の娘は可愛いから男の娘

ぜひともお読みくださいませ。

「お前か、望さんに余計なことを吹き込んだのは!自分で望さんの悩みの種作っておいて他人に相談させに行くって、お前何がしたいんだよ!」


「あ、そうだ忘れてた!や、私は望ちゃんはそのままでも可愛いけど、やっぱり男らしくなりたいって属性があった方が萌えるかなーって」


「殴られるか蹴られるか、選べ」


 元凶はまさかの馬鹿だった。こんな馬鹿が幼なじみとは実に恥ずかしい。恥ずかし過ぎて悶絶しながらそこら辺を転げ回り、しまいには穴に落ちてそのまま埋まりたい。だがしかしそうなればそれはただの生き仏で、残念ながら腹痛の時など非常時にしか神や仏を信じない半端な信仰しかないので、生き仏は勘弁したい。そうなれば、この幼なじみに正義の制裁を加えるしかない。決して理不尽な暴力ではない。少なくとも理不尽ではない。


「なんてひどい男なんだ!うら若き乙女に暴行を目論むなんて、非人道極まりないよ!」


「誰がうら若き乙女だよ。自画自賛するのもいい加減にしろ。あと、さっきよりも少し単語が増えてんじゃねえか」


 俺達が口論を繰り広げていると、どうしたものかわからない望さんがおろおろしていた。そんな望さんも可愛い。どうせ幼なじみになるなら相川よりも望さんが良かった。もしそうだったのなら皆幸せなのに、と一人虚しさを感じていると、それを見て何を勘違いしたのか、望さんが


「大丈夫ですか?気分が悪いならもう帰りますよ……?」


 と上目遣いで尋ねてきた。圧倒的な可愛さ。まるで天使のようである。相川と比較するのは、虚しくなるだけなのでもうやめた。それよりも、望さんは引き留めなければならない。今、望さんがいなくなれば、この苛立たしい幼なじみを追い出さなければならなくなる。それに加えて、癒しを失う訳にもいかない。正直、もう相川を殴り飛ばすのは諦めて望さんと二人きりになりたい。そんな思いを胸に俺は相川を追い出そうとしたところで、一つ言っておかねばならないことを思い出した。


「おい、人の家でそこまでだらけるな。今すぐ帰れ。あと、その前に望さんが男らしくなった方が良いとかいうその悪戯けた台詞を撤回しろ」


「えー、もうちょっとのんびりしていきたかったのに。まあいいや、確かに望ちゃんは今のままでいいかもしれないね」


「えっ……」


 突然の手のひら返しに望さんが困惑しているのを見て、俺は怒りが膨らんでくるのを感じた。しかし言うように命令したのは俺なので、あまり文句も言えない。とりあえず、これで望さんの悩みは解決したということで良いだろう。言い出しっぺが問題となった発言を撤回したことだし。解決していないのなら、今度は個別に相談に乗ろう。そうだ、それが良い。とりあえず相川は家から強制退場させ、その後も少しだけ望さんとの談笑を楽しんだ。

読了ありがとうございました。次回は日常に戻ります。

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