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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
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第5話 諸悪の根源と本当の幸せはすぐ近くにある

ぜひお読みください。

 我が幼馴染みながら相当気持ち悪い奇声をあげた相川は、大慌てしているような演技でこんなことを言った。


「大変だ!この後どうしても外せない用事があるんだった!それじゃあ急いでるから私はここで失礼させてもらおうかな」


 大根役者にも程がある演技で逃げようとする幼馴染みの襟を掴んで引っ張る。逃がしてたまるか。初対面で二人きりとか人見知りの俺にはいささか荷が重すぎる。


「おい待て。そんな簡単に逃げられるとは思うなよ。ここまで来てお前が離脱できる訳ないだろうが」


「いや、だから急いでるんだってば。大丈夫、望ちゃんにそっちの気は無いから。あ、君も変なこと考えるんじゃないよ?」


「しねえよ。俺はそんな失礼なことをする輩じゃない。そもそも、お前用事なんて無いだろ」


「ちっ、ばれたか」


 舌打ちされると苛立ちが一層強まる。こいつ実は人を苛立たせる天才じゃなかろうか。それはともかく、今は逃がす訳にはいかないので、襟を掴んだまま席に戻らせた。


「ひどいや、君は淑女に対しての敬意がなってないんだね!」


「この場に淑女って居たか?ああ、望さんのことか。確かにこの扱いは無礼だったかもしれないな」


 口を尖らせて抗議する相川に軽口を叩きつつ、何か菓子類は無かったかと探す。俺は一日を主に家で過ごしているため、菓子が無いなんてことは無いはずだ。そこで、先程買い物に行った時に多めに買っていたのを思い出した。適当に二、三種類取り出して、望さんの前に置く。すかさず横から出た手をはたき落とし、菓子を勧める。甘い物が好きなのか、望さんは目を輝かせてこちらを窺ってくる。俺がそれに無言で頷くと、嬉しそうに食べ始めた。こんなに可愛い人に食べられて、お菓子もさぞ幸せだろう。拗ねている馬鹿には煎餅をやった。望さんがほわほわした表情から脱して、一息ついたところで話を戻す。


「望さんは何故変わりたいと思ったんですか?」


「男なのに、男らしくないのは恥ずかしいことだって……友人に言われたので」


「その友人って誰ですか?俺が殴りに……じゃなくて、説教して来ますよ」


「私の隣で煎餅かじってる人です……」


 望さんの言葉を聞いて、一生懸命煎餅を頬張っていたアホ川は、自分のことを指された理由がわからないとばかりに首をかしげていた。

まだ少し続きます。

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