第4話目 美少女はどんな表情でも可愛い
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問題の悩んでいることを尋ねると、望さんはそれをあまり言いたくない様子だったが、ためらいがちに小さめの声でこう言った。
「馬鹿らしい悩みかもしれませんけど、私のこの内気で女々しい性格を直したいんです……」
あまりにも可愛らしい声に一瞬意識が飛びかけたが、望さんが言ったことの簡単な内容は理解した。なんて勿体無いことを言うのだろうか。望さんは十分に可愛いし、その性格を直す必要などない。そのことを伝えなければならない。
「何を言っているんですか、望さん。そのままの望さんで十分に可愛いですよ!」
俺の言葉を聞いた望さんはしかし、少ししょげたように肩を落とした。おお、しょげた望さんもとても可愛い。しかしながら、当然笑顔の方が可愛いに決まっているので、どうしてそんなに残念そうに尋ねようとしたその時、幼馴染みの馬鹿が口をはさんできた。
「君は馬鹿なの?能無しにも程があると思うよ?それが駄目だから相談しに来てるんだよ?間抜けなのもいい加減にしてよ」
突然飛んできた罵詈雑言に、俺は顔の筋肉を使えるだけ使って、不快感を表す。何が悲しくてこの馬鹿に罵倒されなければならないのだろうか。それに、文句を言うにしても、こいつではなく望さんが言うべきだ。いくら望さんが内気だとしても、こいつが言っていい理由にはならない。あと、望さんの代弁だったとしても、きっと望さんはそんな汚い言葉は使わない。文句を返しても問題はあるまい。
「なんでお前が俺にそんな酷いことを言うんだよ。望さんが言うならともかく、お前に言われる筋合いは無い」
すると、それを聞いていた望さんが、申し訳なさそうにこんなことを言った。
「ごめんなさい……さっきの相川さんが言ったこと、大体私の気持ちを代弁出来てます。さすがに、馬鹿にするような言葉は駄目ですけど……」
何とびっくり、さっきあの馬鹿が言ったことは間違っていなかったというのか。驚きを隠せない俺の表情に、望さんはより申し訳なさそうになってしまった。その顔を見ていると、こっちまで申し訳なくなってくる。しかし、本題である望さんの悩みは、俺には解決出来ないし、する必要も無いとしか思えない。申し訳ないが、ここは断るしか無い。なまじ解決出来ると期待させれば、結果として、望さんを悲しませることになる。それでも、どこか改善する部分はあるかもしれないが、そんな不確定要素に任せるよりは、きっぱりと断った方がいい。断腸の思いで望さんに出来ないことを告げようとすると、馬鹿な幼馴染み、略してばかななじみが急に変な声を出した。
まだ続きます。