第33話 いつもとは逆
とても短いです。
話が全く掴めないが、相手の表情から察するに敵意はないようだ。
「せっかくの機会だから、どんな人だったのか話してみたかっただけだ。あまり警戒しないでくれ」
彼が言うにはそうらしいが、実のところはわからない。まあこの場面で嘘をつくとは思えないし、実際そうなのだろう。そういえば、さっきから俺と葉山父以外は黙ってしまっている。俺と同じようにこの緊迫感に威圧されているのだろうか。もし気を遣ってくれているのなら、むしろもっと喋ってほしい。この空間が、中途半端な沈黙がとても気まずい。相川もさっきから物憂げに窓から外を眺めているだけである。なかなか似合わないことをしているが、そういうのは帰ってからにしてほしい。普段静かにしてほしい時に限って騒ぐくせに、こういう時には静かにするから困ったものだ。
「わかりました…じゃあ警戒はしません。でも話すといっても大した人間じゃないですよ。なあ、相川?」
相川に話を振ってみる。さすがにこれで反応しなかったら、こいつを受付に連れていって医者に診てもらうべきだろう。
「えっ?なぁに?ごめんちょっと考え事してて」
相川が考え事に集中していて話を聞いていなかっただと?まさかそんかことがあり得るのだろうか。にわかには信じがたいが、様子を見る限りそれは真実である。相川が少し心配になってきた。
「はは、謙遜しないでくれ。相川さんから君が面白い人だと言うのは聞いているからな」
案の定、相川は俺のことを良いように紹介していたらしい。だが俺は言った通り大した人物ではないし、過大評価されても困る。
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