第31話 家事には熱心
短いです。
我ながら情けないことだが、相川に従う以外に選択肢がない。これで俺にも何か対抗できる力があれば、とは思うが、所詮祖とで活発に購読してる奴には敵わないのである。ともあれ、そうと決まればこれ以上無駄に我が家が侵略される前に、相川を止めなければならない。
「わかったわかった。行けばいいんだろう?そこで何があったとしても俺は関係ないからな」
「まったく、最初から素直にそう答えてればいいものを!君はいつもひねくれてるよね」
どうやらもう機嫌が直ったらしく、手首を握る力が弱まっている。今のうちに逃げられないこともないだろうが、逃げられたからなんだというのだ。俺はしぶしぶ靴を履き、相川についていく。一体どうなることやらわからないが、夕飯時までに終わるといいな。
今回、俺の説得に時間がかかると踏んで、タクシーを呼んでいなかったらしい。そのため、俺はわざわざ玄関から出て相川がタクシーを呼ぶのを待つことになった。こんなことなら家の中でもよかっただろうとは思ったが、無駄な抵抗はせずおとなしく待つことにした。タクシーが来るまでの間、俺たちが会話することはなかった。ただ、相川の機嫌は決して悪そうではなかったから、怒っていて話していない訳ではないだろう。
かくして、俺たちは彼女が入院している病院まで来た。改めて考えると少し怖いが、既に逃げ場はない。あの子の親が一体何を言うのか、それが変ないちゃもんでなければいいなと願うばかりだ。そして、病室の前まで不安と緊張が入り乱れる時間が流れた。病室の扉を開けると、ずっと待っていたのかは知らないが、葉山一家がそこにいた。
「お待たせしました、彼が例の人です」
「おねーちゃんやっと来た!待ってたよー」
「初めまして、この子の父親です」
どうやら俺の紹介は済んでいたらしい。それもそうか、知らない人間を呼ぶ訳がない。なんにせよ、長居はしたくない。まだ終わっていない家事が大量にあるのだ。早く帰ってこなさなければならない。だから、俺は単刀直入に本題から入ろうとした。だが、
「君を呼んだのは他でもない、この子の事故についてだ」
先手を打たれた。というか、そんなことはわかりきっている。他に心当たりなどない。問題は、その事故について俺がどう扱われるか、だ。葉山ちゃんの事故の一端を担ったのは確かに俺だが、ほとんど言いがかりのレベルだと思っている。それに、なんなら本人からはお礼も言われてしまった。さすがに彼女の親の前でそれを言うような人間ではないが、最悪切り札として用意していてもいい気がしている。とりあえず、俺は尋ねてみる。
「彼女が事故に遭って陸上の大会に出場できなくなってしまったのは知ってます。話はそれに関することですよね?」
少し掘り下げただけだが、だんまりを決め込むよりは少しばかりマシだろう。早く帰るには早く話を進める必要があるのだから。
お読みいただきありがとうございました。




