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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
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第25話 身近な味暗し

短いです。

 いざ、賞味の時である。それは甘そうな色をしていて、具体的には苺か林檎に似た赤をしていた。また、パッケージでは気づかなかったが、中には小さい粒が無数に入っている。これは食感も期待できそうだ。とにかく、考えるのはやめてパンに塗る。何をどう考えたとしても味は変わらないし、食べてみたほうがずっと早くわかるだろう。俺はスープを横目にそれを塗ったパンを口に運んだ。

 俺の予想通り、それは結構甘かった。デザートにするにはちょうどいいくらいだ。そしてとても美味しい。なぜ売れてなかったのかわからないほど美味しい。毎日食べ続けられるかと言えばまぁ微妙だが、それにしても十分な美味しさである。あまりくどくなく、舌触りもいい。これから俺の朝ご飯はこれにしたい。飽きるのは早そうだが、その前に食べきるのが先であろう。もし食べきって飽きていなかったらまた買うのもいい。というか、今晩のデザートに出したい。仕事で疲れている親にこれを食べて貰えば、喜んでもらえるだろう。ただ、一つ問題があった。それなりに料理のできる自信がある俺だが、作れるデザートの種類が少ないのである。しかも、作るよりも買った方が早いため、最近全く作っていなかったのだ。なんなら、最後に作ったのがいつか思い出せない。しかし、そんな俺でも作れないということはない。技術の発展とは偉大なもので、今時わからないことは大抵インターネットで調べることができるのである。

 俺はこれがジャムのようなものであると推測した。実際味も食感もそうだったからだ。それならば、ジャムと同じ使い方ができるだろう。パンに塗るのもその一つだ。そうなれば、あとは何を作るかだ。俺は少しばかり悩んだあと、マフィンを作ることにした。思えばいつも食べるのは揚げた薄切りじゃがいもか和菓子なので、洋菓子を食べるいい機会だろう。まぁ、ジャムを使った和菓子などそうそうないだろうが。そうと決まれば、と俺は材料が家にあるか探し始めた。

 材料は全て揃っていた。日頃からなるべく料理に使うものを切らさないように気を使っていたおかげだろう。ともあれ、レシピにしたがって料理を始める。とりあえず不味くなるということはないだろうし、作り慣れていないからといって大きな失敗をすることもないだろう。そうなれば心配はなく、淡々と作るだけだ。そしてマフィンを焼く頃に、俺はようやくこの美味しいジャムのようなものの名前も検索すれば出てくるであろうことに気がついた。

 どういう発音をしてどんな意味を持つか知らないだけで、別にアルファベットが読めない訳ではない。翻訳サイトを使えば、いとも簡単にわかるだろう。しかし、それの名前はうまく翻訳することができなかったようだ。少し浅慮だったのは、名詞をそのまま商品名にしている商品はあまり多くはないという事実を忘れていたことだ。気を取り直して、俺は商品名で検索することにした。何故最初からこうしなかったのか。すると、これを売っている会社の公式ホームページのようなものが見つかった。それを開くと、当然ながら全て英語である。さすがにこれを全て自力で翻訳するなんてことはできないため、検索エンジンに搭載されていたホームページを翻訳する機能に頼った。答えは意外と身近なものだった。というか、俺は食べたことがあるだろうに気づかなかったのか、と今更ながら呆れる。

 それは、マーマレードだった。

お読みいただきありがとうございました。

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