第23話 義務教育は意外と大事
短いです。
俺は悔しげな相川を尻目に病室を出ることに成功した。正直、服を引っ張られるなりして止められると思っていたから、少し驚いた。とはいえ、これで帰ることができるならそれに越したことはない。俺は速やかに病院を出て、タクシーを捕まえた。勿論来た時のように無意味に詰られることもなく、特に精神的なダメージを受けずに帰宅することができた。相川に次会った時がちょっと怖いが、別に俺は相川がいないと駄目な訳じゃない。一人でも十分に生きていくことができる。いや、家族がいないと暮らしてはいけないが。とにかく、俺は夕飯を作り、いつも通りの生活をしなければならないのだ。何か異変が起きたからって、関係のない周囲がそれにすぐに対応することなんてほとんどないのだから。
その翌日、俺は普段より遅く起きた。そのせいで、朝早くの身支度と朝食を作ることができなかった。朝食は優しい母が代わりに作っていてくれたらしく、なんとか朝食抜きは免れた。しかし、俺は大切なことを忘れていたのである。なんと今日は月に一度のセールの日なのだ。なんということだろうか。今から行っても間に合いはするだろうが、お目当てのものがあるかどうかは怪しい。今月はタクシーで無駄な出費をしてしまったため、なるべく節約したい。特に買いたいものがあるわけではないが、急に必要になった時に備えて貯金があって困ることはない。そしてやはり、親に養ってもらっている身としては、無駄な出費は押さえたいものだ。そう考えると、昨日のタクシー代は勿体無かった気もするが、あそこからバス停を探して自宅付近に停まるバスに乗るのは面倒だったし、なによりあまり見知らぬ土地に長く滞在したくない。旅行などの目的で来たならともかく、地元でないと迷いそうで怖いのだ。こんなことを言ったら子どもみたいと笑われそうだが、話す相手がいないから何の問題もない。とにかく、顔を洗っている最中に上記の事実に気づいた俺は、速やかに買い物に行く準備をして、スーパーへと向かった。
結論から言うと、欲しいものは手に入らなかったが、新しい掘り出し物を見つけることができた。俺が着いた頃には既に野菜や卵は売り切れ、キッチンペーパーなどの消耗品が少し残っていた程度だった。しかし、それは月に一度のセールとは違う、売れ行きがあまりよくないであろう棚にあった。どうやらパンなどにつけて食べるらしく、箱の全面にはパンとその商品が映っていた。しかし俺にはその内容を全て判別することはできなかった。なんとその箱は輸入品だったのである。
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