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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
22/33

第22話 本人の目の前で

短いです。

 俺は無力感を覚える前に、この件から速やかに手を引き日常に戻るべきである。そしてたまに思い出すくらいがちょうどいい。勿論、先ほど言った通りこの子のお見舞いには行く。しかし、それもこの子が退院すれば行かなくなる。そうなれば、もう二度と関わることはないだろう。それでいいのだ。そもそも、この少女の様子を見るに相川が変なことを言い出さなければこの少女に会うこともなかったのではないだろうか。いや、だからこそ相川は変なことを言い出したのだろうが。それはきっと俺にこの子を助けろとかそんな意味合いが含まれているに違いない。だがやっぱりお断りだ。できないことに挑むほど俺は勇ましくない。大体、相川だってこうなることは十分に予想できたはずだ。伊達に幼なじみをしているわけではないのだ。その賜物としてテレパシーまがいの意志疎通などがあるわけだし、正直なところ相川は俺の行動をある程度予測することができるだろう。俺は相川と違って見知らぬ他人と接する機会が極端に少ないから、不確定の要素が少ないのも原因ではあるだろうが。なんにせよ、相川は俺が強く断ると知っていてこの病室に来るようにしたと考えていいだろう。だが、何故だ?断られるのがわかっていて、そこまでして俺を呼んだ理由はなんなんだろうか。俺なら絶対にそんなことはしない。無駄だとわかっているからだ。だというのに、相川は違ったようだ。相変わらずこいつのことはわからない。俺よりもたくさんの人と触れあっているから当然ではあるだろうが。だが、相川にどんな思惑があろうと俺は譲らない。無理なものは無理で、それは覆らない。勇気を出してみても傷つくだけなのだ。だから俺は断る。

「義務があろうが俺にできないことはできない。だから俺は帰るし、この子の親に文句を言うようなことはしない」

「駄目だよ、そんなの。葉山ちゃんが許しても私が許さない」

「大体、何かしたいならお前がやればいい。俺がやる必要はないだろう」

言い返してから気付いたが、先に病室を出たほうがよかったのではないか。これでは少女に失礼だ____とは思ったが、相川の様子をみるとそれはできなさそうだ。

「それはほら、君のせいで葉山ちゃんは入院することになったんだし」

「そんなのほとんど言いがかりだろ?当の本人が感謝してるんじゃ話にならない」

相川が言葉に詰まる。こんなのただの言いがかりだから当然ではあるが。さて、相川が悔しそうにしてる間に病室を出るとしよう。

お読みいただきありがとうございました。

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