第21話 諦めてしまえば
短いです。
俺には問題を解決するだけの力はない。そして、それは相川も同じのはずだ。だから、俺はこの件に関しては余計なことをしない。至極当然のことだ。もうやることがないのなら、と俺は少女に一声かけて帰ろうとした。
「お前も色々大変だったんだな……俺はそろそろ帰るよ、また今度お見舞いに来るからその時は暇潰しになりそうなものを持ってくる」
「ありがとう、でもどうせ持ってきてくれるならお菓子がいいかな」
「わかった、じゃあまた来る」
そこまで言ったところで、相川が俺の服を掴んできた。まだ残っていろということだろうか。しかし俺はもう話すことはないし、財布を持ってきているからタクシーを使って帰ることができる。相川は俺が無一文だと思って一緒に帰るためにタクシーを呼ぶから待っておけとでも思っているのだろうか。そんなことはなかった。そもそも、それならそう言うだろう。いくら相川が俺に対してテレパシーばりのアイコンタクトでのコミュニケーションを要求してくる奴だとしても、相川なら先手を打って言うだろう。例えば、俺が帰りの手段がないって言おうとした時とかな。しかし相川が言いたいのはそういうことではないらしかった。
「なんで帰ろうとしてるの?なんで私がめちゃくちゃ言ってまで連れてきたと思ってるの?」
普通に怒られた。というか、めちゃくちゃを言ってる自覚はあったのか。今の言い方だと、相川がわざとあんな言い方をしてまで俺を連れてきたように聞こえるが、それで合っているのか?もしそうだとしたら俺は相川にしてやられたことになる。それはそれとして、相川はまさか俺にこの問題を解決しろとでも言うのだろうか。そんなの無理だ。俺は帰る。
「なんでって、俺はもう用が済んだからな。もうやることもないだろ?」
「いいや、あるよ。君にはこの子の抱えてる問題を解決する義務がある。言わなくてもわかると思ったんだけど」
「わかってても言わなかっただけだ、俺にはそんなことできないからな」
というか言ってて気付いたんだが、これは少女本人の目の前で行われるやり取りであってはならないのではないか。少女は若干気まずそうに苦笑を浮かべている。なんにせよ、俺はやる気がない。できないことに手間を割くくらいなら、自宅警備員として家事をしたりしたほうがずっといいからだ。
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