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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
18/33

第18話 快活そうな少女

すごく短いです

 病室の扉を開けた俺の目に入ってきたのは、ベッドで欠伸しながら漫画を読む快活そうな少女の姿だった。名前は葉山彩というそうで、陸上部に所属しているらしい。ここに来るまでに相川に色々と教えてもらったから知っている。ただ、何故相川はここまでこの少女についての情報を持っているのだろうか。いくらなんでも知り過ぎな気がする。まさかとは思うが変なことをしたのではなどと考えてしまう。とにかく、陸上部で快活そうなのに事故に遭わせてしまって運動することもできなくなってしまったことに関して、俺は謝らねばならないのではないか。そう思い口を開こうとすると、葉山彩が先に声をかけてきた。

「あ、相川お姉ちゃんだ。ということは、そっちの人が話の人?」

「そう、引きこもりで絶賛無職の私の友達」

 なんということだろう、相川と少女は既に仲良くなっていたようだ。というか、なぜそんなに紹介に悪意がこもっているのだろうか。軽口というレベルではないのだろうか。これが我が悪友の前だとか、相川の友達の前とかならまだわかりはする。相川が少し口の悪い冗談を言っているとわかってくれているからだ。しかし、これから謝罪する相手に対して、これはないだろう。だが、俺の予想とは反対に、少女の口からは驚きの言葉が出てきた。

「ありがとね、無職のお兄さん!おかげで助かったよ!」

俺は思わず聞き返した。返ってくる言葉の意味に変化はなかった。怒られこそすれ、感謝されることはないはずだ。相川を一瞥すると、こいつは驚く俺を見てにやついていた。

「あの、どういうことですか?まだ話がつかめていないのですぎゃ」

話を聞こうとして、思い切り噛んだ。俺は、初対面の人とはたとえ年下であっても敬語で話すべきだと考えている。それに、本来なら謝罪したであろう相手になら尚更だ。だが、俺は噛んでしまった。失敗するべきではない場面で、思い切り噛んでしまったのだ。あまりの恥ずかしさに顔から火が出そうになっている。相川と葉山ちゃんも、笑いを必死にこらえている。

 俺はわざとらしく咳払いし、言い直した。すると耐えきれなくなったのか、相川が笑いだした。それにつられ、葉山ちゃんも笑い出す。そんなに面白かっただろうか。笑っているのはいいことだが、事情を聞かないことには、意味がわからないままである。

お読みいただきありがとうございました!

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