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とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
14/33

第14話 テレパシーは幼馴染みの特権

短いです。お暇な時にでも。

 相川は初めに俺が一ヶ月ほど前、本を買いに近くの本屋を訪れたかどうかを確かめた。そしてそれは事実だったので、俺は認めた。次に、俺が帰り際に女の子とぶつかったかどうか尋ねた。俺は正直そんなことを覚えてはいなかったが、記憶をどうにかして辿ると確かに誰かにぶつかったので、俺はそれも認めた。そして相川が話すところによると、その女の子が俺にぶつかったせいで足を挫いたのだという。その話を聞いた時、俺は相川は何を言っているんだろうと思った。ぶつかった程度で事故とは呼べないし、足を挫いたくらいでこんな深刻になることはないだろう。勿論、話には続きがあった。

 相川はここまででちょっと区切ると、珍しく真面目に聞き入る俺に多少の余裕が戻ってきたのか、少し悪戯っぽい表情を浮かべると、こう尋ねた。

「ねぇ、それでその娘がどうやって事故に遭うんだと思う?」

「知らんな」

我ながら清々しいまでの即答だった。知らないものは知らない。相川はいい加減に俺が見当のつけようもない質問に真面目に答える訳がないということを学習した方がいいと思う。それはそれとして、今回は相川の態度が急変してびっくりしたので即答した。大方足を挫いたことによって、階段から転げ落ちたとかだろう。そう考えていると、相川が回答を急かしてきた。

「知らんなじゃないよ。なんでもいいから早く答えて。それとも君はこんなに分かりやすいのに分からないほどのバカなの?」

「どうせ足を挫いて階段から落ちでもしたんだろ」

俺がそう答えると、相川は目を丸くしてまるで人語を発した野良猫を見るような顔で驚きを表現した。おおかたすぐに正解したから驚いたのだろう、だからと言ってこんな表情をしないでといいだろうに。

「ぶっぶー。不正解」

違うのかよ。じゃあなんで驚いてたんだ?俺の後ろに人語を解せる野良猫でもいたのか?

「あんまりにも予想通りの間違い方をするもんだから、びっくりしちゃった」

ふざけているのだろうか。いや、ふざけているのだろう。あと、俺の表情が分かりやすいのか相川の察しがいいのか知らないが、読心術を発揮するのはやめて頂きたい。何も言ってないのに驚いた理由を言われ、さらには馬鹿にされた。しかし相川の想定通りの回答になってしまったのはどうやら事実のようなので、何も言い返すことはできない。結局、それ以外の適当な答えを考えるのが面倒になった俺は、相川に答えを聞くことにした。

「で、結局どうやって事故に遭ったんだ?その女の子は」

「車に轢かれたんだよ」

俺とぶつかったこととの関連性が見出だせず、俺はまた相川に理解不能なものを見る目を向けた。

お読み頂きありがとうございました。

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