表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある自宅警備員の日常  作者: 布滝
12/33

第12話 後手必敗?

短いです。

 俺は激怒した。必ずやかの邪知暴虐の相川を倒さねばならぬと決意した。冗談はさておき、どうしたものか。プリンの件はもう諦めるとしても、できることなら相川の持ち込んだ面倒事とは関わりたくない。俺はただ、平和に生きたいのだ。大変な事件に巻き込まれたり、とてつもなく大きな問題に直面して奔走するのは楽しいかもしれないが、それは最初だけだ。世界はゲームのように上手くはいかない。大抵ろくでもない失敗を犯して挫折するのがいいところだ。だからこそ、俺は植物のように穏やかな人生を送りたいと思っている。面倒なことがあるのはゲームだけでいい。それなら辛かったりしんどかったりすればやめればいいだけだ。しかし、現実はそうもいかない。現実で何かに干渉しようとすれば、それが重要なことであるほど大きな責任が伴う。そして責任が大きいほど、失敗した時のダメージも大きくなる。そんなのはまっぴらごめんだ。別に過去にいじめられっ子を助けて自分がいじめの対象になったとかそういう経験から来る価値観ではなく、単に色んな作品から俺が勝手に学んだことだ。

 とにかく、相川が俺に原因があるとか言っている件について、俺は何も知らない。そして俺が何も知らないということは、俺は関係ないに等しいのだ。そんなことを考え現実逃避していると、相川が唐突に口を開いた。

「あのさ、君は知らないだろうけど」

「ああ知らんな。他人のプリンを勝手にヤケ食いするような奴は知らん。だからさっさと帰れ」

先手必勝。相手が何か重要なことを言う前にこちらが早口でまくし立てればいいのだ。違う、よく考えたらこれ後手じゃん。しかも勝ってないじゃん。引き分けがいいところじゃねえか。これだと相川の話を遮ることはできない。そして案の定、相川は喋るのを止めなかった。こういう時、俺らはお互いに相手の都合を無視する悪癖があるのだ。俺は耳を塞ぐようなジェスチャーを取ったが、相川は視界に入れてすらいなかった。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ