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魔法適性のない俺は拳で異世界を救う  作者: 長雪 ぺちか
第3章 最強の魔法少女の登場と殺人事件でサスペンスの香り……?『オオイタ』編!
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観光……中断!


 俺たちはワンさんに案内されるまま『オオイタ』の本道を探索していた。

 温泉が有名なこの土地だけど、汗もかいてないのに朝っぱらからお風呂に入るのは何か違う気がするので、まずは普通に街を見て回っているという感じだ。

 滞在期間が一週間もあるんだから、正直今日から真面目に観光、としなくても時間はいっぱいある。

 まずはどこに何があるのかを把握することが観光では大切だよね。

 元の世界だったら、インターネットでちょっちょっと調べて、地図とか開いて情報を手に入れられるんだけど、残念ながらこの世界にはインターネットがないんだよな。

 しばらく歩いていると、ワンさんが足を止める。

 観光スポットに到着したらしい。


「ここが有名な、地獄、です。様々な温泉が、集まっています」


 ワンさんが案内した先には、石組みの道がグネグネと続く温泉地帯が広がっていた。

 地獄といえばあれだろう。別府温泉にあるあれ。

 赤い温泉があったりして元の世界でも有名だったと思う。

 一度見てみたいと思ってはいたが、まさか俺の地獄めぐり初体験が異世界で行われることになってしまうとは……多少複雑な気持ちはある。


「なんだか変な臭い。温泉って感じの臭いがするね、タケルくん」

「そうだな。『ニッコウ』の方にあった温泉はあまり臭いがする感じじゃなかったから、結構びっくりだ。アイリは大丈夫か?」

「大丈夫ですの。苦手な臭いだったので、今は嗅覚を遮断してますの!」

「ああ、そうか。アイリにはその加護ギフトがあったな」


 相変わらず便利な加護だなと思う。

 俺が異世界に来てから1番便利だと感じた加護は彼女の【感覚操作】かもしれない。

 神さまどうして俺に【世界の加護(ギフト)】とかいう正体不明の加護を与えちゃったのかな……できればアイリのと交換したい。

 でもこれは、隣の芝生は青いってやつだろう。

 俺の加護だって、別に悪いもんじゃない。

 それにアイリの加護だって完璧ってわけでもないのだから。


「嗅覚を遮断してるってことは、他の感覚を強化してるってことだよね? そういう時は視力とかを上げてるの?」

「いえ、どうしてか分かりませんが、感覚を鈍らせるだけなら普通に出来ますの。感覚を強化するときには他の感覚を減らさないといけないんですわ!」

「そうなのか。それは知らなかった」


 やはり話を聞くに、彼女の加護は完璧ではない。

 能力を伸ばすために何かを犠牲にしないといけないのだから、恐らく存在するだろう、感覚を強化するだけの加護の半分劣化のようなものにも思える。

 感覚を鈍らせられることがメリットの汎用性の高い加護といった感じなのかもしれないな。


 俺たちが話をしている間に、自然と俺の腕に胸を足当てるクレハを軽くあしらいながら、俺たちは温泉の密集地の散策をしていたところ、アイリの足が急に止まる。

 彼女に合わせて俺たちもその場で止まると、彼女は急に後ろを振り向いた。


「タケル先生……あちらで何かが起こっていますわ!」

「あっち? 俺たちが通って来た道とは違う横道の方?」

「そうですわ! 聴覚強化……300%…………金属のぶつかる音、悲鳴。それにこれは、ミリアさんの声?」

「あのバカ、またなんかやらかしてんのか…………ッ!?」


 不意にドンッと爆発音が響く。

 方向は、アイリがさっき示した方。

 よく見ると薄っすらと砂煙が立っているようにも見える。

 温泉の湯気で常に煙が上がっているみたいなもんだけど、温泉も流石に茶色い煙は上げないはずだ。

 ワンさんに一言告げると、俺たちは音のする方へ走り出した。


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