表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

新玄タツ子の憂鬱その2

後編になります。どうぞ。

新玄タツ子89歳。死因は老衰。


ただ、どうしても孫が気がかりで成仏できないと訴える。

一見するとどこのミスターオクレかと思う程のダサい大学生。


「余りにも色恋の匂いがしないから心配なんじゃ。

変な性癖でもあったらどうしようとか不安になる。

こんな歪んだ世の中じゃから実の孫でも恐ろしいわ・・・。」


「歪んだってそんな・・・。信じてあげなよ。

実の孫じゃんか・・・。可哀想だよ・・・。」

流石に晋平に同情する魂子。


一見すると気弱そうに見える晋平。

この豪気なバアさんとは全くの対照的存在だから

遺伝子の不思議である・・・。


「眼鏡取るとイケメンなんじゃがね~・・・。」

髪の毛もボサボサ・・・。確かにダサすぎる容姿だった。


「でも性格は良さそうに見えますよねあれ。」

思わず口をついて出た言葉。魂子の本心だった。


「そう・・・。優しすぎるんじゃ。昔からな。」

しみじみと言葉を続けるタツ子。


暫くすると一見するとミスターオクレの晋平に誰か近づいてきた。

派手そうな外見の女性。多分同年代。


「しーんぺ!!あそぼ!!」


「・・・・・ありゃ。女が寄ってきたわい。

あれでもモテるんかの???派手な姉ちゃんじゃなーしかし。」

思わず目を細めて凝視するタツ子さん。


「下の名前で呼ぶのやめてくれませんか。

峰来みねらいさん・・・。」


峰来さんと呼ばれる彼女の名は

本名フルネームは「峰来みねらい 唯華ゆいか」。


「ゆいゆいって呼んでよ~!!しんぺ!!」

馴れ馴れしい口調ですり寄る。

コロンの香りがどぎついが見た目はギャル風だがかなりの美人。

腕を組もうとするも撥ね退けて怒る晋平。

「もうやめてください!!」

すると、意外や意外、怒り散らかすかと思う様な風貌の彼女が

涙を零し始めた・・・・・・。

「えっく。・・・・しんぺは何でそんなにあたしが嫌いなの?!」

「泣かれるとウザいんだ正直。あっち行けよ。」


「うんわードン引き。あーゆー男って大嫌いあーし。

女にモテないならモテないなりに女に優しくしろっつの!」

思わず苛立つ魂子。


押し黙るタツ子。(口の中で黒飴を転がしながら見ていた)


「・・・あの子は昔からああなんじゃ。

傍に寄ってくる子寄ってくる子みんなに冷たい。

あたいにもそうじゃった・・・。

だから心配なんじゃよ・・・。ほんとは優しい子なのに。

不器用なんじゃ。爺さんに似てるんじゃね・・・。」

タツ子は哀しそうに孫を見つめる・・・。


「しんぺ!!悪かったなら謝るからあたしの事好きになって?!」

「・・・・・・・。わかった・・・・。悪かったよ・・・。

唯、大学内でむやみやたらと引っ付くのはやめてくれないか。

・・・なんか嫌だ。」


「しんぺは恥ずかしがりだもんね・・・。わかった。」

しゅんとするも顔を赤くする彼女。


「物わかりのいい彼女さんすね。私ならぶっ飛ばしてたけど。」


「お前が彼女だったら相手がみんな墓場逝きになるぞ。」


「るっしー!うるさい!!!」

思わずキレる魂子だった・・・。


「しんぺにお弁当作ってきたんだ。食べて?」

そっと可愛い巾着に包まれたお弁当を手渡す峰来さん。

「・・・・・・ありがとう・・・・・・・。」

少し照れたように頬を緩める晋平。


「なんじゃ。女の影がないから心配してたけど

大丈夫じゃないか・・・。これで安心して死ねる・・・。」

黒飴をかみ砕きながらほくそ笑むタツ子。


「じゃあ、もう未練はないな?」

「ああ。ええよ。ありがとう。お二方。」


魂子は額のクリスタルに念を込めて

タツ子の魂を吸収した。

「さ、帰るべ。」

下界で美味しそうに彼女の愛妻弁当を食べる孫息子を

見守りながら天界へと帰る一行。


「新玄タツ子。89歳。天国行き確定致しました。」


手続きが終わり、タツ子は天国へと切符を渡された。

「ありがとうよ。かっかっか!!!」

豪気なバアさんは終始笑顔でまたも黒飴を嚙み砕く。


「なんかすげーバアさんだけど。ああやって

いつも孫の心配するのって優しくていいよね。」

のほほんと笑う魂子。

その表情は実に晴れやかであった。


「るっしー、あたしにも黒飴くれる?」

「貴様にくれてやる黒飴はない。」

「ドケチ!!」


2人は相変わらず夫婦漫才の様だった。

もう少し孫の晋平の描写を濃くしたかったのですが

作者のスタミナ切れ(苦笑)でここまでです。

でも黒飴好きなお婆さんの描写が楽しかったです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ