続・「大阪男子と神戸女子」の結末。
今回は、このエピソードは完結なので
シリアスモードです。
ラストのシーンはまた加筆修正して書き足しました。
偶然に出会った「大阪男子」と「神戸女子」の会話は、
何とまだまだ続いている。(しかもノリがパワーアップしながらも)
「なあなあ!!早苗ちゃんって好きな食べ物何?
神戸って何が有名やっけ?神戸ビーフ?あ、神戸牛か!!(笑)」
「私は~・・・。やっぱり地元のパン屋さんとかケーキ屋さんとか
有名なところがいっぱいあるとこが自慢ですかね?地元愛強いんで(笑)。」
「あ~、なんかアレやろ?有名な店あるんやんな?おススメとかある?」
それを聞くなり目の色を輝かせながら語りだす早苗。
「パン屋さんなら個人的には「イスズベーカリー」とか「ケルン」とか、
スイーツ系なら「アンリ・シャルパンティエ」とか「アンテノール」とか
「ケーニヒスクローネ」とか「ユーハイム」辺りは有名ですよね~!!
チョコレート系なら「モロゾフ」、ここはプリンも美味しいですよ?!
後は、「ゴンチャロフ」も。「モンロワール」っていうお店も最近に
なってハマってますよ?私!!甘党やから神戸は最高!!!」
「・・・・・早苗ちゃん・・・。パン屋とケーキ屋でそんなに
ハイテンションになるんやな・・・(笑)。マシンガントークやがな。
あーでも有名どころは名前は知ってるな。別にそこまで食べんけど。
俺の知り合いのお好み焼き屋さんは意外に穴場でサバンナの人が
サイン色紙書いて置いてあるって有名やで?俺今度そこ行こかな?
あ、パンに戻るけどじゃあ、焼きそばパンって神戸的にアウトなん?
俺は焼きそばパン好っきゃで?うまいよなあれwww」
「あ!全然大丈夫よ~?有名なパン屋さんでも美味しい焼きそばパンって
めっちゃ売ってるし!!!私、コロッケパンとかの総菜パンも好きよ?
意外と私も穴場的なパン屋さん知っててっていうか、よく近所の商店街の
パン屋さんで焼きそばパン買うで~?美味しいよな~あれwwww」
歩きながら何故かお互いのグルメ通な話で盛り上がる2人・・・。
その様子を尚も見続ける死神コンビ。
「・・・どうしよう・・・。とうとう、総菜パンの話で
あんなに楽しそうに盛り上がってんじゃないすか・・・。
ますます入り込みづらいじゃんかよ・・・。どうすんの。るっしー。」
「ルシオラだというに・・・。まあ。そうだな。コロッケパン、
焼きそばパン云々は置いといて・・・だな・・・。
あいつの魂を回収せねばならんのだから、割り込まにゃなるまい。」
「割り込みづれぇ・・・・・・・。すね~・・・。」
楽しそうに会話する早苗の笑顔を見ていて物凄く楽しそうな裕也。
裕也はこう切り出した・・・。
「早苗ちゃんは・・・何で、大阪に今おるん?誰かと遊びに来てたん?」
「うーん。まあ、高校の部活で大阪ぐるっと回ってて、
ほんで今たまたま1人でぶらっとしてたら裕也くんにいきなり
腕掴まれて今に至るみたいな感じやな~・・・(笑)。」
「部活・・・?何部?」
「一応、ブラスバンド部。吹奏楽部やね~。演奏会で
大阪に用事があってたまたまおった~みたいな。」
「ふーん・・・そっか・・・。じゃあ。早苗ちゃんもうすぐ
神戸に帰っちゃうんやな・・・。」
しょんぼりとうな垂れる裕也・・・。
「寂しかったりする・・・?」
パッと裕也の顔を下から覗き込む早苗。
「早苗ちゃん・・・。そんな「戸田恵梨香顔」で俺の顔を
いきなり覗き込むなや・・・。どきどきしてまうやろ・・・。」
「・・・・・・・。そう・・・・・。そんなん言うんや・・・。」
「あ!いや!戸田恵梨香がどうのとかやなくて!!・・・!!!
・・・・・さ・・・・・早苗ちゃんやから・・・。どきどきしてまう。んや。」
「・・・・・・そ・・・そう・・・・・・。」
2人はお互い微妙な感じに赤面している・・・。
「なんじゃあのラブラブビームマシンガンッ!!!(謎の言葉)
これはますます仲を引き裂きづらいっ!!あたしら極悪人やないかっ!!
あ!!あたしまで関西弁がうつってしまったじゃんかよっ!!(笑)」
天空から見ていた魂子は狼狽える・・・。
「仕方ないだろう・・・。これが仕事なんだ!!」
険しい顔で真面目に答えるルシオラはふいに魂子の方を向き、
額の「埋め込まれた宝石」を指さしながらこう続けた。
「それで、あいつの魂を一旦こっちに回収する・・・!!
俺が呪文を唱えたら自然にあいつ・・・「内田裕也」の魂は
そこに閉じ込められる。・・・それで・・・いいな?」
「・・・・・・鬼みたいっすね。あんたって・・・。」
「うるさい・・・。俺だってこんな仕事は嫌いなんだよ。」
すうーっと息を吸い込む、続け玉に呪文を唱え始めたルシオラ。
それは「言葉」としては聞き取りづらいもので、歌の様な詠唱であった。
裕也の体から魂が抜け落ちようとする・・・。
「ドクンッ!!!」
「ほんでな~・・・?・・・裕也くん・・・???」
早苗はびっくりして慌てて裕也に駆け寄る様に近づく。
「裕也くんっ?!なあっ!!どしたんよっ???!!
具合でも・・・?!!誰か呼ぼか?!!」
倒れる白装束姿の裕也は・・・もう・・・。
意識がなかった・・・。
魂が・・・抜けて出て、既に魂子の額の宝石に吸い込まれてしまったのだ。
「裕也くんっ・・・!!!嘘っ?!何で???!!さっきまでっ!!
あんなに元気で・・・笑ってたのに・・・ねえっ!!なんでよ・・・?!
・・・・・なんで?!誰か・・・!!救急車をお願いしますっ!!
誰か!!助けてくださいっ!!!裕也くんをっ・・・助けてっ!!!」
泣きながら裕也の体を揺さぶる早苗・・・。
「・・・・・後味・・・・・悪いっすね・・・・・。」
魂子は何時もの悪ぶった様子もなく、淡々と哀しそうにそう本音を口にした。
「回収完了だ・・・。帰るぞ・・・。「あの世」に。」
尚もまだ泣いてる早苗の姿を見ている魂子は・・・。
しぶしぶ、ルシオラに手を引っ張られながら「あの世」に戻っていった・・・。
死後の世界の番人の部屋に戻り、回収された裕也の魂を「裁判所」まで
持っていくルシオラ・・・。
魂子は、ルシオラの帰りを待ちながら、ずっと難しい顔をしていた。
「鬼の様な仕事だ・・・。糞め!!」
裁判所では、死に装束姿の裕也が微笑んでいた・・・。
「最期に・・・会えたんが早苗ちゃんで良かった・・・。
今は・・・もう・・・何も悔いはないです・・・。ここで
死ねても・・・全然・・・悔いはないんです・・・。」
その様子を見ていて裁判の結果を下す裁判官・・・。
「内田裕也。享年17歳・・・。この者を天国に連れて参れ。」
異例の判決だった・・・。本来ならば、生前の素行の悪さなどから
地獄行き決定だった筈の魂は・・・、急遽「天国行き」へと変わったのだ・・・。
ルシオラは・・・黙って見ていた・・・。だが、ほんの少し・・・。
くすぐったい様な微妙にはにかんだ様な穏やかな顔で見ていた・・・。
部屋に戻ったルシオラに詰め寄る魂子。
「お前!!悪魔かよ!!!最低だ!!!!」
「ああ。俺は最低だ・・・。それは認める・・・。
だが・・・。お前のおかげで・・・あいつの魂は救われた。
これ、凄い事なんだぞ・・・?偉いな・・・。お前・・・。」
涙を流している魂子の頭をぽんぽんと軽く叩く。
「なあ?!あいつ・・・ちゃんと・・・救われた?・・・。
幸せだった・・・???」
「・・・・・・多分な・・・・・・。」
神戸に戻った早苗は・・・。
記憶をルシオラによって消去されて、何も覚えていない。
が、そんな早苗の頭上にはいつも、裕也が微笑んでいた。
「ありがとうな!!早苗ちゃん。楽しかった!!
この世で・・・幸せになるんやで・・・?俺がいつも
見守ってるからな!!!」と言いながら親指を立てていた・・・。
早苗は、部活の練習の為に自身が担当をしている
フルートの音階を吹いたのち、ゆっくりと深呼吸しながら
演奏曲を演奏し始めた・・・。
その音色は美しく、彼女の奏でる音色は遥か彼方の
天国までも届きそうな程に響いていた・・・。
シリアスですが、ラストはこの世では結ばれなかったけども
2人は「ハッピーエンド」ということにしております。
きっと来世でまた逢えて結ばれるでしょう。
魂子も初仕事を終えて人として成長できました。