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第11話 博士の実験(2)

 ぼよん!ぼよよん!


「ふう…」


 バルーンのおかげで落下の衝撃は抑えられた。

 真下に特に罠はなかったみたいだ…博士は手が込んでいるようでどこかが抜けている。

 最もそのお陰で助かったんだけど…。


 ぷしゅー…


 落下の衝撃も収まりオレはバルーンの空気を抜いてバックルの中に戻す。

 しかし…ここからどうやって戻るか…。


 地下に広がる遺跡は広かったが

 所々壁が崩れて他の遺跡には繋がらないようになっていた。

 これは多分博士が壁を破壊したのだろう。


 …取り敢えず、出口を探そう。

 きっとどこかにあるはず…。

 さすがに遺跡の中で餓死だなんてゴメンだぜ…。


 くんかくんか…鼻が反応しない…どうやらここらのお宝は全部発掘済みか…。

 問題は博士がどれだけの特殊アイテムを所持しているかだな…。

 もしかしたらこの様子も監視されているかも知れない…用心に越した事はない。


 まずオレは落ちてきた天井を見上げる。

 ここから飛び上がってあの穴をよじ登るのは…まぁ無理だな。

 落ちたオレを回収するつもりがあるならどこかに出入口があるはずだ。

 ここは破壊された壁以外はほぼ手付かずの遺跡の形を保っている。

 つまり、その中で違和感を感じる部分が出入口だ。

 オレは全感覚を総動員して違和感のある部分を探す。

 絶対それはどこかにあるはずだ。


 風の流れ

 遺跡とは違う匂い

 微かな振動

 見た目の違和感


 どこだ?

 トレジャーハンターの威信にかけても、こんな所でつまずく訳にはいかない。

 オレはこの広がった遺跡を走り回った。

 人間では入り込めない隙間に潜ったりもした。


 フゥゥン…


 これは…空調の音?

 微かな違和感を感じたオレはその場所へと急ぐ。

 どうやらビンゴのようだ。

 完璧に偽装しているつもりだろうが遺跡の壁の一部が崩れている…ここだ!

 そこは遺跡アイテムで偽装しいているようだ…自慢の爪が唸るぜ。


 シャッ!


 バラバラバラバラバラ…


 遺跡と古城部分を繋ぐ扉はオレの一撃であっけなく砕け散った。


「反撃開始だ!」


 オレはまたライオットが捕まっている古城最上階を目指す。

 破壊した扉の先はやはり遺跡とは違い明らかに最近作られた物だった。

 罠を警戒しつつ全速力の最短ルートで上部階に続くルートを探っていく。

 待ってろよ博士!今度こそお仕置きだ!


「…ほう、扉を見つけられたか…」


 部下の報告を受ける博士。

 その様子はまだ冷静そのものだった。

 ここまでは織り込み済みと言う事だろう。


「問題ない…そのまま誘導しろ…計測は続いているな?奴の能力を調べ尽くすんだ」


 博士はアルファスの能力をリサーチしていたのだ。

 やはりそこは研究者、どんな時も研究第一と言う事なのだろう。


「研究対象は生かさず殺さずだ…あの猫も…この子供もな…」


 博士は人質のライオットを見下ろしながらそうつぶやいた。

 その雰囲気は猫も子供もただの研究対象としか見ていない冷徹なものだった。

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