第7話 ベルファクト(2)
何せ人と猫だ…不意打ちでもしない限りは…しかも向こうはまだ何かを隠している。
オレは緊張と興奮で全身の毛が逆立っていた。
「どうですひとつ、あなた私の仲間になりませんか?」
「誰が!」
「そうですか…いい話だと思ったんですが…では」
バン!
ベルファクトはいきなり発砲して来た!
それは撃つ素振りも感付かせない程の早撃ちだった。
突然の事でオレは動けなかった。
いや、動かなくて正解だった。
動いていたらきっと弾はオレに命中していただろう。
ベルファクトの放った弾丸はオレの頬をかすめていた。
「おっと失礼…狙いが外れてしまった」
ベルファクトがニヤリと笑う。
オレは人生最大のピンチを迎えていた。
だがそれを顔に出す訳にはいかない。
オレはポーカーフェイスを気取ってヤツを挑発した。
「大丈夫かい?慣れない事はするもんじゃないぜ…」
「なぁに…ご心配には及ばんさ」
ベリファクトがじわじわと間合いを詰めてくる…。
中々にこれはプレッシャーだ…だがこのプレッシャーに潰される訳にはいかない。
こうなったら猫の俊敏さを魅せつけてやろうじゃないの…。
ダッ!
「くっ!動くなっ!」
ベルファクトは叫ぶがオレはそんなのお構いなし。
さて、激しく動きまわるオレにその下手な銃が命中するかな?
バン!
ベルファクトの銃弾は全く見当違いの場所に着弾する。
オレは調子に乗って右へ左へ。
バン!バン!
ふふ、焦る悪党を見るのは心地良い。
しかし顔が仮面で隠されているのは残念だな。その顔も拝んでやりたいぜ。
さっきの騒ぎで眠らせれた子供達もさすがに目が覚めたようだ。
そして初めて見る銃撃戦に恐怖で言葉が出せないでいるようだった。
怖い思いをさせてしまってすまない…オレは子供達に心の中で詫びた。
子供達の意識が戻ったならここから開放するのもそこまで難しくはないだろう。
オレはベルファクトを翻弄しつつ捕らえられていた子供の拘束を解いてやった。
またしても御丁寧に遺跡由来の素材で拘束していたものだからそれは簡単に外す事が出来た。
「あいつはオレが惹きつけているからその間に早く逃げろ!」
「う、うん!」
拘束を解いた瞬間に全力で走り出す子供達。
オレは彼らに危害が及ばないようにベルファクトの前に立ち塞がる!
「ぐ!貴様っ!」
「お前の相手はオレだろ?」
子供達が逃げた事でベルファクトの怒りは頂点に達していた。
さて、次のヤツの手はどうくる?
一度揺さぶってみるか?
もう一度オレは奴の前に立ちはだかって挑発してみる事にした。
ここで奴がまだオレを追ってくるなら子供達を無事逃す事は出来るだろう。
ダッ!
バン!
バン!バン!
…予想通りか。
ベルファクトの銃口はオレだけを狙っていた。
子供達、どうか無事に逃げてくれよ…。




