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あなたがしていることは世界のどこかで誰かもやっているかもね


 とある晴れた日曜。

 素敵なことが起こるかも、なんて期待して外に出ても、たいして何も起きずに終わる。

 何事もなく世界は周り、似たような出来事があちらこちらで起きる。

 自分は特別な事をしていると思っても、何処かで誰かも似たような事をしているだろう。

 生じては終わり、終わりから生ずる。

 世界は、廻る。


     ○


 カボチャ頭の男・パンプは、コンビニに行く途中、

「あれ? たまにシロさんと一緒にいるベッピンさんだ」

 ミタラシを見付けた。

 無意識にパンプは物陰に隠れた。そこからこっそりとミタラシのことを観察する。

「なんか、不機嫌そう…」

 ミタラシの表情から、パンプはそう察した。

 どうしたのだろう、と考えを巡らせる。

「優しそうな人だと思ったけど、もしかして怒っている?」

 考えていると、どこからか「ひょっとして、シロさんと何かあったとか…?」という考えが浮かんだ。

 そうなると、パンプのやる事は決まった。

 コンビニなんて後回し。

「これは、シロさんの弱みを握るチャンスなのでは?」

 面白くなってきた、とパンプは興奮する気持ちを抑えながら尾行を開始した。



 ミタラシのことをつけているパンプを、悪の組織のリーダー・カグラが見つけた。

「なんだ、あのカボチャ頭?」

 およそ普通に生活していては出逢うことないだろうモノを、カグラは見付けた気がした。

 目は輝き、ついつい顔がほころんでしまう。

 この出逢いを逃す手はない。

 カグラは、「あの生物を我が組織の一員に加えたい」と、そう思った。

 カボチャ頭の生物が組織に加われば、何かスゴイ事になりそうだ。

 では、と、勧誘する為にもまず生態調査をして相手を知るべきだと考え、尾行を始めた。

「どういう思考を持つのだろう? 何を食するのだろう? 何が目的で人目を避けるように行動しているのだろう?」

 考えるだけでワクワクしてくる。

 くぅ~っと高まる気持ちを落ち着けながら、カグラは行動を開始した。



 カボチャ頭の生物を追跡調査しているカグラを、アニマは見付けた。

「ぶ、部長だ…!」

 すぐにでも声をかけたかったが、アニマは、踏みとどまった。

 踏みとどまり、物陰に隠れて、カグラのことを観察する。

 それというのも、カグラの様子に違和感を覚えたからだ。

「部長、なんか楽しそう…」

 どう見てもカグラは、一人でいる。そもそもカグラは、クロ達と一緒にいたとしても、楽しそうに笑うことは少ない。

 それなのに、何故か今は楽しそうだ。

 彼に何が起こっているのか、彼に想いを寄せるアニマとしては気になってしまう。

 知りたい、という思いがアニマを動かす。

 アニマは、こっそりカグラのことをつけることにした。

 本当はこんなストーカーみたいな真似はしたくない。でも、だからといってこのまま放っとける事でもない。本人に直接訊けばいいのかもしれないが、現在絶賛楽しそうだ、邪魔はしたくない。

 罪悪感はあるが、心の中で謝罪し、カグラのあとをつけることにした。



 葛藤しながらも尾行を開始したアニマは、開始早々、遠くに大柄な男を見付けた。

 たしかあれは、アメ助といったか…。

 となりにクロの姿も見えるから、間違いはないだろう。

 だが、あいつらのことなんてどうでもいい、アニマは無視した。

 そんな無視された事にも気付いていないクロとアメ助は、何かを話していた。

 クロは、なにやら難しい顔をしている。

「どうしたんすか、クロさん?」

「ちょっとシロを尾行しようと思って」

「はぁ」何を考えているのだ、この人は? と、アメ助は生返事した。「それは、どうしてまた?」

「シロに女の気配ありだ」

「シロさんに女? あの人、彼女いるんですか?」

「いるワケ無いって。だって、シロよ」

「じゃあ、何故 尾行を?」

「シロから女の気配がするからだ」

 話が進まないな、と思ったアメ助は、「なんで俺も?」と、とにかく自分にとって重要な問題を解決することにした。

 しかし、その重要なはずの問題も、クロに「どうせ暇でしょ」と軽く返された。

「暇じゃないですけど」

「何か予定あった?」

「……学校の課題を…」

「やる気ないくせに」

「いや、今晩やるつもりだから、その為に睡眠を…」

「そう言って、どうせやらないって。なんなら明日やれば?」

「『今日やらないヤツは、明日も出来ない』って、高校の頃の先生が言っていました」

「それは間違いだ」クロは、きっぱりと言った。「それだと未来の可能性を自ら捨ててしまっている。人は日々成長するのだから、明日なら出来るかも、と思いましょう」

「……なんかそれっぽいこと言っているみたいですけど、でも、その日できる事はその日のうちに、っていう意味ですよ」

「難しいことわかんない、俺」

 クロの数秒前の眼の力強さが、すっかり消えていた。

「簡単ですって。要は、先輩一人で頑張って、ということです」

「寂しいこと言うなよ」クロは、「二人体制ならトイレに行ったり飲み物を買ったりするときに一人残ることも出来るし、なにより一人じゃ寂しいじゃない」とアメ助に頼んだ。

「……あんパンとコーヒー牛乳買ってくれるなら、いいっすよ」

 クロとアメ助は、シロを尾行する為に彼を探すことにした。



 連絡を取ると尾行がばれる可能性があるというアメ助の助言もあり、二人は足を使ってシロのことを探していた。

 そんな尾行の前段階ともいえる状態の二人を、ハイジは遠くからみつけた。

「クロさん、アメ助さん」キョロキョロと怪しい行動をしている二人に、ハイジは声をかけた。「何をしているのですか?」

「ハイジ、よく俺達を見付けたな」

 クロとアメ助は、先にターゲットであるシロに見付からないように、物陰に隠れて周囲によく注意を払いながら行動していた。

 しかし、「よく見付からないと思いましたね」とハイジは呆れた。

 どういう意味だ? と不思議そうな反応を見せるクロとアメ助に、ハイジは、指をさして教えた。

 ハイジの指先は、アメ助の足下から頭の先へと、ゆっくり動いた。

 目立っていましたよ、とハイジは暗に言う。

 目立つ姿で目立つようなマネをして、一体なにをしていたのか、ハイジは訊いた。

 事情を聞いた上で、心底くだらないと呆れながら、ハイジは言う。

「言い難いのですが、尾行には向いてないように思えますが…」

「アメ助、縮め」

「そんな無茶な」

 クロとアメ助は、可笑しそうに笑った。

 ひとしきり笑った後は、反省会をして、極力目立たないように気をつけると心に決め、尾行を再開した。

 クロは、ハイジのことも尾行メンバーに誘ったが、「いやです」の一言で断られた。

 それじゃあ、と別れ際、クロは「ところで、シロ知らない?」とハイジに訊いた。



 ハイジは、コンビニに行く道中、パチンコ屋からホクホク顔で出てくるシロを見かけた。

「いやぁ、ビビった」言葉とは裏腹に、驚いた様子は見受けられず、どう見ても嬉しそうにシロは呟いた。「出るわ 出るわ、今日俺、このあと事故にでも遭うんでないの?」

 シロは、事務所に行く前にコンビニに寄り、祝杯のシュークリームを買って食べた。

 そして、事務所に行こうとコンビニを出て少し歩くと、何かを見付けた。

 それは、カボチャ頭の男だった。

 なにやら不審な動きをする、不審者と言う他ないカボチャ頭。

 なにをしているのだ、とパンプの視線の先を追うと、シロは気付いた。

「やべっ」パンプの視線の先にいるミタラシを発見し、シロは苦い顔をする。「予想以上に出るもんだから、あいつとの約束にすっかり遅れたな」

 ミタラシとの約束を面倒くさく思いながら、シロは、

「逃げるか」と決めた。



 シロを探しているミタラシは、怒っていた。

「約束を忘れるワケ無いよね、あの記憶力だけは良い男が。二時間も待たせて…もし すっぽかしてパチンコやっているようなら、喉元引き裂いてやる…!」


     ○


 思いもしない所で物事は繋がり、その繋がりで、世界は廻る。 


体調やパソコンの不具合が回復して、久しぶりに投稿できました。



きっとこの後、シロはこっぴどく怒られたと思います。

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