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朝や授業中は帰りたいと思う我が家に放課後になると帰る気を失くす


「いいじゃないすか」

 パンプが言った。

 シロに何かを頼みに来たようである。

「ダメだ」

 取りつく島もないといった感じで、シロは断った。

 しかし、「お願いしますよ」とパンプは食い下がる。

「俺も雇ってくださいよ」

 パンプは、それを頼みに来ていた。

「しつこいな、お前」とシロが辟易するくらい、ここ数週間毎日。



 何でも屋の事務所にて。

 シロとパンプは話していた。

「学校行けよ」

 シロは、大学一年生であるパンプの不真面目さを指摘した。

「今日は午後からっす」勝ち誇ったようにパンプは言う。

「じゃあ、午前は予習の時間だ」

「時間は有効活用するモノっすよ」

「ここに来ることほど時間の無駄遣いもあるまい」

 シロは言うが、「ここに来ることが今の私の最優先事項だと思いました」と毅然とした態度でパンプは返した。「限られた学生生活、大学の授業だけでは学べないことも、こちらで働くことで学べると思っています」

「おい、なに勝手に面接始めてんだ…志望動機なんて聞いてないから」

「明日からでも入れます」

「入らなくていいから」

「夜勤とか全然問題 無いです。むしろ、夜まで居たいっす」

「帰れ、今すぐ!」



 会話をしていたはずが、いつのまにかパンプだけが喋っていた。

 シロは、無視を決め込んでいた。

 そのことに気付くと、パンプは「わかりました」と投げやりに言った。やっと諦めたか、そうシロは思ったが…。

「さいあく、秘書じゃなくてもイイっす」

「譲歩します、じゃねぇよ! どの立場だ、お前」

「……書記でも」

「学級委員か!」

「……実家で犬飼っているんで、ペットの世話とか得意っす」

「生き物係か!」

 職場なめるなとシロがつっこむと、パンプは口を尖らせて黙った。



 パンプが不貞腐れて黙ってから数分後。

「ただいま」

 クロが、事務所に来た。

「おかえりなさい」クロを出迎えたパンプは、今度はクロに「俺も入れてください」と頼みこんだ。

 しかし、「やだ」とクロは即答した。

「なんでっすか?」

「俺、ご飯のおかずにカボチャは許せない派だから」

「いや、入れるって食卓の定番についてじゃないっすよ」

「ちがうの? てっきり俺は、今晩のメニューのことかと」

「違います。ていうか俺、別にカボチャの妖精とかじゃないっすよ」

「でもお前、人間かカボチャか、どっちって言われたらカボチャだろ」

「や、バリバリの人間ですよ」

「あ、でも、カボチャのてんぷらは許可する」

「油に飛び込めって意味っすか!」

 パンプは、驚きで声を高くした。



 それから、なんやかんやあって、

「俺、てんぷら買ってきます」

 パンプがスーパーに行った。

 その背中が遠くなり、見えなくなるのを確認すると、クロとシロは顔を合わせた。

「よし」

「今日は解散」

 パンプが戻ってくる前に、二人は帰ることにした。

「ひどいな」

 一部始終を見ていたハイジが、ぽつりと呟くように、とうとうつっこんだ。


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