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やりたい事をやって何が悪いと主張する日曜日の午後


 頼まれたらどんな小さなことでも引き受ける、街の便利屋・クロ。

 依頼の無い日はぐうたら過ごしているように見えるクロは、便利屋という名前のせいか、仕事といっても、街の人からいい様に利用されているだけのようにしか見えなかった。

 だから街の人は、彼を、ただの都合のよい存在として認識している。

 しかし、それは彼の表の顔に過ぎなかった。


「世界崩壊の危機?」

「本当か?」

「……アイツの出番だ」


 彼の裏の顔は、特殊な能力を駆使して政府からの特命をこなす、敏腕スパイだった。


「このままでは、世界の消滅は免れない」

「だから、彼に賭けるしかない…」

「一人の男に、世界の命運を賭けるのですか?」

「……彼がいなければ、賭けにすらならない」


 立ちはだかる脅威。

 政府は力を失い、混沌に落とされる世界。

 逃げまどう事すら出来ない、消滅を前にした人類。


 だが、この世界には彼がいた。

 そう、信じていた。

 この世界は、きっと助かる、と…。


「僕が行かなきゃ、世界が滅びる」

「でも、行けばあなたが死ぬわ」

「僕が死んでも、キミは助かる」

「あなたのいない世界に、幸せはないわ」


 愛する人が住む世界の崩壊を防ぐか、愛する人と共に絶望の未来を生きるか。

 迫る世界崩壊を前に、人類の命をとるか、愛をとるか。

 今、究極の選択に迫られる。


 本当の幸せとは…


     ○


「カミング・スーン」

 突然 謎のショートフィルムを見せられ、ハイジは、何も言えないでいた。

 だが、監督クロ助監督シロは、その出来に満足そうである。

 メガホンを持ってグラサンをかけた監督と、カチンコを持ってカーディガンを肩に掛けた助監督は、ソワソワとして感想を求めていた。

 とりあえず、「あの、カグラさんの件は?」と言っておくべきことを言うハイジ。

「どうでもいい」

 ハッキリと、クロは言い放った。

「たまの日曜日、やりたいことをやって何が悪い」

「こっちは、二週間前から構想を練り、準備をして撮影し、編集して、やっと上映までこぎつけたの」

「毎日がやりたい放題じゃないですか!」ハイジは、つっこんだ。「どうりで、最近陰でこそこそやっているなと思っていたんです。仕事しろよ!」

「その仕事がないから、しょうがない」

「開き直るな!」

「この作品で、集客を…」

「思い上がるな!」

 ハイジの剣幕に、二人は圧倒された。


「こう質問するのもどうかと思いますが…」気まずそうに、ハイジは「カグラさんの事はどうなったんですか?」と訊いた。

「解決していませんよね? なんか、途中で放り出したような…」

「ああ、あれね」とシロ。

「緊急性を感じないので、こっちを優先した」

 当然の様な態度をする二人だが、

「こっちの方が優先度低いですよ!」

 と、ハイジはつっこみ、カグラのところへ急いで戻った。

「「やれやれ…」」

「ダッシュ!」

「「はいはい」」

 ハイジに怒鳴られても、ノタノタと走る、クロとシロであった。


二十話という区切りで、少しふざけてしまいました。

以前も映画予告の真似事をどこかでやりましたね、好きなんです、こういうの。読む方はイメージとか大変だと思います、すいません。



次回は、十九話の続きになります。

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