T字路交差点3
一応三人称神視点のつもりで書いてみました。
ここは何処にでもある、ごくありふれた景色だが様々なことが起こる場所。
東から西へ向かう道と、途中から北側に向かうT字路交差点。
今から、起きた出来事のほんの一部を記していこう。
時間は、陽の傾いた夕暮れ時、東側から男女の中学生らしき生徒が歩いてくる。
その後ろ、10mくらいだろうか? 象がのっしのっしと体を揺らしながらついて来ているが、前の生徒たちは気がついてる素振りは見せていない。
やがて、生徒たちは交差点に差し掛かり、女子生徒は手を振りながら北側の道へと離れていく。
どうやらここで別れたようだ、後ろにいた象もおもむろに立ち止まり、突如鳴き声を響き渡らせ生徒に向かって駆け出した。
ようやく男子生徒は気がついたのだろう、突進してくる象を視界に入れると、一目散に西へと向かい駆け出してゆく。
象に追いかけられる人間の心境は興味深いが、ただの迷惑かもしれないだろう。
時は過ぎ、陽は既に落ち交差点には街灯が灯る。
そんな中、今度は北側の道路から高校生の2人の生徒が交差点に向かって歩いてくる。
男子生徒は急いでいるのだろうか、やや足早ではあるが後ろの女生徒を引き離してしまうことがないようにこちらに向かってくる。
女子生徒は急ぐ素振りを見せずに歩いているようだ。
交差点でようやく女子生徒が男子生徒に追いついた。
男子生徒は何やら話しかけると女子生徒はゆっくりと目を閉じ始める、目を閉じたその時、男子生徒は女子生徒にキスをし一言何かを伝えて、東側に走り去っていく。
呆然と佇む女子生徒、そして東側に向き直ると同時に変化が起きる、足元からまるで砂が風に飛ばされるかのように消え始めたのだ。
女子生徒は目に涙をうかべ天を仰いでいる。
さほど時間を置くことなく、女子生徒の姿は消え去り、その場には女子生徒の衣服が音もなく崩れ落ちた。
いったい、女子生徒は何を思ったのだろうか?
消えゆくことへの恐怖だろうか、それともなにか伝えたいと思ったのかもしれない。
だが、それを実行するには既に遅かった、ここでの存在をなくしたのだから。
ここは、何の変哲のないT字路交差点。
これからも、様々な出来事をきっと綴っていくのだろう。
如何だったでしょう?
客観的視点で書くのを心がけました。
ご意見など頂ければ幸いです。