ものすごい後悔~後編~
その対談は、三十分で終わった。
「まあ、救世主っていうのは、大変なんだな。」俺はため息を尽きながら言った。ミカはうんうんと、頷いている。
そうだ俺はミカに言いたいことが、あったんだった。
「ミカ、お風呂入ーーいや、変な意味じゃないから鎌を降ろせ。」ミカは少し迷っていたが、こちらを睨みながら鎌をおろした。ふぅ、迂闊に発言出来んな。
「粉だらけなんだから洗い流せばと言いたかったんだ。」ミカは自分の服をしばらく見ていた。
「着替えがない。」
「それなら、問題なーー。だから変な意味じゃねぇから。妹が置いていった服があるんだよ。」
「妹・・・居るのか?」ミカは妹に興味をしめしたようだ。
「あぁ、かなり生意気なやつがな。でも今は両親引き連れ、外国の高校に行ってるよ。」
「そうか。妹はこんな兄を持ってかわいそうだな。」ミカはとても同情しているようだった。
「はい、全部説明したから風呂に入れ。」俺は、ミカに会ってから数時間の間に、大分スルースキルを身につけたようだ。
俺が着替えを渡すと、終始こちらを警戒したように睨んでいたが、しぶしぶお風呂場に入って行った。鎌を持って。
「そんなに信用ならねえかよ!!」俺は誰もいなくなったリビングで叫んだ。
俺は、ミカがお風呂に入っている間、一人の時間を満喫していた。ここまで一人が心地良いと、感じたことはない。この時間が永遠であればいいのに。
「ピーンポーン。」一人の時間は終わった。俺は、若干イライラしながら玄関に走って行った。
「どちら様でしょうか。」俺はドア越しに言った。
「死神に決まってるだろ!!」小学生くらいの女の子の声が聞こえた。
俺の思考回路は、完全に停止してしまっていた。血迷ったのかわ知らないが、俺はミカのいるお風呂場に走っていき扉を開けていた。そこには、バスタオルを巻いたミカがいた。ここで、やっと思考回路は復活した。
即座に選択肢が頭に浮かんだ。
1 素直に謝る
2 開き直る
3 感想を言う
ふっこれしかないだろ。選択したのは、4
鎌を避けるだった。真っ二つはまぬがれたが、腹部をざっくりといかれた。
俺は追撃をくらうまえに扉を閉めた。
ミカはお風呂場でギャーギャー言ってたが、俺の一言で静かになった。
「死神が来た。」そしてミカは、俺が一番恐れていた一言を言った。
「運命が変わった。」