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救世主の残念な日常  作者: 朝夢 瞬
6/7

ものすごい後悔~中編~

それは、一瞬だった。目を開けるといつもの部屋。血だらけではない。しかし、視界の隅には女の子がいる。粉だらけで。

「って、何でお前は、まだ粉だらけなんだ。」俺はすっかり傷もなくなり、服も戻っているのに、ミカは真っ白のままだった。

「それは、この服は時間を操るのに耐えられる素材だからな。」そんな格好で、自信満々に言われても。

「そういえば、なんで俺の手は再生しなかったんだ。マニュアルには書いてあったのに。」俺が聞くと、ミカは申し訳なさそうに言った。

「多分、合成が不完全だったと思う。だから、その・・・」ミカにしては、ずいぶん動揺しているな。

「闇斗の能力は『しんきゅうせいしゅ』じゃなくて、『しんきゅうせいしゅ』なんだ。」

「いや、漢字は変わっているんだろうが、聞いただけじゃわかんねぇよ。」

俺がそう言うと、ミカはサッと紙とボールペンを出した。もはやこれが能力だろ。

そして、真救世主、真旧世主と書いた。

「どういう違いがあるんだ?」正直いって名前なんてどうでもいい。それより何より能力の違いが知りたい。

「前者は最初から完璧。後者は当人の成長や心に合わせて進化していく。」

「俺の強さはどの位なんだ?」それを聞くとミカは、またもや本を取り出した。もう驚かないぞ。これは、日常なんだ。

ミカはページをめくり、あるページで手を止めた。そして、ハッとすると言いにくそうに手遊びをはじめた。

「正直にいっていいから。教えてくれ。」俺は最強のメンタルを持つから、どんなことでも乗りこ「レベル2。」ふがぁ~~~~~。いや、まだ焦るな。

「いくつレベルはあるんだ?」十レベまで、十レベまで。十レ

「無制限。」パリィン。俺のハートは粉砕した。きつい、せめてレベル1からが良かった。

「ちょっと、その本を貸してくれ。」俺は硬く閉じた目を押さえながら、本を受け取った。えーっと、「回復が完全に出来ない、レベル2。」ここまでくると、レベル1が気になる。「自分の武器が出せる。痛みをそこまで感じない。中途半端に回復。能力多少向上。レベル1。」なんか今の俺中途半端の極みじゃん。

「てか、武器を出してみたいんだが。」この武器に俺はほんの少しだが期待していた。

「わかった。だけど、ほんの少しも期待しないで」

「いいじゃねぇか、ほんの少しぐらい。てか心を読むなよ。」

「心を読んだわけじゃない。顔に出過ぎぎ。」うっ俺って顔に出てるのか。いや、ほんの少しの期待なんて顔に出るか?普通。

「まあ、わかった。はやく教えてくれ。」

「いでよ、我を形成するウェポンよ。っていえばいい。」くっ、はっ恥ずかしい。だけど、かっこいいって思ってしまう。

「まあ、言ってみるか。ふぅ。」俺は一息つくと、唱えはじめた。

「いでよ、我を形成するウェポンよ。」ポンッというかわいらしい音を立て、俺の手のひらに何かが落ちた。

「これ・・・なに?」俺は自分ではわからず、たずねた。

「チョーク。」やっぱりか。これはチョークか。俺は、チョークで形成されているんだな。うん、もう泣かない。

「これで、どうしろというんだ。当たったらポキッで終わりじゃねーか。」俺はそれを自分のベッドに向かって投げ付けた。

「あっだめっ。」ミカの注意はあまりにも遅かった。チュブゴッーン俺のベッドは、バネが飛び出した四脚の椅子(羽毛付き)になってしまった。俺はしばらくそれを見つめていた。

「レベル2でも救世主であることを自覚すべき。」

「はい、痛いほど実感しました。」


それからしばらく『救世主の自覚』というテーマで、対談した。そのバネ付き椅子で。


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