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救世主の残念な日常  作者: 朝夢 瞬
2/7

赤は血 白は米

「あぁそうだった。俺、死んだんだったよ。やっと思い出した。これで血だらけの理由も分かったし、よかったよかった。」・・・・・・・・!!


「って全く良くねえよ!!これからなんたらかんたら、かんたらなんたら。」と自分でもパニックになって訳わかんなくなっているところにもっとパニックを起こしてしまう様な出来事が重なった。


「どうかしたか?闇斗??」その可愛らしい声と同時に、真っ黒な世にも珍しい服を、小麦粉かなんかで真っ白にした女の子が自称キッチンから現れた。これは奇妙な光景であろう。血だらけと粉だらけなのだから・・・「どうかしたのか?」もう一度聞かれた。こっちがどうかしたのかと聞きたい状況だが、もう、そんなの無視してしまおう。


「お前は何者なんだろうか。」ダメだ変な言葉になった。しかし、女の子は気にもとめない様子で「私は救世主をサポートをしている悪魔のミカ・ルネシアだ。」


もうダメだ俺の頭は変になってしまったのか。この目の前にいるロングヘアーの美少女は俺が生み出した幻想なのか。そうか!!俺は答えが分かった。「ここが天国なんですね。」女の子、いやミカに思いっきりひかれてしまった。


もういいこれが妄想か天国かなんて。とりあえず話を進めなければこの状況を打破できない。

「なぜ、俺の名前をしっているんだ?」「生徒手帳を見たから。」

「なぜ、救世主のサポートがここにいるんだ?」

「闇斗が救世主だから。」

「なぜ粉まみれなんだ?」

「おにぎりという超難関料理に挑戦していたから。」まともな答えは最初しか返ってきていないが続けてみよう。

「俺は死んだのか?」

「一回だけ。」

「パンツは何色なんだ?」

「・・・」


鋭い鎌により俺の左腕は分離に成功し、テーブルクロス引きの様に綺麗に落ちた。もう痛みがないのが普通である。ちょっとちくっとしたが。ん?鎌といえば。

「お前あの時の死神か!!」「何の話だ??」これは本当に知らないらしい。「いや、気にしないでくれ。」


そこまで聞くと、ミカは答えるのが面倒くさくなったのか紙芝居を取り出した。「これを聞けばすべてわかる。」そうミカが言ったので半信半疑ながら素直に従って見ることにした。


「救世主の仕組み 入門編 作 ミカ・ルネシア・・・・」「どうした?」「拍手。」そういうことか。だがしかし「拍手したいができない。」そう、俺の左手は静かに床に待機している。ミカは納得した様に頷くと、自分で拍手をしてから紙芝居にうつった。そこまで重要なんだな。


「昔々、あるところに悪魔界と天使界がありました。悪魔と天使は神に仕える ものとして、仕事をしていました。」ここで俺は一つの疑問が浮かび、手を上げた。


「一つ聞いていいか?」「質問は終わってから。」睨まれてしまったので最後まで聞くとしよう。「天使も悪魔も一人一人個性がある様に、一人一人能力を持っています。私たちはそれをマイボルと呼んでいます。天使も悪魔もそれを自分たちの仕事に役立てていました。神は能力を全て無効にする能力で全てを統一していました。だから、天使界と悪魔界はとても安定していました。


しかし、事件は唐突に起きてしまいました。神が死んでしまったのです。理由は未だに分かっていません。突然消滅した様に消えてしまったようでした。


その神がいなくなった時、何かが起こることは、誰もが容易に想像できたでしょう。たとえ、一人だけで補修を受けてしまう人でも、鍵をかけ忘れてしまう人でも。そう、次期の神にー」


「ちょっと待て、見てたのかよ。」どうせスルーさせると思っていたツッコミに短い返答が返ってきた。「ついさっき。」俺がその意味を考えている間に、紙芝居は再開していた。「次期の神になろうとする者の戦争が起こったのです。これは、神代戦争と言われています。これは、12年にも渡って続く長い戦争でした。天使も悪魔も関係なく、次期の神になりたい者が争い、死に絶えていきました。


このままではダメだと、考えた悪魔と天使の代表者は、最終手段を使いました。人間を、救世主にしてこの世界に連れてくることです。しかし、これには大きな代償が必要でした。


その代償というものは、マイボルでした。マイボルを失うということは、個性を失うことつまり、死ぬことになるのです。代表者は、自らのマイボルを託し生き絶えました。残されたものはそのマイボルをつかって究極のマイボル、真救世主を創り上げました。しかし、もう一つの難関がありました。その、マイボルの適合者を探さなければならないのです。」


俺はここで勘付いた。「そうか!!それが俺なのか!!俺ってすごい奴なんだ。」一人で、はしゃいでいる俺を哀れみの目で、 みながらミカはつぶやいた。


「これは、1600年代の話」俺はかなり落胆しながら、一番の疑問を口にした。「じゃあ、何で俺が救世主なんだよ。」ミカはちょっとムッとしながら「自業自得。」と言ってきた。


「どういうことだ??」俺が聞くと、ミカはため息をつき紙芝居を窓の外に放り投げた。てか、紙芝居投げちゃっていいんだ。まあ、よかったあの紙芝居あと3000ページぐらいあったからな。よく持てたもんだ。


そんなことを考えていると、ミカが俺の質問の答えを返してきた。「轢かれたから。」「はしょりすぎだろ。」「トラックに轢かれたから。」「いや、そういうことじゃねぇよ。」ここはあの細かい質問方式を使うしかない。「なんで轢かれたら救世主になるんだ??」「そうしたから。」


ここからこのような意味不明な質問と回答が2時間続き全てをまとめた結果を俺が驚いた口調で、発表しよう。


「じゃあ、俺が助けた女の子が救世主候補で、あのトラックによって魂とマイボルを合成しようとしたところに、俺が乱入してしまってなぜか奇跡的に俺にも4.3%救世主の素質があったために、俺が救世主ということか。」ハァハァ つ・・・ 疲れた。


しかし、これでは矛盾点がある。「救世主を探していたのは、1600年代でしかも、戦争も終わったんじゃないのか。」そう、戦争は終わっているはずなのだ。12年間と言っていたのだから。


「そう、1600年代に救世主も見つかり、戦争も無事終わった。でも、現在それよりもひどいことが起こっている」そんな、重要な戦争よりひどいこと?俺には考えつかなかった。いや、考えつくはずがなかった。

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