第三話
本。
シンプルに鴉色のカバー、白鳥色で中央にタイトル、が綴られている。
著者は名字だけ記されている。
白紙。
一枚、二枚、三枚と捲ってみるが、変わらない。
ぱらぱらと最後まで見てみても、何も書かれていない。違う。
書かれていた事に一瞬気づかなかった。
ほぼ全ての頁が真っ白なせいで、何も書かれていないという印象が強かったかも知れない。
何かあった気がした。
再度最初から捲ってみると、
全体の約1/3あたりのところに、書かれていた。
「エイチ、テー・テー……」
アドレス。
ネットワーク上の何かのサイトだろうか。
httpから始まっている文章、間違いないと思われる。
しかし、金山真一は直ぐ様記されていたURLを入力して確認しようとは思わなかった。
期待していたものとは全く異なっていたからだ。
表紙の見た時点で興味が薄れていっていた。
店長から受け取った時は、おすすめということで強く推された。
昔からお互いを知っているため、好みをよく分かっているはず上でおすすめと言ったのだから、期待感は最大。言い過ぎだ。
それなりに、が正しいか。
いや、今日は受け取った本を読みきろうかな、だった。
実際見てみると、本とはとてもいいがたい代物。
見た目は確かに本だが、内容は本ではなく何かのサイトへ誘導され確認するような形。
興味が0とはいわない、気を惹くような何かが本にはあると思う。
でもそれは一般的な話であって、僕は惹かれない、それだけの事。
本を置き、仕事着のままだったので着替え始める。
着替えが終わると、部屋を出て信二の部屋に行ってみる。
灯りは点いているが、姿が見えない。隣の台所が明るかったので様子を見ることにした。
いない。
帰宅した時はほとんど電気は点いていなかったが、
今は玄関より左側の全ては点いている様子だ。
信二がいるはずだが、見当たらない。
特に信二に用事があったわけでもなく、暇潰しに何を買ったのか聞いてみようと思っていただけだ。
信二の部屋には買った時の袋が置いてあったが中身はなかったことは、口が開きっぱなしだったので触るまでもなく分かった。
仕方なく部屋に戻る真一。
すると、部屋の中に信二の姿があった。
信二はテーブルの辺りに立っていて、携帯電話で何か見ていた。
置いたはずの本がテーブル上から消えている。
信二が持っていたのだ。
僕に気づいたのか振り向く信二。
「あ、兄ちゃん?このサイトなに?凄くね?」
携帯電話の画面を僕に見せに近寄る。
携帯電話の画面。
上部に『Congratulations!』。
下部には『1,000,000円 GET!!』。
と、全体に大きく表示されていた。




