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数枚の手紙を読み終えた時には私の思考回路が低下しているようだ。

姉さんが転生者であることは前から知ってたけど、あの女も転生者⋯?

姉さん⋯いやミサキは私達姉妹の幸せを望んでいるのに対し、リリスさんの体を乗っ取った女はそれを許さなかった。

自分が誰にでも愛されるヒロインであるはずなのに、ミサキが転生したことで『悪役令嬢ホワン』が存在しない世界に変わったことで、あの女は姉さんとミサキに逆恨みした。


婚約破棄で姉さんからジルを横取りしたにも関わらず、姉さんの人脈も⋯未来も⋯幸せも⋯命も

あの女は全て一つ残さず奪い尽くした。


勿論、私はリリスだけじゃない。

洗脳されているとはいえ、姉さんを助けようとしなかったジルを含む

ルーク達、そして生徒や教師を私は酷く恨んだ。


「⋯予想通りだよ、私は全てが憎くて仕方がないわよ⋯⋯⋯」


ああ、早く殺したい。

本物の地獄に叩き落としたい、悲痛に叫ぶ姿が見たい、これまでの自分の行いを永遠に後悔してほしい。

⋯いや

殺してしまったらあの女は自分の行いの愚かさを自覚しないまま、また別世界に転生して同じことを繰り返すかもしれない。

それなら、姉さんとミサキの冤罪を解くという体で、あの女に同等な罰を与えられるような女になるか?


⋯だめね、怒りと憎しみで我を忘れてしまうところだった。


私は自室の本棚に飾っている写真を手に取る。

写真には入学祝いで撮った姿が写っている。

華やかな並木で撮った写真には、私と姉さんが笑っている。

姉さんの顔を壊れ物のように擦る。


「⋯姉さん、ミサキ。私は自分の意思でリリス・エルネスト達に復讐する。でも復讐が終わったら必ず幸せになってみせるから」


どうか天の上で安らかに眠ってください、と私は写真を腕の中で抱きしめる。

復讐のことは勿論だけど、二人の願いを聞き入れることを忘れるわけにはいかない。

⋯この世界で、ホワン・グエンが悪役令嬢にならないというなら、チェン・グエンが悪役令嬢になってやるわよ。

愛する二人のために二人の無念を晴らして、ヒロインよりも幸せな女になってやると、私は黒いアオザイを着たまま決心した。

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