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念の為言わせてもらいます。
ヒロインのリリスちゃん、めっちゃ口悪いです。注意!!!
チェンへ、
一昨日まで迷惑をかけてごめんなさい。
今まで学園生活は充実していったのに、いつの間にか私はリリスさんをいじめる人というレッテルを貼られてしまった。
それで貴方に何度も心配かけたこと、本当に申し訳ないと思ってるわ。
⋯あのね、私ずっと誰にも言ってないことがあるの。
信じてくれないかもしれないけど、私は異世界からやってきた転生者なんだ。
ここからは、『私』として話すね。
私、この世界にいるチェンと姉のホワンが大好きなの。
二人はこの世界では誰にも愛されず、堕ちてしまった悪役令嬢として生きることになってるみたいで、私それがとても悲しかった。
私はそんな二人を幸せにしたいから、悪役令嬢にならないようにしたいという思いが強くなって、私はホワン・グエンに転生したんだ。ホワンの体に転生したのは偶然だけどね。
転生してから、日頃から沢山勉強して、強くなるためにと不味い回復薬を何度も飲みまくってたのを今でも思い出すよ。
正式に婚約して次期国王に君臨するつもりのジル、騎士団長の夢を持つルーク、魔法で人の命を救う医者になりたいアラン、私やチェンに勉強を教えてくれた義兄のジンお兄様。
本来、この四人はホワンとチェンと仲が悪いっていう設定だったけど
私は二人を幸せにするために、彼らとの仲を良くするために必死に頑張った。
王太子という立場だからこそ自己嫌悪するジルを慰めたり、ルークが修行で危ないところを心配して叱ったり、魔法が上手く使えなくて落ち込んでいるアランを励ましたり、政治について考えているジンお兄様の手伝いをしたり⋯
お陰で、二人が嫌われることなく、仲が良くなっていってよかったって思ってるよ。
⋯ただ、あれかな。
チェンは学園生活に馴染んで数カ月ほど経った日を覚えてる?
ほら、『聖女』の力を持っているリリスさんが転校してから。
話が複雑になっていくんだけど、リリスさんは学園に転校してジル達と恋愛していくこの世界を舞台とした物語のヒロインなの。
だからかな、どうやらリリスさんも私がホワンに転生したと同じように
彼女も転生者だったの。
彼女に話しかけられて、同じ転生者同士仲良くできるかなと思ったんだけど⋯リリスさんは
『私がヒロインなのに、悪役令嬢が出しゃばるなよ。』
『ゲームの知識使って愛されを狙うとか痛い厨二病じゃん。』
『最推しのリオン・マグノリア様を奪ったら絶対殺す。』
⋯リリスさんに転生した女の人は私やホワンとチェンのことが嫌いだったみたいで、仲良くしてくれる感じじゃなかったな。
リリスさんはジル達に何度も誘惑したり、好感度を上げようと媚びてたみたいだけど上手くいかなくて
彼女は聖女の魔法を使うようになったらしいの。
魔法は本来、人を癒やしたり、人の心をリラックスさせるなど効果があるんだけど
リリスさんは魔法を悪用して、相手の心理を操るようになった。
最初から彼女のことが苦手だったジル達が急に彼女を愛するようになったり、苦手に思っている生徒も先生も
彼女が望んでいる通り、『誰もが彼女を愛するようになった』のよ。
そして余程私のことが憎いのか、彼女はそれだけじゃ満足せず、魔法で人を操って
『ホワン・グエンは聖女の力を持つリリス・エルネストに嫉妬していじめる女だ』と噂した。
勿論、私は人をいじめることなんて絶対にしない。
誤解を解きたくて何度もジルに説得してみたけど、『君が嫉妬するのは普通のことだけど、人をいじめるのは駄目じゃないか』とまったく聞いてくれなかったわ。
あのときチェンも様子がおかしいことに気づいたのか、貴方も先生や生徒に何度も説得してくれたよね。
でも遅すぎたのか、皆は完全にリリスさんに洗脳されてしまった。
学校で居場所を失って、友達も私を裏切るようになって⋯それでも皆はいつか信じてくれるって思ってたんだけど
⋯ごめんね、こんなこと妹に心配かけたくないっていう思いがあったから
口で喋るよりも、手紙で伝えるべきだったかな。
私が婚約破棄されても生き続けるということは、何も関係ない、無実な貴方にまで汚名を着せられると思って、私は自ら命を絶つ道を選んだ。
自己満で身勝手な理由だけど、死ぬまでずっと誰かに愛されないホワンとチェンなんて私が望んでいることじゃないもの。
⋯でもね、貴方の姉⋯ホワンはこの世界で死んでしまったことになるけど
彼女は必ず幸せになるよ。
ホワンには『お狐様』がいるから、もう苦しまなくなるから。
最後に転生者として、貴方の姉として伝えさせてもらいます。
チェン、幸せになってね。
貴方のことだから復讐を考えるかもしれないけど、私とホワンの唯一の望みは貴方が幸せになることだからね。
両親の言う事なんて聞かなくていい、ジル達のことを相手にしなくていい、貧富のことなんて考えなくていい
ずっと二人で貴方が幸せになることを祈って、見守ります。
貴方のことが大好きな姉 ホワンより




