4.辺境追放の意味
「カトリーナ嬢は辺境に追放ということだけど、意味わかってるのか?」
辺境の豊かな大自然に触れて生活を!じゃないの?王都から遠いし。
「わかってなさそうよ~。カトリーナちゃんはアレックスの婚約者としてこの地に追いやられたのよ~。でも、悪くはないでしょ?ほら親の欲目かしら?アレックスは醜男じゃないし、むしろ美丈夫なんじゃないかしら?王都だったらモテモテの部類に入るんじゃないかしら?」
確かになぁ。アレックス様をよくよく見ると確かに、うん、王都ならモテモテの顔立ち。あと、体躯がイイ感じね。でもあの体躯は辺境で鍛えられたものじゃないかしら?
「ジロジロ見るなよ」
すみません。はしたない行動でした。
肝心の私はどうなのかしら?
公爵家じゃ、蝶よ花よと育てられたけど、比較対象がいなかったからわからない。
「カトリーナちゃんはとっても可愛いわよ、ワイバーンちゃん達がカトリーナちゃん好き好きだもの」
尺度はそこか!
「私も若い頃はワイバーンちゃんにモテモテだったのよ!」
アナスタシア様はウールを選んだんですけどね。モフモフ……。
「さ、今日からカトリーナちゃんが暮らす部屋よ。うふふっ、遠慮しなくていいのよ!隣の部屋と扉続きなんだから。もちろん扉の先は…」
「ルドルフ様ですか?」
「いやだぁ、カトリーナちゃんったら、冗談キツイ!私のダーリンだもの。ルドルフの部屋は私の部屋の隣よ~。この扉の先はアレックスの部屋よ。婚約者だもの、当然!」
当然なの?
うーん、初夜というものは結婚式の夜だろうから今晩からしばらくはあの扉を使用することはないだろう。
「おはようございます!」
「よく眠れた?いいのよ、アレックスのせいにして昼まで寝てても」
何の事だろう?
昨夜はフカフカの布団にベッドを堪能しながら、よく寝たと思う。
ルドルフ様、朝の挨拶ナシですか?機嫌悪い?
「あー、ルドルフの事なら気にしないでね。朝に弱いのを私が無理やり連れてきたみたいなものだから」
そっちの方が意味深だ。
「おはようございます。父上、母上。カトリーナ。カトリーナ、後で話がある」
なんだろう?なんかコワイ。
「カトリーナ、昨日というか昨夜お前の部屋に行った。そしたら、お前は熟睡していた。それならばいいのだが。―――イツキ・マサキ・シイ・サクとは誰だ?男のようだが?」
あー、異世界転生をアレックス様に言わなきゃ、私がふしだらな令嬢というレッテルが貼られてしまう。
「私の言う事を信じてくれるなら話しますがどうします?」
「内容にもよるが、信じよう」
内容によるってなんだ?
「私はこことは違う異世界で一度死んでいます。それからこの世界に‘転生’というものをしたのです。寝言の男の名前は前世での兄達の名前です」
「まぁ、前世があるということは理解できるので、いい。単純にお前は前世の記憶もハッキリと持っているとまぁそういうことだな」
「うっかり階段で脚を滑らせての転落死です。享年17才。兄達は非常に悲しんでいましたよ」
「まぁそうだろうな」
淡白な反応。
語られる前世での死因!うっかりが過ぎるよ~。階段でうっかり足を滑らせてって…。