1.小鳥遊楓、17才
「気を付けろよ、お前は昔っからおっちょこちょいで俺達がどんなに心配したことか!」
「もう、樹兄は心配性だなぁ。大丈夫だよぉ」
我が家は両親が5年前に他界。それからというもの両親から引き継いだ小鳥遊弁護士事務所を樹兄が切り盛りし、私を含め5人兄妹で生活してきた。
我が家は、長男・樹(32)、次男・柾(24)、三男・椎(22)、四男・㮶(19)、私が長女・楓(17)で、弁護士として働ける者は弁護士として、その他も補助をすることで事務所を維持している。
樹兄は随分前から両親と共に働いていたようで、昔からの馴染みの顧客さんにも顔が聞く。
尚、昔からの馴染みの顧客さんはうちの5人兄妹のこともご存じ。
「樹君も柾君もまだ結婚しないのかい?弁護士としてもう結構大丈夫だろう?」
「我が家を守るという役割もありますから」
と、言って結婚を回避している。
私は小姑さんになるつもりはないし、どっちかというと…はやく甥もしくは姪をみたいなぁ。などと思うのです。
椎兄と㮶兄は今のところ、事務所でバイト?雑務をしています。
「楓…常々これは思っていることなのだが…。いつになったら俺達、兄のことを『兄さん』と呼んでくれるんだ?嫌なら『兄ちゃま』でもいいんだぞ?」
「……弁護士試験をパスしたんだよね、樹兄。何を頭の悪いことを言ってんの?まさか樹兄だけじゃなくみんな思ってる?」
そんな阿呆な会話をし、樹兄に大丈夫と言った矢先に階段を踏み外し、あっさりと私は亡くなったのです。
享年17才。
若過ぎ。兄達泣き過ぎ。前からシスコンの気はあったけど、公の場で前面に出し過ぎ。
「楓のいない世界なんて、モノトーンだぁー!!」
そういうことは彼女に言ってください、㮶兄……。
「楓……ドジにも程があるだろう?」
冷静にツッコみ過ぎです、樹兄。
残りの二人の兄達もなんだか彼女に向けるような事を私の骨壺に言ってました。
ところで、私はどうしてこんなに冷静に自分の死を見ているのでしょう?
ここはどこ?
「気づくのが遅すぎで僕はちょっと傷つく……。えーと、ここはですね」
「あー!『生と死の狭間』ってやつ?」
「……僕が言おうとしていたことを。まあいいです。そうなんですよ。後悔はないですか?」
「強いて言うなら、兄達の子供に会いたかったなぁ。ってくらい?」
「それなら、ほら」
そう言ってその神々しい男は映像で兄達の子供(?)をみせてくれた。
「あの新生児室じゃわからないんで、もうちょっと成長して、できればどの兄の子かわかるようにして欲しいです。ほら、4人も兄がいるんで」
「僕に要求をしてくる人はなかなかいないですよ。あなたはなかなか神経が図太いようだ」
「あの4人と生活してるとこうなるんですよ」
その後見せてもらった映像によると、甥と姪たちは順調に成長していき、小鳥遊弁護士事務所を発展させてくれている。
「OK。未練とかなくなった。この後はどうなるの?」
「転生ですけど……。そうですね、面白そうなのでこの世界に転生してもらいましょう」
新作です。よろしくおねがいします。
彼女には転生してもらいます!若くして過酷な人生…なのに彼女は達観してるんですね…。