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ショタ転生~魔族の将、子供の姿で自由に生きます~  作者: 灰銀朔太郎
第一章『そのままとは一体…。』
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第15話



アリオスと戦った辺りを過ぎた所でマグナスに話かける。



「そろそろオレの(ねぐら)だ、ここらへんで止まって待っててくれ」


マグナスの背中に向けてそう言うと走鳥を止めさせ、こちら振り返り言った。


「…《《気を付けろよ》》?」

「《《どっち》》の意味だ?」

「『逃げるなよ』と『尾行されているぞ』の両方だ」

「逃げねぇよ。あいつらどこまで着いてくるんだろうなぁ、王都で買い物してる時にはもういただろアレ」

「なんならヴァルハラガーデンの前でお前を待っていた時にはもう居たぞ?」

「マジかよ、用があるのはオレの方なんだろうな、やっぱり。一人になる隙を伺ってんのか」

「だろうな」

「わかってるのにオレのねぐらまで着いて来ないのか?」

「俺が居たらあいつら接触してこないだろう」

「確かに。じゃあ行ってくるわ、ちょっと待っててくれ」

「あぁ」


マグナスと別れ、道から藪へと脇に逸れて歩く。

木の枝に目印の麻紐が巻かれているだけで通りかかった人は誰もその先に洞窟があるなどと気付かないだろう。




 ───────────────────────────────────




シアと1月暮らした洞窟に帰って来た。

昨日の今日だというのにがらんとしている、アリオスの部下が盗品を押収したな?

オレは寝床に使っていた平べったい岩を起こした。


「あった、あった」


そこにはオレの代金だった金貨の詰まった袋があった。


「おい、そろそろ出て来いよ」


そう背中を向けたまま言うと黒いローブに白い仮面を被った者たちが5人洞窟内に入って来た。

入り口を3人で塞ぎ、残りの2人は左右に分かれて壁沿いに動く。


「お前らずっと後をつけてたな、何の用だ?」


返事は無い。

そっちがその気ならこちらも勝手にさせてもう。


左手で片手剣を左側のローブに投げつつ、尾で腰の鉈を右のローブに抜き放ちそのまま投げる。

左側のローブは心臓に片手剣が突き刺さりそのまま壁に縫い付けられ、右のローブはフードと仮面ごと鉈が頭を断ち割っていた。

割れた仮面の下は見えないが、位置的に下顎まで到達しているだろう。


「その尾は…やはり、『ゼノ』様」


もはや尻尾を見られて隠す意味は無くなったのでフードを取る。


「おぅ、オレがゼノだ」


オレの白い髪と紅い目、角を見た3人のローブは『おぉ』とどよめいた後、跪いた。


「我々はシェクルト教団、人魔共存を掲げる集団でございます」

「お前ら人間だろ、なんで人魔共存なんて画策してんだ?」

「この2人は人間ですが、私は魔族でございます」


そう言って正面の女はフードを取る、セミロングの金髪だ。

そして片方だけに角があった。

それから仮面を外す。

あぁ、隠蔽の魔道具かその仮面。

外された仮面の下の素顔は美しかった、だが見た瞬間気付いた。


「お前『雷皇』の…」

「わかりますか?」

「面影がある、六魔将『雷皇』ミカレ殿の。彼は最終決戦前に勇者クレアに討たれていたな、確か人族の妻がいたはずだ」

「ええ、私はミカレの娘、ルキア・ドロア。混血でございます」

「雷皇ミカレの忘れ形見がオレに何の用だ?人魔共存と言っていたな?オレに何させるつもりだ?」

「私は魔族と人との狭間に生きる者。目的は人族と魔族の恒久的な共存です」


あほくさ、この手合いは魔族にも偶にいた。

数では勝てんが基本的に生物として肉体のスペックも寿命も全く違う、共存など不可能だ。

人はなぜ魔族を嫌うのか?恐れるからだ。

『人は怖いから拒絶し、理解できないから攻撃する、人の臆病が闘いを産む』といつか誰かが言っていた。


「ゼノ様は伝説で魔王を裏切り勇者と共に戦ったと言い伝えられております、ゼノ様こそ共存を掲げる我らシェクルトの象徴に相応しい」


「たった今お前の仲間2人ぶっ殺したの見てなかったのか」

「例えそれでも、でございます。ここにいる者はもちろん、教団の者達も皆、共存の為に命すら惜しみません。ゼノ様が望むなら…この《《身体》》も捧げます」

「ガキ相手に何言ってんだ。なんで共存なんて目指してんだ?」

「教団の者達はみな私と《《同じ》》、親や子、妻や旦那、恋人が魔族なのです」

「なるほどなぁ」

「完全に諍いが無くなる事はないでしょう。しかしそれでも我々は活動を止める訳にはいきません。これまで死んでいった同志の為にも、今散っていった2人の為にも、これから散っていく仲間の為にも、愛する者の為に」


はぁ、ご立派ですなぁ。


「そうかそうか、影ながら応援させてもらうわ、せいぜい頑張ってくれ」


ローブ達の死体から剣と鉈を引き抜いてぞんざいに返した。


「お力を貸しては頂けませんか?」

「剣聖のジジイに首輪を付けられていてな、勝手は出来んのだ」

「一生でございますか?」

「あのジジイの寿命が先か、俺が免許皆伝して自由になるのが先かって感じだな」

「…わかりました。また、時が来たら、いずれ」


そういってルキアとローブ達は仲間2人の死体を担いで洞窟から去って言った。




 ───────────────────────────────────



マグナスの元に戻って来た。

走竜に水を飲ませているようだ。



「血の匂いがするな」

「あー、2人殺した、ダメだったか?」

「構わん、シェクルト教か?」

「そそ」

「どういう理由で接触して来たのだ?」

「人と魔族の共存、魔王を裏切り人に与したオレは象徴なれるだとかなんとか」

「断ったのか?」

「受けると思ってんのか。人も魔族もオレには関係ない、好きに生きるだけだ」

「共存か…」

「ああ、そう言ってたな」

「難しいな」


このジジイは国を魔王に奪われてるしな。

魔族のオレを弟子にするくらいだから、種族に対する偏見はなさそうだが。


「勝手に頑張れって言っといたよ、さぁ行こうぜ」


そう言って荷台に腰かけた。




ルキア・ドロアねぇ。

ミカレ殿もそうだったが彼によく似た美しい娘だったな。

あの戦争末期に産まれてたとしたら400歳ちょいくらいか?

前世の記憶があるせいで守備範囲内に感じるが今の俺は精通すらしていないガキなのである。


当時魔族内でも穏健派だったミカレ殿が魔王軍に参加しているのを見た時は驚いたものだが、なるほど、人族の妻とその娘がいたのか。


ジズめ、脅したな。


本当に裏切ってよかったぜあの糞カラス。



六魔将ミカレ・ドロア:雷皇と恐れられた魔界貴族、雷魔法なら当時魔界最強と謳

           われた。

           人族の妻がいたが魔王ジズに人質に取られ魔王軍に従って

           いた。


ルキア・ドロア   :シェクルト教のリーダー、ミカレの娘。ハーフ。片角。

           400歳ちょい。第2ヒロイン予定。父譲りの雷魔法は強力

           持たせる予定のアーティファクトがチート。



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