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ショタ転生~魔族の将、子供の姿で自由に生きます~  作者: 灰銀朔太郎
第一章『そのままとは一体…。』
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第14話



「シチセイ…七星を教えてくれよ、大まかでいいからさ」



「うむ、よかろう。別に秘匿されている訳でもない」


どうせやる事もないしこんなに揺れていては眠る事も出来ない、七星といつ敵対するかもわからんしな。

それに強者の話は前世の時から好きだった。




「まず1人目は『薔薇騎士』ローザ・ヴェルミリア。歳は20代半ばほどだったか、近衛兵長を務めている赤い髪の女性だよ」

「S級って事はやっぱり強いのか」

「強いぞ。だが見下すつもりは全くないが七星最弱であろうな。薔薇の意匠の鎧と細剣を身に着けている。鎧の方はただのミスリルでアーティファクトは細剣の方だ。」

「出た、アーティファクト。なるほど、それで薔薇騎士か。」

「名を『グロリアローズ』と言う。剣を振るう所か構えるだけで茨が複数本伸び、意のままに敵を拘束したり鞭の様に敵を打ち据えたりするんだが、本領はこの棘の付いた茨に攻撃された時に起こるエナジードレインだ」

「エナジードレイン、夢魔族のアレか…」

「戦闘中に茨による攻撃・防御に加えて吸生による弱体と治療までをこなす鞭が複数本暴れる中、使い手自身もA級以上の腕だ」

「それで最弱か」

「あぁ、天才だの神童だの呼ばれる人間ですらA級止まりだ、S級は伊達では無い」




「次に2人目、『神槍』カエラム・グレイス。シア嬢さんの父親だな。アーティファクト『聖槍ロンゴミアント』という名のハルバード使いだ」

「おぉ、シアの父親か。オレを殺さない様にシアが頼んでいたのだろう?オレの処遇を決める会議でも俺を助ける様動いてくれるはずだとかアリオスが言ってたぞ、いつか礼を言うか」

「二度と合わない方がいいぞ、娘がお前に惚れている事に気付いたら殺されかねん」

「えぇ…。」


てかシアってオレに惚れていたのか。

伯爵令嬢が魔族に恋などしたら駆け落ちか心中かお先真っ暗では…。


「ロンゴミアント自体は軍向きのアーティファクトでな、使用者がいる集団が全員強くなる」

「ふわっとしてんな、説明が」

「それ以外に説明仕様がない、だが彼我の戦力差1.3倍くらいなら押し返すぞ?魔族の将軍をしていたならこの強さが判るはずだ」


10000人で13000人との人数差を埋めるのか、それは凄い。




「3人目は極東の(カタナ)と呼ばれる剣を扱う剣士、『絶刀』マサムネだ。一子相伝の剣士でな、師から弟子へと代が移った時から皆名前はマサムネとなる」

「先代も先々代も弟子もそのまた弟子もみーんなマサムネか」

「そうだ。こいつの使う刀もまたマサムネという。多分刀のマサムネから名前を取っているのだろう。アーティファクトだと思うが効果は知らぬ」

「強いのか?」

「愚問だな、今のお前なら瞬きした瞬間バラバラになっていそうだ」

「ふむ」

「それから1人目に紹介したローザの恋人だ」

「必要かその情報?」

「知っていたから説明したまでだ」

「なるほど」




「もう気付いているかもしれんが七星の強さを下から順に紹介している」

「まだ師匠の名前が出てきてないぞ?」

「舐めるなよ小僧?」

「冗談だ」


「4人目は『拒絶』のキリシア・クレア」

「クレア…?」

「そうだ、彼女は先代の女王でな。国を失った私がここへ流れ着いた時はまだ10代であった、懐かしい」

「勇者クレアの末裔か」

「彼女は回復魔法と支援魔法が得意だが『拒絶』の名前は彼女の操る防御魔法の魔力障壁から来ている」

「壁を作り出す魔法のアレか?敵の攻撃を防いだりする」

「そうだ。彼女の作り出す不可視の壁は敵の集団を隔離し、圧殺する」

「おいおいおい…、尋常じゃないなそれ」

「不可視というのが厄介でな。発動している彼女自身にしか壁は見えていない。彼女が障壁を発動した瞬間に相手は閉じ込められたり、分断されたり、押し潰されたりする」

「あぁ、魔力障壁って動かせるんだったな。展開したまま相手を押す事が出来るんだ、潰せるか、壁さえ壊れなければ」

「そういう事だ」


えげつねぇ…。




「喜べ。5人目は私、『剣聖』マグナス・オーロンだ」

「ジジイの上に2人いるのか、昨夜話していた魔神の賢者だな?」

「うむ、6人目が『賢聖』アズライル・ブラエ、滅んだ国の賢者だ」

「ちょっと待て、その身に魔神を宿した化物より上がいるのか!?」

「あー、この序列は魔神抜きだ」


さすがに少しほっとする。

いやいやいや!このジジイより強い事に変わりはないぞ!?


「ブラエって名前聞いた事あるな、どこだったか…前世のはずだが…うーむ」

「それなら勇者クレアと共に戦った大魔導士のリーゾス・ブラエだろう、アズライルは彼女の子孫だ」

「あー!それだ!!すっきりしたわ」


あの糞生意気な女の子孫だったか、勇者の仲間じゃなきゃ間違いなくぶっ殺してる人種だった。




「最後は7人目、『拳聖』ジルニ・ヴェルナスだ」

「ちょっと待て、知ってるぞそいつ…。竜人だろ?」


世界を観光がてら武者修行しているとか言って、魔族の住まうザハンナ大陸にたまたま居た奴と出会い戦った記憶がある。

今からだと500年近く昔、前世の記憶でも数十年は昔の話だ。

ちなみに当時の試合結果は前世の俺でも惨敗である。

まだ六魔将入り前だったが、素手の相手に殺す気で挑んで負けたのは人生で初めてだった。


「その顔負けたな?フフ」


マグナスが荷台をちらりと振り返って言う。

こっち見んな、ジジイ。


「まだ生きてたのかよ」

「竜人だからな、死ななきゃ400年程度、そりゃ生きてるさ」

「なんだって竜人がクレア王国で七星なんてやってんだ…?」

「知らん、七星入りしたのは40年ちょっと前だな。当時の女王『拒絶』のキリシアなら知っているはずだが…」

「ふーん?」

「奴は自身を観測者や調停者と名乗る事がある、故郷の命で来た、と。七星入りした時期的に目当てはアズライルの魔神だろうよ」

「あー…。魔王が国を滅ぼし人間が魔神を召喚し、その魔神は未だこの世界で一人の身体に宿っている。そりゃあ監視もするか。」

「うむ」


ん?待てよ?


「ジルニに魔神任せてもよくねーか?」

「そうもいかん、奴が魔神と戦う気があるのかわからん」

「あー、なるほど。魔神が出て来てもすぐ帰ってくれるなら静観する可能性もあるか。流石にジルニも魔神には敵わないだろうしな」

「そうだ」





背中を向けているから表情は見えないが魔神の話になると少し声がかたくなったな。

このジジイは目の前に魔神が現れたら、勝てないと分かっていても斬りかかるのだろう。

国を魔王に奪われ。

縋った魔神に嘲笑うかのように全てを灰にされたマグナスの胸中が如何ほどの物か、オレには推し量る事が出来なかった。


まぁ、頓智みたいな生贄で魔王を約束通り倒してくれた魔神を逆恨みしているとも言えるのだが、割り切れんのだろう。


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