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ようこそ、一条家へ  作者: 如月はづき
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67.私の選択

 恐れ入ります……を連発しているけど、お姉ちゃんは多分そんな風には思っていない気がする。自分が思う私の幸せの為なら手段を選ばない人だと、周りも言うし私自身そう感じている。


「……夜分に恐れ入ります。白川家メイド長の白川結衣と申します。公爵には、日頃より大変お世話になっております。……えぇ、はい、お忙しい所申し訳ありません」


 適当な世間話が続いている中で、お姉ちゃんの表情が変わった。


「お電話で申し訳ないのですが、お願いがあってお話をさせて頂きました。……はい、お察しの通りでございます。柚子の事なのですが、……えぇ、公爵も既にご存知かと思いますが、先日の事件で」


 私のこと?ーー五十嵐家に電話をしているって事は私の事だと思ったけれど、一体どんな要件で?


「柚子は、人一倍優しい子です。あの後も周囲に気を遣わせないように普段通りでいてくれています。……ですが、お屋敷の中で彼の面影を追っている気が致します。好いた人にお別れもさせずに、このような状況にさせてしまったことを大変後悔しております。柚子には、一条家で修行を積んだ後に嫁ぎ先をと思っていましたが、今はこちらにいる事が負担になっているように感じます」


 そこまで聞いてその場を離れて自室へ向かう。

 お姉ちゃんには、光くんの影を追っている事に気づかれていたのか、……勘の鋭い人だもんね。ベッドにダイブしてふぅと息を吐いた。

 彼とのお別れをしなかったのは、お姉ちゃんの判断かお屋敷の判断か、それは分からない。チラッとベッド横のサイドテーブルを見れば、彼から貰った青薔薇の絵ーーその横に赤薔薇を生けた花瓶。目が覚めた時に枕元に置いてあった赤薔薇、送り主は彼だったのだろうか。今となっては分からない。もし彼ならーー花言葉は愛情ーー同じ気持ちだったのだろうか。

 だとしたら、次に彼に会う時には胸を張っていられるように、いつまでも後ろを向いていられない。彼が遠くで前を向いて生きているように、私も前を向かないとーー。




 一条家 白川柚子様


 おーい!まだ寒い日もあるけど元気か?

 こっちは雪が降っても積もらなくなってきて、お嬢が残念がってる。

 お嬢もお前に会いたがってるぞ、一緒に手紙入れておいたから読んでおけよ。

 あと、ばぁやが最近腰が痛くて弱気になったんだか、自分の補佐が欲しいって言い出した。メイドの仕事が出来て、お嬢のお世話係にもなる人を探すらしい。

 俺はお前がいいと思ってる。そのまま居続けてくれてもいいし(お前のお姉ちゃんが寂しがるか)、適任が見つかるまででもいいと思う。いろいろあっただろうし、少し外の空気を吸いに五十嵐領に来ないか?


 五十嵐家執事  彩月綴


 追伸:

 ゆずへ おいしいケーキ屋さんできたわよ

 いっしょに 行きたいわ   りこより



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