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ようこそ、一条家へ  作者: 如月はづき
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55.やればできるもん!




「えー。お姉ちゃん今夜いないのー?」


 2月に入って寒さは深まったようマシになったようなそうでもないような……少しだけ日没が遅くなったある日の夕方、私はキッチンでお姉ちゃんに文句を言っていた。


「何日も前から伝えていたでしょう。王宮で次年度に向けての使用人調整会議があるのよ」


 今夜、お姉ちゃんと大雅くんと立花さんは王宮に行く。各々の家の使用人状況の確認と、執事学校やメイド学校を卒業した優秀な人材を各家に振り分ける会議らしい。

 夕食に必要な食器を戸棚から取り出しながらお姉ちゃんは続ける。


「夕食は前の料理長さんのレストランから届けて貰うようにお願いしてあるわ。……これは光くんの分ね。修斗くんに、温めて持っていって貰えばいいわ」


 テーブルの上にあったお鍋を冷蔵庫に入れていた。光くんは2、3日前から体調を崩している。どうやら寒さは苦手のようで、風邪を拗らせたらしい。


「はぁい」


 適当に返事をしてキッチンを出る。お屋敷に戻ってきてから、お姉ちゃんのいない夜は初めてだ。




「……食事前につまみ食いは、メイドの行いとしてどうかと思うぞ」


「あっ!バレたっ!門番さんか、セーフ!」


 夕食のテーブルセッティング中、ダイニングに門番さんが現れた。修斗くんや育だとチクチク嫌味を言われるから、まぁ門番さんで良かった!


「……クッキーだよ!食べる?」


「共犯にさせるつもりか。……告げ口をするつもりはないから仕舞え」


「うん!」


 他の人にバレたら面倒だと思って、口の中に片付ける。


「ほれで?……なのっ?んっ!」


「食べ終わってから話せ」


 ごくっと飲み込んでから門番さんを見る。急ぎの用事じゃないなら、味わって食べたかったなぁ、限定の味のクッキーだったのに。


「……はぁ。味わいたいなら今食うな」


「あっ!声に出ちゃってた??うふふー。そうだ!門番さんご用事なぁに?」


「今日はこれで。就業時間の挨拶だ」


 いつもはお姉ちゃんにするけど、今日は不在だ。え?待って!つまり、私は今日メイド長代理ってこと??何かちょっと嬉しいな。……お姉ちゃんは確か、いつもーー。


「はい。お疲れ様でした、お気をつけて」


 キョトンとした顔で、こちらを見つめる門番さんと目が合った。何か変だったかな?


「……驚いたな。キチンとしていれば、メイド長そっくりだ」


「えっ?お姉ちゃんに似てる?うふふー!嬉しいっ」


 何か失礼な発言があった気もするけど、褒められたから良しとしよう。丁度仕事も一区切りついたし、玄関まで門番さんをお見送りする。


「……今夜は、ご当主様も執事長もメイド長もいない。大半の貴族屋敷は同じ状況だがな。戸締まりはしっかりしろ、いいな」


「はぁい」


 あーもぅ!耳にタコが出来ちゃう!戸締まりについては門番さんより前に、お姉ちゃんと立花さんからとんでもない回数聞いた。門番さんは、あの事件がまだ解決していないことを心配してくれているーー帰り際に何度も振り返ったその姿から痛いほど伝わってきた。



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