布施の奇貨屋 白昼夢さんに行ってきました。
ごった返す近鉄名古屋駅は、もうすでに小さな〝大阪〟だなあと、いつも思う。
飛び交う会話の半分ぐらいが関西弁ベースなのと、何処となく駅構内の壁や床や空気が関西風なのだ。空間にもダシが効いているとしたら、きっとそれだ。
八尾を通り過ぎた辺りで目が覚めた。
やがてみっしりと身を寄せ合う家々の屋根が連なる曇天に向かって近鉄特急アーバンライナーの白く優雅な車体が斜めに上向いてゆき、高架を滑るように走る車窓からぼんやりと佇むハルカスを望む。この眺めを味わうたびに、いよいよ大阪に来たなあと、いつも思う。
アーケードに大きく描かれたえべっさんに見送られ、列車は鶴橋駅で車輪を休めた。いつもなら大阪難波まで直行する僕も今日はココまでだ。
金曜の昼間。鶴橋駅は空いていた。いつもより広く見えるホームを吹き抜ける湿った風が寝起きで火照った頬に冷たく心地よい。
すぐやって来た奈良行の列車で、さっきのえべっさんの元へ引き返す。
布施商店街、ブランドーリふせ。
総延長600メートル、東大阪市と大阪市東成区にまたがって伸びる、古き良きアーケード商店街である。
やっと来た。布施。
ずっと行こう、行こう、行きたいんだけどなあ、と言い続けていた布施。
私の身近なガンダーラ・サンゲリア・チグリスユーフラテス布施。エルドラド布施。
ああ布施。
というわけで布施駅を北へ出て大きな交差点を左へ。路地の向こうはアーケード商店街。
大阪といえばアーケード商店街。それ媚びの「也子」もアーケード商店街(残念ながらもうアーケードは撤去されてしまったらしい)。豊橋市からも姿を消しつつあるアーケード商店街。
ここをずーーっとまっすぐ、交差点も超えてずんずん歩く。
桃谷とか心斎橋とかもそうだけど、大阪のアーケード商店街って長くて、途中で路地が横切ったり信号の交差点があったりするのな。
田舎モンにはコレも斬新。
で、布施駅方面から来ると〝えびすホール〟の前を通り越したら角を左へ。
すると古民家を改装した店舗が見えてくる。それが今回のお目当てである
「奇貨屋 白昼夢」さん。
最初にSNSのアカウントを見たときは住吉から昭和町に移転した頃だったと思う。
その頃から時々、目ぼしいものがラインナップされると通販をお願いしていた。
ながーーい新幹線こだま号のフィルム写真とか。これは我が家の階段の手摺に沿って貼り付けたら長さがピッタリ。
紆余曲折を経て布施でたどり着いた白昼夢さんは、ドアを開けるなり真っ赤な鳥居に圧倒され、急峻な階段に圧倒され、2階の店舗では機会な品々に圧倒されっぱなし。
全部ひとつひとつ見ていくと2日や3日じゃ利かないぐらい、何しろ色んなものがある。
ちなみにBGMは結構元気なロックである。
入店2分で聖飢魔IIのウチワを発見。即購入決定。風雅にウチワを携えてさらに物色。凄くほしいマグカップがあったが、流石に割れ物を抱えて歩くわけにもいかず断念。
が、もうひとつレトロなものがあったので購入しました。
私の前に居たお客さんは移転前からのファンみたいで、わざわざ海外から何度も来ている人らしく。確かにそれだけのものもあるよなあ。
探したって見つからないものだから値打ちもあるのであって。
待てよ。前にも何処かで似たような感覚に陥ったぞ。
思い出した。
鴨江ヴンダーカンマーさんだ。
よりオカルティックなのが鴨江さんで、よりレトロタイプなのが白昼夢さん。
かもしれない。でも、どこにどんな曰くがあるとか何がどんな呪物になるとか、そんなものは持った人の生活や性格や環境次第なので、特にコレといった〝呪物たらんとした呪物〟なんて世の中にどれだけあるのか、とも思う。私はホラー作家なので曰くも呪いも作ろうと思えばデッチ上げ放題。たのしいウソならつき放題。いい身分である。
鴨江さんも白昼夢さんも、その日、その時、その時代には確かに存在し現役稼働していたホンモノの品々が時を休めて余生を待っている。そこに創作の入り込む余地は無い。かつての持ち主たちに等しく流れていた時間を集めている場所。だから、そこに名前をつけるのならば
白昼夢
というのは最適解の一つな気がします。
名古屋のビブリオマニアさんでも話したし、鴨江さんにも沢山あったVHSテープがココにも。
やっぱ今の時代むしろビデオデッキである。
手放したことを悔やむより最寄りのジョーシンに行かねばナラヌ。
お会計のときに、漸くご挨拶させていただけました。
何年ごしかのご対面。
実は直前にも聖飢魔IIのポスターをまとめ買いしていたことと、差し出した名刺を見てすぐ理解ってくださったのが凄く光栄でした。
小説もお渡しさせていただき、突然お邪魔しましたが温かくご対応くださりありがとうございます!!
楽しかったです。そしてまだまだきっと見つけていない誰かの時間の続きが、すぐ近くにあった気がしてなりません。またお邪魔したいです。
ありがとうございました。




